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解説記事2021年12月06日 ニュース特集 実務に直結する令和4年度の納税環境整備(2021年12月6日号・№909)

ニュース特集
帳簿の不記帳・不存在にペナルティ
実務に直結する令和4年度の納税環境整備


 与党の税制調査会は早ければ12月9日にも令和4年度税制改正大綱を取りまとめる予定だが、実務に直結する見直しである納税環境整備の概要が明らかとなった。政府税制調査会で指摘されていた記帳水準の向上・適正化申告や財産債務調書制度の見直し、会計検査院から指摘されていた大口株主等の要件の見直しが行われる。また、令和5年10月1日から導入される適格請求書等保存方式に係る登録手続きの見直しも行われる。

帳簿の不記帳・不存在の場合は過少申告・無申告加算税を10%加重

 記帳水準の向上・適正化に関しては政府税制調査会の納税環境整備に関する専門家会合で検討が行われてきたもの(本誌894号40頁参照)。令和4年度税制改正では、記帳義務の適正な履行を担保するため、帳簿の不存在や記帳不備について未然に抑止する方策として過少申告加算税・無申告加算税の加重措置を講じるとしている。具体的には、修正申告前に電子帳簿を含む帳簿の提出の要求があった場合において、①不記帳・不存在であった場合(その提出をしなかった場合)には10%加重、②提出された帳簿について、その申告書の作成の基礎となる重要な事項の記載が不十分である場合は5%加重(記載が著しく不十分な場合は10%加重)する(図表1参照)。ただし、災害など納税者の責めに帰すべき事由がない場合は適用しない。

 対象となる帳簿については、所得税法、法人税法及び消費税法の保存義務のある一定の売上に係る帳簿とされており、具体的には、白色申告者・青色申告者(簡易・現金)・消費税法上の事業者が保存しなければならない帳簿については、「売上帳」「売掛帳」「現金出納帳」等であり、青色申告者(複式)の場合は「仕訳帳」「総勘定元帳」のことである。
証拠書類のない簿外経費は認めず
 国税庁が指摘していた証拠書類のない簿外経費への対応策も講じられる。税務調査において、証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者や、証拠書類を仮装して簿外経費を主張する納税者に対しては、①間接経費の額が生じたことを明らかにする帳簿書類等を保存する場合(災害その他やむを得ない場合を除く)、②保存する帳簿書類等により間接経費の額に係る取引の相手先が明らかである場合やその取引が行われたことが推測される場合であって、反面調査等により税務署長がその取引が行われたと認める場合を除き、必要経費不算入・損金不算入の措置を講じることとしている。

財産債務調書制度の提出、総資産10億円以上も対象

 平成27年度税制改正で導入された財産債務調書制度が見直される。現行、所得2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において総資産が3億円以上又は1億円以上の有価証券等を保有している場合には財産債務調書を翌年3月15日までに提出することが義務付けられている。ただし、所得2,000万円以下の者については、仮に高額の資産を保有していたとしても調書の提出義務がないため、納税者における資産の異動状況等について十分に把握できていないとの問題点が指摘されている。
 このため、現行の提出基準に加えて、「総資産10億円以上」を追加する。所得基準はないため、仮に所得2,000万円以下の者であっても提出義務が課せられることになる。
 また、調書には、保有する財産・債務の所在地・銘柄別・価額等を記載することとされているが、現行の提出期限(翌年3月15日)までに保有財産の種類・数量・価額を正確に算出・記載することは時間的に困難であることを考慮し、翌年6月30日までとする。加えて、現行、取得価額100万円未満の家庭用動産は記載を省略することができるとされているが、提出義務者の事務負担を軽減するよう省略可能とする範囲を取得価額300万円未満に引き上げる。
 なお、国外財産調書についても、同様の提出期限の緩和及び記載省略の範囲の拡充を行う。

免税事業者、課税期間の途中からの適格請求書発行事業者の登録可

 適格請求書等保存方式が令和5年10月1日から導入されるが、登録手続の見直しが行われる。現行、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請をした場合、令和5年10月1日の属する課税期間においては、経過措置により、課税期間の途中でも登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができる。しかし、その後の課税期間においては、課税期間の途中からの登録はすることができない(図表2参照)。取引先が免税事業者の場合には仕入税額控除ができないため、多くの免税事業者が課税事業者になるかどうかの判断に迫られることが予想される。このため、免税事業者が登録の必要性を見極めながら柔軟なタイミングで適格請求書発行事業者となることができるよう、令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間においても、課税期間の途中からの登録をできるようにする(簡易課税の適用も可)。

