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解説記事2016年05月02日 【SCOPE】 熊本県全域の納税者、全税目の申告期限が自動延長(2016年5月2日号・№641)

大分県などの被災者も個別指定で延長可能
熊本県全域の納税者、全税目の申告期限が自動延長

 平成28年熊本地震により避難所生活を強いられる方も多い中、国税庁は4月22日、熊本県における国税に関する申告・納付等の期限の延長を行うことを決めた(平成28年国税庁告示第9号)。また、国税庁では「平成28年4月の熊本地震災害により被害を受けられた方の税務上の措置(手続)FAQ(以下「手続FAQ」)を公表している。本稿では手続FAQを中心に申告・納付等の期限延長などの概要を解説する。

4月14日以後に到来する申告・納付等の期限が延長
 国税庁は4月22日、平成28年熊本地震による被災状況等に鑑み、「地域指定」による申告・納付等の期限延長を行っている。熊本県に納税地を有する納税者については、すべての税目について平成28年熊本地震が発生した平成28年4月14日以後に到来する申告・納付等の期限が自動的に延長される。納税者については、特に税務署等で手続きを行う必要はない。期限をいつまで延長するかについては、被災者の状況等を配慮して今後決定し、国税庁告示により明らかにされる。したがって、今後決まる指定期日までに申告・納付すればよいことになる。
 ただし、相続税に関しては今回の「地域指定」による期限延長の対象とならない場合があるので留意したい。具体的には、被相続人の相続開始日(平成27年6月14日以降)における被相続人の住所地が熊本県である場合のみ「地域指定」の対象となる(手続FAQ2- 4、下表参照)。このケース以外の場合は、次に説明する「個別指定」により期限延長を行うことになる。

期限延長後の再延長も可能  また、今後の話となるが、期限が延長されたとしても、納税者の中には今回の熊本地震を理由にその期限までに確定申告を提出できないことも想定される。この場合には、「個別指定」により、さらに申告期限を延長することが可能だ。納税地を管轄する税務署長に対し、災害等のやんだ日から相当の期間内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することにより、税務署長等が指定した日(災害等のやんだ日から2か月以内)まで期限が延長されることになる。
 なお、「災害等のやんだ日」とは、納税者が申告・納付等の行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日とされており、例えば、交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日などが該当する(手続FAQ4)。
申告書の余白に付記することで可  今回の国税庁の「地域指定」については、熊本県全域が対象となっているが、大分県などの他の地域に納税地を有する納税者については対象となっていない。
 このため、熊本県以外の地域に納税地を有する納税者が熊本地震により被害を受けた場合には、前述した「個別指定」により、申告・納付期限を延長することができる。納税地を管轄する税務署長等に対し、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することになるが、これに代えて、災害等のやんだ日以降に申告等を行う際に、その申告書等の余白に「熊本地震災害により被害を受けたため、申告書の提出期限及び納付期限の延長を許可されたい。」旨を付記して提出することも認めている(手続FAQ2- 5)。
顧問税理士が被災した場合も延長可能  また、熊本地震により、顧問税理士が被災し、税理士業務をすることができない状況であるなど、期限までに納税者の申告業務ができないことも想定される。この場合についても、「個別指定」により申告・納付期限を延長することができるとされている(手続FAQ5)。
地震で帳簿書類等が滅失、青色申告は?  今回の地震の被害により、帳簿種類が滅失してしまったケースもあるだろう。確定申告を行う場合には、前年の所得計算の内容を参考するなどして、可能な限り正確な所得計算をすればよいこととされている。青色申告者については、一定の記帳と帳簿書類の保存が義務付けられている一方、青色申告特別控除などの特典を受けることができるが、震災前までは所定の帳簿書類を備え付け、記帳し、保存していたものと想定されるため、可能な限り所得計算をすれば、原則として青色申告の特典を受けることが可能となっている。
 また、消費税の仕入税額控除についても、災害その他やむを得ない事情により課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存できなかった場合に該当するため、仕入税額控除は認められる(手続FAQ11)。

熊本県の県税の申告期限延長は一部のみ
 熊本県は4月21日、平成28年熊本地震の被災状況等を踏まえ、平成28年4月14日以降に到来する県税の申告、申請、請求など書類の提出が必要なもの(審査請求は除く)の提出期限、納付又は納入期限の延長を行った。対象は熊本県内に住所を有する者や主たる事務所、事業所等を有する者。期限延長を受けるための手続きは不要だ。ただし、個人の県民税、自動車取得税、自動車取得時に納付する自動車税、狩猟税については対象ではないので要注意だ。

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