税務ニュース2024年09月06日 ストックオプションプールも税制適格可(2024年9月9日号・№1042) 改正産業競争力強化法が施行、スタートアップ企業に会社法の特例
先の通常国会で成立した「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律」(改正産業競争力強化法)が令和6年9月2日から施行されている(一部除く)。改正産業競争力強化法では、会社法の特例として、米国で普及しているストックオプション・プールと呼ばれる「募集新株予約権の機動的な発行」に関する制度が創設された。
現行の会社法では、株主総会において、①発行数の上限、②有償・無償の区別(有償の場合、ストックオプションの取得額の最低額)、③ストックオプションの内容(権利行使価額や権利行使期間など)を決議しなければならないが、一部の事項については、1年間に限って取締役会に委任することが可能になっているものの、権利行使価額や権利行使期間については取締役会に委任できないほか、上場までに複数年を要するスタートアップ企業においては、取締役会への委任が可能な期間が1年では柔軟性や機動性に欠けるとの弊害が指摘されていた(本誌1019号参照)。
このため、今回の改正産業競争力強化法の会社法の特例では、経済産業大臣・法務大臣の確認を受けたスタートアップ企業を対象に、取締役会へ委任することができる期間を会社設立後最大で15年間可能にするとともに、権利行使価額及び権利行使期間を取締役会に委任することで、ストックオプションの柔軟かつ機動的な発行が可能になる。ストックオプションを付与することで優秀な人材を確保するスタートアップ企業にとっては大きな改正となっている。
ただし、問題は税務上の取扱いだ。税制上の措置が講じられていなければ、制度の普及がままならないからだ。この点、経済産業省は、ストックオプション・プールにより発行されたストックオプションであっても、税制適格ストックオプションとしての要件を満たしている限り、ストックオプション税制(権利行使時の取得株式の時価と権利行使価額との差額に対する給与所得課税を株式売却時まで繰り延べ、株式売却時に売却価格と権利行使価額との差額を譲渡所得として課税)の適用が可能であるとの見解を明らかにしている。スタートアップ企業にとっては朗報といえそうだ。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.