税務ニュース2003年10月27日 株式の消却を伴う無償減資、法人株主と個人株主で「泣き別れ」(2003年10月27日号・№040) 個人株主は譲渡損益を認識できず
株式の消却を伴う無償減資、法人株主と個人株主で「泣き別れ」
個人株主は譲渡損益を認識できず
株式の消却を伴う無償減資があった場合には、法人株主は、通常の株式の譲渡と同様に取り扱われ(法人税法61条の2①が適用され)、譲渡対価はゼロとなるため、譲渡原価相当額(消却に係る株式の帳簿価額相当額)の譲渡損失を認識することになっている。一方、個人株主は、所基通48-5(無償減資があった場合の株式の取得価額)が適用され(無償であるために、措置法37条の10④4号は適用されずに)、譲渡損益の計上は、無償減資時点で行われず、取得価額の改訂を行う取扱いが存続していることが、当局への取材により確認された。法人株主と個人株主では、課税上の取扱いが「泣き別れ」することになる。
法人税の変更に所得税が追随できず
平成13年度の税制改正(法人税法61条の2①の改正)により、株式消却を伴う無償減資が行われた場合について、法人株主は、譲渡損益が認識(無償であるため、譲渡損が計上)されることになった。これにより、当時の法人税法基本通達2-3-24(無償減資があった場合の1単位当たりの帳簿価額の算出の特例)は、平成14年2月15日付の通達改正で削除された。
一方、同じ株式消却を伴う無償減資が行われた場合について、個人株主は、所得税法基本通達48-5(無償減資があった場合の株式の取得価額)の取扱いにより、無償減資時点での譲渡損益の認識は行わず、当該株式の取得価額の改訂を行うことになる。
法人株主と個人株主とでの異なる取扱いについて疑問を呈する向きもあり、法人・個人(資産課税)の両面で取材を行ったが、上記のとおり、課税上の取扱いは法人株主と個人株主で「泣き別れ」を起こしていることが確認された。旧法基通2-3-24が削除された際には、所得課税でも忸怩たる思いがあったようだが、措置法37条の10④4号を無償減資にまで適用するとは読みきれないと判断しているとのことである。
取扱いの相違は、税目の性格の違いとの解説も
株式消却を伴う無償減資という一つの取引に対して、株主の態様により課税関係が異なることになる。本来一致した取扱いが望ましいと考えられる。しかし、法人課税では、帳簿上の資産について、発生時に損益を認識するのが妥当だということになるが、個人課税では、金銭のやりとりがない段階でむやみに損益を認識することは出来ない。また、損失としては取り扱われない家計費との区分といった別の問題もあるため、法人課税との取扱いの「泣き別れ」が必ずしも不当な取扱いではないという解説も行われている。やむにやまれぬ取扱いの相違ということだ。
個人株主は譲渡損益を認識できず
株式の消却を伴う無償減資があった場合には、法人株主は、通常の株式の譲渡と同様に取り扱われ(法人税法61条の2①が適用され)、譲渡対価はゼロとなるため、譲渡原価相当額(消却に係る株式の帳簿価額相当額)の譲渡損失を認識することになっている。一方、個人株主は、所基通48-5(無償減資があった場合の株式の取得価額)が適用され(無償であるために、措置法37条の10④4号は適用されずに)、譲渡損益の計上は、無償減資時点で行われず、取得価額の改訂を行う取扱いが存続していることが、当局への取材により確認された。法人株主と個人株主では、課税上の取扱いが「泣き別れ」することになる。
法人税の変更に所得税が追随できず
平成13年度の税制改正(法人税法61条の2①の改正)により、株式消却を伴う無償減資が行われた場合について、法人株主は、譲渡損益が認識(無償であるため、譲渡損が計上)されることになった。これにより、当時の法人税法基本通達2-3-24(無償減資があった場合の1単位当たりの帳簿価額の算出の特例)は、平成14年2月15日付の通達改正で削除された。
一方、同じ株式消却を伴う無償減資が行われた場合について、個人株主は、所得税法基本通達48-5(無償減資があった場合の株式の取得価額)の取扱いにより、無償減資時点での譲渡損益の認識は行わず、当該株式の取得価額の改訂を行うことになる。
法人株主と個人株主とでの異なる取扱いについて疑問を呈する向きもあり、法人・個人(資産課税)の両面で取材を行ったが、上記のとおり、課税上の取扱いは法人株主と個人株主で「泣き別れ」を起こしていることが確認された。旧法基通2-3-24が削除された際には、所得課税でも忸怩たる思いがあったようだが、措置法37条の10④4号を無償減資にまで適用するとは読みきれないと判断しているとのことである。
取扱いの相違は、税目の性格の違いとの解説も
株式消却を伴う無償減資という一つの取引に対して、株主の態様により課税関係が異なることになる。本来一致した取扱いが望ましいと考えられる。しかし、法人課税では、帳簿上の資産について、発生時に損益を認識するのが妥当だということになるが、個人課税では、金銭のやりとりがない段階でむやみに損益を認識することは出来ない。また、損失としては取り扱われない家計費との区分といった別の問題もあるため、法人課税との取扱いの「泣き別れ」が必ずしも不当な取扱いではないという解説も行われている。やむにやまれぬ取扱いの相違ということだ。
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