税務ニュース2023年06月23日 非適格SOの行使時の株価算定も見直し(2023年6月26日号・№984) 財基通による算定は認められるも、“著しく不適当な”価額は不可
本誌982号でお伝えしたとおり、信託型SOが権利行使時に給与課税となる旨のQ&Aが国税庁から公表されたことを受け、その影響を受ける企業等の間では対応策が検討されている。
国税庁によれば、新株予約権を役職員に交付する前であれば、税制適格SOの要件を満たすことで、信託型のまま税制適格SOへの移行が可能とのことだが(本誌982号5頁)、どのような契約内容にすれば税制適格SOと認められるのか、企業等は早急な情報提供を求めている。この点について国税庁は、現在業界団体との間で協議中であり、詳細が固まり次第、Q&Aを更新する予定とのことだ。
こうした中、5月30日に意見募集が開始された「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の一部改正(案)における所基通23〜35共−9の改正案を読んだ専門家から、信託型のままであっても、実質的に給与課税されないケースがあるのではないかとの声が上がっている。
というのも、本改正案では、税制適格SOの付与契約時の株価算定ルールを見直す(セーフハーバールールの設定)と同時に(措置法通達29の2−1)、所基通23〜35共−9も見直されており、それによれば、税制非適格SOの権利行使を行う場合の「権利行使時の株価」についても、財産評価基本通達の評価方法による算定が認められているからだ。そこで、特にスタートアップでは、純資産の価額が極めて少なかったり、VCが保有する優先株式による優先分配分を除いて算定することが認められることなどから、税制適格SOの付与契約時の株価算定ルールと同様に、非適格の権利行使時についても、普通株式の1株当たりの価額を1円などとすることが認められるのではないか、との推測が広がることとなった。仮にこの推測が正しいとすると、権利行使時の給与課税対象額が実質的になくなることになる。
しかし、この点については、所基通23〜35共−9(4)ニの(注)に「著しく不適当と認められるときを除き」とあるため、会計上の株価等に比べ著しく低い財産評価基本通達の評価方法による株価は認められない。つまり、税制適格SOの「付与契約時の1株当たりの価額」のように、1円などとすることはできないということだ。
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