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経営・総務2019年08月23日 TDB景気動向調査(全国) 2019 年7月調査 出典:帝国データバンク

国内景気、8 カ月連続で悪化
~ 海外景気の悪化に天候不順が追い打ち ~

( 調査対象2 万3,650 社、有効回答1 万91 社、回答率42.7%、調査開始2002 年5 月)
調査結果のポイント
1.2019 年7 月の景気DI は前月比0.5 ポイント減の44.6 となり、8 カ月連続で悪化した。国内景気は、製造業の悪化基調や設備投資意欲の低下が続くなか、天候不順も響き、後退局面入りの可能性が高まってきた。今後の国内景気は、消費税率引き上げにともなう消費減退に加え、日米通商交渉やFRB の利下げが及ぼす影響も懸念され、不透明感が一層強まっている。
2.10 業界中、『製造』『卸売』『小売』『農・林・水産』など6 業界が悪化、3 業界が改善、1 業界が横ばいとなった。一部地域での記録的な日照不足や低気温が響いたほか、輸出減速や設備投資意欲の低下もマイナス材料となった。
3.『南関東』『東海』『中国』など10 地域中7 地域が悪化、『北海道』『九州』の2 地域が改善、『北関東』が横ばいとなった。米中貿易摩擦や景気の先行き懸念の高まり、低調な民間住宅建設など、設備投資意欲が9 地域で低下。また一部地域では天候不順の影響も受けた。

< 2019 年7 月の動向 : 後退局面入りの可能性 >

2019 年7 月の景気DI は前月比0.5 ポイント減の44.6 となり、8 カ月連続で悪化した。
7 月の国内景気は、海外経済の低迷にともなう輸出減速などを受けた製造業の悪化基調が、関連業種にマイナスの影響を及ぼしたほか、先行きの不透明感を背景に設備投資意欲DI が2016 年10 月以来2 年9 カ月ぶりの水準まで低下したことも悪材料となった。また、月前半を中心に一部地域で起きた記録的な日照不足や平年より低い気温が続くといった天候不順が、消費や食品に関連する業種の景況感を押し下げた。人件費などのコスト負担が引き続き重荷となったうえ、周辺国との関係悪化が一部企業のマインドを下押しした。
国内景気は、製造業の悪化基調や設備投資意欲の低下が続くなか、天候不順も響き、後退局面入りの可能性が高まってきた。

< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >

今後は、省力化需要に加え東京五輪の開催や公共投資も寄与し、設備投資は底堅く推移するであろう。個人消費は、良好な雇用環境が引き続きプラス材料ながら、消費税率の引き上げにともない一時的に落ち込むと予想される。また中国を含め世界経済の低迷を背景とした輸出の減速基調は、製造業などの景況感を下押しする可能性がある。海外は、中国経済や日米通商交渉、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げなどが及ぼす影響が懸念されるほか、英EU離脱および日韓関係も注視していく必要がある
今後の国内景気は、消費税率引き上げにともなう消費減退に加え、日米通商交渉やFRBの利下げが及ぼす影響も懸念され、不透明感が一層強まっている。

業界別:10業界中6業界が悪化、天候不順や輸出減速が悪影響を及ぼす

・10 業界中6 業界が悪化、3 業界が改善、1 業界が横ばいとなった。一部地域での記録的な日照不足や低気温が響いたほか、輸出減速や設備投資意欲の低下もマイナス材料となった。
『製造』(41.5)…前月比0.5 ポイント減。3 カ月連続で悪化。「パルプ・紙・紙加工品製造」(同2.1 ポイント減)は、梱包用段ボール箱や紙器で機械関連の輸出減少がマイナス要因となったほか、天候不順が影響し飲料や青果向けも悪化、2016 年9 月以来2 年10 カ月ぶりに景気DI が40 を下回った。「出版・印刷」(同1.4 ポイント減)は、市場縮小や材料費の高値推移が続くなか、食品包装や夏物商品関連が悪化。「輸送用機械・器具製造」(同1.1 ポイント減)は、中国など世界的な自動車販売台数の減少を背景とした輸出減少が部品や装置関連の下押し要因となった。自動車や半導体関連の受注低迷および設備投資の見送りが響いた「機械製造」(同1.1 ポイント減)など、12 業種中9 業種が悪化した。
『卸売』(41.0)…同0.4 ポイント減。4 カ月連続で悪化。「飲食料品卸売」(同1.6 ポイント減)は、農作物の生育不良や夏物食品の需要減少が響いた。「再生資源卸売」(同4.3 ポイント減)は、鉄や非鉄スクラップの世界的な需要低迷や環境規制による価格下落がマイナスに働いた。「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(同1.4 ポイント減)は、製造業の低調な設備稼働率を受け潤滑油などの販売が減少。「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(同1.8 ポイント減)は、夏物衣料の需要低迷で8 年2 カ月ぶりに景気DI が30 を下回った。設備投資の見送りが響いた「機械・器具卸売」(同0.6ポイント減)など、9業種中6業種が悪化した。
『小売』(39.5)…同2.5 ポイント減。2 カ月ぶりに悪化。消費者心理の悪化傾向が続くなか、天候不順や大手企業などの夏季賞与減額が、売り上げ減少につながった。低気温が飲料や季節商品の販売などに響き、「飲食料品小売」(同1.4 ポイント減)やスーパーを含む「各種商品小売」(同5.4 ポイント減)の景況感が悪化した。「家電・情報機器小売」(同9.2ポイント減)は、法改正を見据えた消費者の携帯端末購入における様子見姿勢がマイナス材料となった。深刻な人手不足や売り上げ減少が響いた「自動車・同部品小売」(同3.3 ポイント減)など9 業種中8 業種が悪化し、2 年3 カ月ぶりに景気DI が40 を下回った。
『農・林・水産』(39.1)…同4.1 ポイント減。2 カ月ぶりに悪化。北日本や東日本の太平洋側を中心とした記録的な日照不足や低気温が一部の農作物の生育へ悪影響を及ぼし、出荷量が落ち込んだ。加えて、夏場を迎え鶏卵や鶏肉の消費が低迷するなかにあって、生産量の増加が価格の低下につながり売り上げが減少、養鶏の景況感が悪化した。後継者不足の深刻化などで雇用過不足DI(正社員)が過去最高を更新したほか、燃料価格の高値推移も負担となり、2014 年12 月以来4 年7 カ月ぶりに景気DI が40 を下回った。

