税務ニュース2019年02月25日 譲渡特例の不正で税理士業務の停止処分(2019年2月25日号・№776) 主たる住居の仮装による特例適用を信用失墜行為による自己脱税と判断
譲渡特例の不正で税理士業務の停止処分
主たる住居の仮装による特例適用を信用失墜行為による自己脱税と判断
居住用家屋の譲渡者が家屋を複数所有する場合には、譲渡者が主たる住居(生活の拠点)として利用する家屋のみ、居住用財産の譲渡特例を適用することができる。
本件で税理士に対して財務大臣が行った懲戒処分(3月の税理士業務の停止)は、戸建住宅とマンションを所有する税理士がマンションを生活の拠点としていないにもかかわらず、マンションの譲渡直前に住民票をマンションの所在地に異動し、その住民票の写しを確定申告書に添付することで特例の適用を受けることにより所得金額を不正に約1,500万円圧縮したことを理由とするもの。税理士法(信用失墜行為の禁止)に違反し、過少申告行為が自己脱税に該当すると判断された。この処分を不服とした税理士は、懲戒処分取消のほか、違法な処分により名誉等が侵害されたとして国に対して損害賠償を請求する訴訟を提起した。裁判のなかで税理士は、マンションが主たる住居(生活の拠点)に該当すると主張したほか、生活の拠点に該当しないとしても仮装行為はしていないと主張したうえで、懲戒処分は違法であるとした。
裁判所はまず、懲戒処分の業務停止期間が既に経過していることから、懲戒処分取消の訴えは不適法として却下した。次に裁判所は、マンションが主たる住居(生活の拠点)に該当するか否かを検討。マンションと戸建住宅について、①妻(専業主婦)は戸建住宅を主たる生活の拠点としていること、②戸建住宅の電気使用量がマンションの約5倍であること、③マンション購入から売却までの8年弱のうち約6年半は戸建住宅の住所地に夫妻の住民票上の住所が置かれていたこと、④税理士登録上の住所等も戸建住宅の所在地とされていたことなどを踏まえれば、税理士は戸建住宅を自らの主たる住居と認識して日常生活を送っていたと認めるのが相当であるとした。そのうえで裁判所は、マンションが主たる住居に該当しないことから特例の適用を受けることができないことを認識していたにもかかわらず、マンション所在地を住所とする住民票の写しを添付した行為は仮装行為に当たると判断。信用失墜行為による自己脱税と評価すべきものであると結論付けた。
主たる住居の仮装による特例適用を信用失墜行為による自己脱税と判断
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本件で税理士に対して財務大臣が行った懲戒処分(3月の税理士業務の停止)は、戸建住宅とマンションを所有する税理士がマンションを生活の拠点としていないにもかかわらず、マンションの譲渡直前に住民票をマンションの所在地に異動し、その住民票の写しを確定申告書に添付することで特例の適用を受けることにより所得金額を不正に約1,500万円圧縮したことを理由とするもの。税理士法(信用失墜行為の禁止)に違反し、過少申告行為が自己脱税に該当すると判断された。この処分を不服とした税理士は、懲戒処分取消のほか、違法な処分により名誉等が侵害されたとして国に対して損害賠償を請求する訴訟を提起した。裁判のなかで税理士は、マンションが主たる住居(生活の拠点)に該当すると主張したほか、生活の拠点に該当しないとしても仮装行為はしていないと主張したうえで、懲戒処分は違法であるとした。
裁判所はまず、懲戒処分の業務停止期間が既に経過していることから、懲戒処分取消の訴えは不適法として却下した。次に裁判所は、マンションが主たる住居(生活の拠点)に該当するか否かを検討。マンションと戸建住宅について、①妻(専業主婦)は戸建住宅を主たる生活の拠点としていること、②戸建住宅の電気使用量がマンションの約5倍であること、③マンション購入から売却までの8年弱のうち約6年半は戸建住宅の住所地に夫妻の住民票上の住所が置かれていたこと、④税理士登録上の住所等も戸建住宅の所在地とされていたことなどを踏まえれば、税理士は戸建住宅を自らの主たる住居と認識して日常生活を送っていたと認めるのが相当であるとした。そのうえで裁判所は、マンションが主たる住居に該当しないことから特例の適用を受けることができないことを認識していたにもかかわらず、マンション所在地を住所とする住民票の写しを添付した行為は仮装行為に当たると判断。信用失墜行為による自己脱税と評価すべきものであると結論付けた。
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