国外事業者、登録の拒否が可能に
 国外事業者の適格請求書発行事業者の登録も見直す。国内に事業所等を有し、住所等を有しない国外事業者(ホテルの一室等を事業者等とした短期滞在の者等)については、納税管理人を定めていない場合であっても適格請求書発行事業者の登録を拒否することができず、適格請求書を発行した上で消費税の申告・納税を行わないまま帰国することが想定される。このため、納税管理人を定めることとされている国外事業者が、納税管理人を定めていない場合には登録を拒否することができることとし、虚偽の記載をして申請し登録を受けた場合には、登録を取り消すことができるようにする。

持株割合が実質3%以上となる株主も総合課税の対象に

 会計検査院が「令和2年度決算検査報告」で指摘した申告不要配当特例等を適用している個人株主の適用範囲の見直し(本誌906号9頁参照)が令和4年度税制改正で行われることになった。
 会計検査院が問題視したのは、上場会社の株式を保有している法人の過半数を支配している特殊関係個人株主だ。特殊関係個人株主の持株割合が3%未満であっても特殊関係法人株主を通じるなどして上場会社に対する持株割合を実質的に3%以上とすることが可能だが、特殊関係個人株主は持株割合が3%未満であるため、申告不要配当特例等を適用することが可能になっている(図表3参照)。

 会計検査院によれば、特殊関係法人株主を通じるなどして対象会社に対する持株割合が実質的に大口の個人株主と同等の3%以上となっている特殊関係個人株主が支払いを受けた配当の平均額は、平成30年分2,178万円、令和元年分2,361万円にのぼっている。
 現行、大口株主(上場株式等に係る持株割合が3%以上)が保有する株式については、会社の経営に参画する持分としての事業参加的な性格が強いことから総合課税の対象とされている。今回、会計検査院が指摘した特殊関係個人株主についても持株割合が3%以上となる場合には総合課税の対象とする。
持株割合1%以上の株主を税務署に提出
 また、上場株式等の配当等の支払いをする内国法人に対しては、配当等の支払いに係る基準日においてその持株割合が1%以上となる対象者の氏名、個人番号等を記載した報告書を税務署長に提出することを義務付けることとする。

元税理士も懲戒処分の対象に


 令和3年度税制改正大綱で検討事項とされた税理士法についても改正が行われる。注目は事務所設置規制の見直しだ。コロナ禍で税理士事務所においてもリモートワークが拡がる中、「継続的に税理士業務を執行する場所」とする事務所の定義を「税理士業務の本拠」とする。現行は応接設備や使用人の有無など物理的事実で事務所かどうか判定していたが、外部に対する表示の有無のみで判定し、業務の場所・形態にとらわれない働き方を認める。また、懲戒処分を逃れるために税理士登録を抹消するケースに対応する。現在は、国税当局の調査の対象が現職の税理士に限られているため、懲戒手続が開始される前に自ら税理士登録を抹消することで調査や懲戒処分を逃れるケースがあるという。このため、国税当局の調査の対象に「元税理士」「にせ税理士」を加えるとともに在職中に税理士法違反を行った元税理士についても国税審議会の議決に基づき「懲戒処分を受けるべきであったことの決定」処分をできることとし、再登録不可や官報公告といった懲戒処分と同等の措置を講じることができるようにする。
 そのほか、税理士法人制度については、成年後見業務や租税教育・普及の業務を行うことができるよう業務の範囲を拡充する。また、税理士業務を停止された社員税理士は税理士法人から脱退することを明確化するため、社員税理士の法定脱退事由に「業務停止」を追加する。
 なお、税理士試験については、多様な人材の確保と受験者数の減少に対処するため、簿記論及び財務諸表論の会計学科目については受験資格を不要とするとともに受験資格の履修科目要件を現行の「法律学又は経済学」(1単位以上)から「社会科学」に拡充する。

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