規模別:全規模が4 カ月連続で悪化、海外経済の減速や天候不順が下押し

・「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが4 カ月連続でそろって悪化した。中国経済の減速に加え、日照不足などの天候不順が下押し要因となった。
「大企業」(47.7)…前月比1.0 ポイント減。4 カ月連続で悪化。中国経済の減速が続くなか、機械製造や化学品製造などが大きく悪化。「大企業」は収益環境の悪化などで景気の先行きに慎重さを増しており、設備投資意欲DI が2 年6 カ月ぶりに50 を下回った。
「中小企業」(43.9)…同0.3 ポイント減。8 カ月連続で悪化。日照不足などの天候不順を受けて野菜作農業や林業などが悪影響を受けた。また、投資用不動産向け融資の審査厳格化 などにともない、貸家や不動産代理などが悪化した。
「小規模企業」(43.8)…同0.3 ポイント減。7 カ月連続で悪化。天候不順によりガソリンや家電・情報機器などの販売が低調に推移した。また、『運輸・倉庫』は荷動きの悪さが響き3 カ月連続で3 ポイント以上落ち込んでおり、急速に悪化している。

地域別:10地域中7地域が悪化、設備投資意欲が9地域で低下

・『南関東』『東海』『中国』など10 地域中7 地域が悪化、『北海道』『九州』の2 地域が改善、『北関東』が横ばいとなった。米中貿易摩擦や景気の先行き懸念の高まり、低調な民間住宅建設など、設備投資意欲が9 地域で低下。また一部地域では天候不順の影響も受けた。
『南関東』(45.5)…前月比0.5 ポイント減。2 カ月ぶりに悪化。域内1 都3 県がいずれも悪化したほか、10 業界中8 業界が落ち込んだ。とりわけ貸家向けなどの民間住宅建設が低調で、『建設』が全体の景況感を下押しした。
『東海』(44.7)…同1.1 ポイント減。7 カ月連続で悪化。米中貿易摩擦の影響が一部業界でみられたほか、機械類の景況感が悪化するなかで、設備稼働率が4 カ月連続で低下してきた。『東海』は2 年8 カ月ぶりに景況感を「悪い」と考える企業が4 割を上回った。
『中国』(45.0)…同0.5 ポイント減。3 カ月連続で悪化。設備投資意欲が3 カ月連続で低下するなか、主力産業である自動車関連を含め『製造』が大きく悪化した。また、天候不順では特に『小売』『運輸・倉庫』などが悪影響を受けた。

業界別の景況感企業の声2(卸売~サービス)

調査先企業の属性

1.調査対象(2 万3,650 社、有効回答企業1 万91 社、回答率42.7%)

2.調査事項

・景況感(現在)および先行きに対する見通し
・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について

3.調査時期・方法

2019 年7 月18 日~7 月31 日(インターネット調査)

景気動向指数(景気DI)について

■TDB 景気動向調査の目的および調査項目

全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002 年5 月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2 万3 千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。

■調査先企業の選定

全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。

■DI 算出方法

DI(ディフュージョン・インデックス〈Diffusion Index〉)は、企業による7 段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
景気DI は、50 を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50 が判断の分かれ目となる(小数点第2 位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1 社1 票」で算出している。

■企業規模区分

企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。

■景気予測DI

景気DI の先行きを予測する指標。ARIMA モデルに、経済統計やTDB 景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructural ARIMA モデルで分析し、景気予測DI を算出している。

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