税務ニュース2012年12月03日 相続した土地への二重課税問題、訴訟に(2012年12月3日号・№477) 長崎保険年金事件の最高裁判決の射程、土地にまで及ぶか否か
相続した土地への二重課税問題、訴訟に
長崎保険年金事件の最高裁判決の射程、土地にまで及ぶか否か
最高裁が、年金の方法により支払を受ける保険金を巡り、年金受給権(定期金に関する権利)に相続税が課税され、さらに毎回受け取る年金に所得税が課税されることが二重課税に当たるとの判断を示したことは記憶に新しい(最高裁第三小法廷平成22年7月6日判決)。この判決は、相続税と所得税の課税関係の問題に一石を投じたものということができるだろう。
ところで、この最高裁判決を受けて、相続時までの土地の値上がり益について、土地の相続時に相続税が課税され、さらに土地の譲渡の際に所得税が課税されることも、二重課税に当たるのではないかとの指摘が多くの実務家からなされていたが、まさにこれを争点とした裁決事例(本誌457号9頁参照)が訴訟に発展していることが本誌取材により判明している。
訴訟において納税者側は、最高裁判決は相続人が取得する財産が何であっても、解釈の指針となる旨を指摘。納税者が相続によって土地を取得したことは、所得税法9条1項16号が非課税と規定している「相続により取得するもの」に該当するため、相続時の土地の経済的価値(相続税評価額)は、その後の土地譲渡の際に所得税の課税対象には含まれない旨を主張している。対する国側は、最高裁判決は「定期金に関する権利」について判示したものであり、政府税制調査会で公表された「最高裁判決研究会」の報告書(平成22年10月22日)においても、同判決の直接の射程が「定期金に関する権利」に限定されると指摘されていることも踏まえれば、その射程は土地などほかの相続財産にまでは及ばないとの主張だ。判決の内容次第では、実務に大きな影響を及ぼすことが考えられるだけに、その行方に注目が集まる。
長崎保険年金事件の最高裁判決の射程、土地にまで及ぶか否か
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ところで、この最高裁判決を受けて、相続時までの土地の値上がり益について、土地の相続時に相続税が課税され、さらに土地の譲渡の際に所得税が課税されることも、二重課税に当たるのではないかとの指摘が多くの実務家からなされていたが、まさにこれを争点とした裁決事例(本誌457号9頁参照)が訴訟に発展していることが本誌取材により判明している。
訴訟において納税者側は、最高裁判決は相続人が取得する財産が何であっても、解釈の指針となる旨を指摘。納税者が相続によって土地を取得したことは、所得税法9条1項16号が非課税と規定している「相続により取得するもの」に該当するため、相続時の土地の経済的価値(相続税評価額)は、その後の土地譲渡の際に所得税の課税対象には含まれない旨を主張している。対する国側は、最高裁判決は「定期金に関する権利」について判示したものであり、政府税制調査会で公表された「最高裁判決研究会」の報告書(平成22年10月22日)においても、同判決の直接の射程が「定期金に関する権利」に限定されると指摘されていることも踏まえれば、その射程は土地などほかの相続財産にまでは及ばないとの主張だ。判決の内容次第では、実務に大きな影響を及ぼすことが考えられるだけに、その行方に注目が集まる。
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