会計ニュース2024年07月26日 現行制度での有報の早期開示は非現実的(2024年7月29日号・№1037) 会計士協会会長、総会前開示には制度的な工夫が必要との認識

  • 会計士協会の茂木哲也会長、現状のスケジュールで有価証券報告書を株主総会前に開示することは現実的ではないとし、有価証券報告書の開示のタイミングを繰り下げた上で、さらに制度的な工夫が必要になるとの認識。

 6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)では、「有価証券報告書の株主総会前の開示に向けた環境整備等のコーポレートガバナンス改革の実質化等を推進する」旨が明記された。これを踏まえ、今後、有価証券報告書の株主総会前の開示がいよいよ実現するのではないかとされているが、日本公認会計士協会の茂木哲也会長(写真)は7月18日、定期総会後の記者会見で、今後、有価証券報告書においてサステナビリティ関連財務情報を開示することになると、現状の決算日から3か月以内とのスケジュールでも開示することは難しく、現行制度においては有価証券報告書の早期開示は非現実的であるとした。また、国際コーポレートガバナンスネットワーク(ICGN:International Corporate Governance Network)が求める株主総会の30日前開示は相当な無理があり不可能に近いと指摘。開示のタイミングを早めることで開示の質が下がっては本末転倒であるとした。
 現行制度においても、株主総会の基準日を新たに定めることにより、株主総会の開催日を後ろ倒しすることは可能だ。ただ、コロナ禍においても、制度として拡がりを見せなかったことを踏まえると、茂木会長は、有価証券報告書の開示のタイミングを繰り下げた上でさらに制度的な工夫が必要になるとの認識を示している。
 なお、会社法上、株式会社の定時株主総会は、「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と規定されているが(会社法296条1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することが求められているわけではない。しかし、仮に定款に定められた基準日から3か月を経過した後に定時株主総会を開催する場合には、会社は新たに議決権行使のための基準日を定める必要があり、会社側に大きな事務負担が生じることになる。

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