税務ニュース2021年10月22日 更正処分取消後に理由変更で処分可能か(2021年10月25日号・№903) 審判所、再度更正処分できない法令の規定なし
課税当局が当初更正処分を取り消し、処分理由を差し替えて改めて更正処分をすることができるのか。納税者にとっては酷な状況ではあるが、審判所がこの点につき判断を明らかにした裁決が明らかとなった。
本件は、原処分庁が請求人の関係法人は事業実態がない法人であり、関係法人が申告した収益、費用等に係る業務及び取引は請求人が行っているものであって、請求人が関係法人に対する外注費勘定に計上した金額は架空のものであるとして、法人税の青色申告の承認の取消処分並びに法人税等の更正処分等を行ったものである。争点は請求人が隠蔽・仮装に該当する事実の有無とされているが、注目すべきは原処分庁が当初各更正処分を取り消し、処分理由を差し替えて各更正処分を行っている点だ。請求人は、各更正処分は、根拠法令や課税標準の具体的な計算過程が記載されていない当初各更正処分における理由付記不備を治癒すべく行ったものであり、理由の差し替えを目的とした処分は、法の趣旨を無視した違法な処分であると主張。一方、原処分庁は当初各更正処分では請求人に帰属する売上金額の内訳を示した別表がなかったことからその補完をしたものであり、処分理由の差し替えは請求人にとって格別の不利益とはならないとしていた。
審判所は、原処分庁が更正処分を取り消し、再度更正処分することができないとする法令の規定はなく、原処分庁は適正な課税の確保の実現を図るため、更正処分等の瑕疵を発見したときは、課税の公平の見地から当然の権限行使としてこれを取り消して新たに更正処分をすることができるものとの見解を示した。その上で審判所は、原処分庁が当初各更正処分に係る通知書に付記された更正の理由に不備を発見し、再調査決定よりも前に当初各更正処分を取り消し、理由付記を是正し、各更正処分をしたことは瑕疵ある処分を是正したものであり、法の趣旨を無視した違法な処分とは認められないとして請求人の主張を斥けた。
また、原処分庁は青色取消処分においても認定事実の一部を取り消し、新たな事実を加えて原処分を行っている。この点も審判所は、原処分庁が当初青色取消処分を取り消し、再度処分をすることができないとする法令の規定はなく、原処分庁は、当初青色取消処分の瑕疵を発見したときは、これを取り消して新たに処分をできるとした。
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