税務ニュース2004年11月02日 最高裁、弁護士(夫)⇒弁護士(妻)、所法56条適用は合憲 「所法56条の要件を満たす限りその適用があるというべき」
最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は、平成16年11月2日、所得税法56条の適用を主たる争点とした弁護士(夫)⇒弁護士(妻)への報酬の必要経費算入について、所法56条の適用があるものと判示し、さらに、本件処分(必要経費算入を否認した更正処分)は、所法56条の適用を誤ったものではなく、憲法14条1項に違反するものではないとして、弁護士の上告を棄却した(平成16年行ツ第23号)。
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf
/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/ad3d18093e5d196649256f40001abb3f?OpenDocument
判決理由では、「同法56条の上記の趣旨及びその文言に照らせば、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても、そのことを理由に同条の適用を否定することはできず、同条の要件を満たす限りその適用があるというべきである。」と判示して、「配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合」といった個別事情を考慮する余地を示していない。
また、「同法56条の上記の立法目的は正当であり、同条が上記のとおり要件を定めているのは、適用の対象を明確にし、簡便な税務処理を可能にするためであって、上記の立法目的との関連で不合理であるとはいえない。このことに、同条が前記の必要経費算入等の措置を定めていることを併せて考えれば、同条の合理性を否定することはできないものというべきである。」と判示して、所法56条の合理性を容認した。
さらに、所法57条との整合性について、「同法57条の上記の趣旨及び内容に照らせば,同法が57条の定める場合に限って56条の例外を認めていることについては,それが著しく不合理であることが明らかであるとはいえない。」として、本件各処分は、同法56条の適用を誤ったものではなく、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するものではないと結論付けている。
取り付く島がない最高裁判決で、弁護士⇒税理士事件はどうなる?
税理士の関心が高い弁護士⇒税理士事件に先立って、弁護士⇒弁護士事件で最高裁判決が下されたが、取り付く島がない最高裁判決からは、現在上告されている弁護士⇒税理士事件で逆転、あるいは、新たに提起された弁護士⇒税理士事件の更正処分取消請求で納税者が勝訴する見通しが小さくなった。
弁護士⇒税理士事件では、配偶者の事業の独立性を示す有利な情状があるとして、個別の事情を強調し、適用違憲などの主張を行っている。しかし、条文の解釈については、今回の最高裁判決がかなり明確に判断を示しており、個別の事情に配慮した適用違憲の余地も最高裁判決からは読み取ることができない。
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判決理由では、「同法56条の上記の趣旨及びその文言に照らせば、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても、そのことを理由に同条の適用を否定することはできず、同条の要件を満たす限りその適用があるというべきである。」と判示して、「配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合」といった個別事情を考慮する余地を示していない。
また、「同法56条の上記の立法目的は正当であり、同条が上記のとおり要件を定めているのは、適用の対象を明確にし、簡便な税務処理を可能にするためであって、上記の立法目的との関連で不合理であるとはいえない。このことに、同条が前記の必要経費算入等の措置を定めていることを併せて考えれば、同条の合理性を否定することはできないものというべきである。」と判示して、所法56条の合理性を容認した。
さらに、所法57条との整合性について、「同法57条の上記の趣旨及び内容に照らせば,同法が57条の定める場合に限って56条の例外を認めていることについては,それが著しく不合理であることが明らかであるとはいえない。」として、本件各処分は、同法56条の適用を誤ったものではなく、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するものではないと結論付けている。
取り付く島がない最高裁判決で、弁護士⇒税理士事件はどうなる?
税理士の関心が高い弁護士⇒税理士事件に先立って、弁護士⇒弁護士事件で最高裁判決が下されたが、取り付く島がない最高裁判決からは、現在上告されている弁護士⇒税理士事件で逆転、あるいは、新たに提起された弁護士⇒税理士事件の更正処分取消請求で納税者が勝訴する見通しが小さくなった。
弁護士⇒税理士事件では、配偶者の事業の独立性を示す有利な情状があるとして、個別の事情を強調し、適用違憲などの主張を行っている。しかし、条文の解釈については、今回の最高裁判決がかなり明確に判断を示しており、個別の事情に配慮した適用違憲の余地も最高裁判決からは読み取ることができない。
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