税務ニュース2021年12月03日 賃上げ税制に併せ外形標準課税も改正(2021年12月6日号・№909) 大法人の所得割への軽減税率は廃止、減資問題への対応は見送り
令和4年度税制改正大綱のとりまとめ(12月9日に公表の見込み)に向けた与党税調のプロセスが11月26日からスタートしているが、その目玉に浮上したのが賃上げ税制だ。賃上げ税制は岸田政権が打ち出す「成長と分配」政策の一環であるだけに、最終的な内容の決定は政治判断に委ねられるいわゆる“マル政項目”となることが確実となっており、大綱とりまとめ直前までもつれ込むことになろう。
この賃上げ税制の導入に伴い、外形標準課税も見直されることが本誌取材により判明した。現行の外形標準課税制度では、法人税上の「法人の新規雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置」(大企業向け)、「中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置」(中小企業向け)を踏まえ、付加価値割の算定において、付加価値額から「新規雇用者の給与総額」を控除している。これは、付加価値の大半は人件費であるところ、法人税上は人件費の引上げに優遇税制を設けておきながら、人件費が増えた結果として付加価値割の税負担が増えるのはおかしいとの理屈によるもの。令和4年度税制改正で創設される賃上げ税制への対応も、現行制度同様、賃上げ額を付加価値額から控除する形となる。
また、現行制度では、所得割の計算上、800万円以下の所得には軽減税率が設けられており、資本金1,000万円以上の大法人であっても、事務所等を「2以下」の都道府県にしか設けていない場合には適用対象とされている。すなわち、極端な例では、資本金100億円で2つの県に事務所を設けている法人は適用対象、資本金1,000万円で3つの県に事務所を設けている法人は適用対象外となる。これは不公平である上、軽減税額も最大13万円と低額であることから、大法人への軽減税率は廃止される。もっとも、最大13万円の増税であるため、影響は小さい。
このほか、以前から問題視されている「減資による中小企業化」、すなわち資本金を1億円以下にして外形標準課税の適用を逃れるという問題も論点に上ったものの、「中長期課題」とされ、令和4年度税制改正での対応は見送られている。
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