税務ニュース2023年02月17日 借入暗号資産、現行法上の負債側評価は(2023年2月20日号・№967) 当局、期末保有なら時価評価不要明言も、未保有時の扱いは回答保留
国税庁が令和5年1月20日付で公表した「法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)」の問6によれば、借入後に返還を要する暗号資産については、将来的な価格変動リスク等を借手が負わず、一般的には自己の計算において暗号資産を有するとは言えないことを理由に、期末時価評価は不要とされている。ただし、同問の解説を読む限り、これは借り入れた暗号資産を事業年度末時点で有しているとされる場合の「資産側」の取扱いを示すにとどまっているため、解説を読んだ実務家からは、資産とは反対側の返還義務としての負債の時価評価の要否や、借入れた暗号資産を譲渡し期末時点では有していない場合には負債側の取扱いが異なるのかについて疑問の声が聞かれる。この点、本誌が課税当局に取材したところ、借入れた暗号資産を期末時点で有している場合には、資産側同様に負債側も時価評価不要であることが確認された。ただし、期末時点で有していない場合に負債側の時価評価をすべきかという点については、令和5年度税制改正で見直すこととされているため、改正法案を確認した後でなければ、現行法令上の取扱いについて回答することも困難とのことだ。
借入暗号資産に関する令和5年度税制改正は、本誌が別途、財務省に取材したところによれば、「暗号資産交換業者から借り入れた場合について規定している法人税法61条7項の取扱いを暗号資産交換業者以外の者から借り入れた場合にも広げる」という趣旨であることが確認された。現行の法人税法61条7項は、みなし決済損益の計上を通じて負債側時価評価を要請すると解される、有価証券の空売り等に関する法人税法61条の4に類似する規定となっている。このため、改正後は有価証券の空売りと同様に、暗号資産交換業者以外からの暗号資産の借入れについても負債側の時価評価が必要で、逆に現行法令上は、暗号資産交換業者以外からの借り入れについては、みなし決済損益の計上を通じた負債側時価評価は不要なのではないかと考える実務家もいる。とはいえ、現状では課税当局から明確な回答が得られていない以上、改正法令案の公表を待って続報したい。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.