税務ニュース2004年01月26日 「繰越欠損金の算定方法の改善」で事業再生に大きな効果が期待(2004年1月26日号・№051) 私財提供等の繰越欠損金では、資本積立金額を控除せず
「繰越欠損金の算定方法の改善」で事業再生に大きな効果が期待
私財提供等の繰越欠損金では、資本積立金額を控除せず
平成16年度税制改正では、「金融・産業の構造改革を促進する税制」の一環として、「資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入制度について、繰越欠損金額から資本積立金額を控除しないこととする。」とされた。これは、「期限切れ繰越欠損金の算定方法の改善」の税制改正要望に応えたものだが、株主責任の追及(減資)を含む事業再生では大きな効果が期待できそうだ。
現行規定は、組織再編税制で理論根拠を失う
法人税法59条は、資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入を規定しているが、損金の額に算入される欠損金額の範囲は法令118条で下図のように規定されている。税制改正要望通りに資本積立金額を控除しないこととすると、繰越欠損金の全額が根拠条文こそ異なるものの損金算入されることになる。私財提供等があった場合の繰越欠損金から資本積立金額を控除することにしていたのは、資本積立金額(会社内部)で充当(補填)できる部分については、税での対応(特例的な損金算入)は不要であると考えられていたからだ。
しかし、平成13年の企業組織再編税制により、資本積立金額の意義は改正され、資本準備金をもって欠損填補に充てても資本積立金額は減少しないこととなり、資本積立金額についてはマイナスも生じうることとなった。「資本積立金額で充当(填補)できる分については」という考え方は理論的な根拠を失うことになった。
減資を伴う事業再生・私財提供等では大きな効果が期待
一方、株主責任の追及(減資)・株主等の私財提供等を伴った事業再生計画では改正により大きな効果が期待できる。株主責任を追及する減資では、減資差益が資本積立金額を構成するが、現行の規定では資本積立金額に相当する繰越欠損金の損金算入が認められない。減資と同時期に行われた私財提供等で多額の債務免除益などが生ずる場合には、課税部分が生じ、資金的に事業再生を阻害する要因となっていた。今回の改正は、繰越欠損金全額が損金算入の対象となるので、資本と利益を区別するという意味でもすっきりした改正ということができる。

私財提供等の繰越欠損金では、資本積立金額を控除せず
平成16年度税制改正では、「金融・産業の構造改革を促進する税制」の一環として、「資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入制度について、繰越欠損金額から資本積立金額を控除しないこととする。」とされた。これは、「期限切れ繰越欠損金の算定方法の改善」の税制改正要望に応えたものだが、株主責任の追及(減資)を含む事業再生では大きな効果が期待できそうだ。
現行規定は、組織再編税制で理論根拠を失う
法人税法59条は、資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入を規定しているが、損金の額に算入される欠損金額の範囲は法令118条で下図のように規定されている。税制改正要望通りに資本積立金額を控除しないこととすると、繰越欠損金の全額が根拠条文こそ異なるものの損金算入されることになる。私財提供等があった場合の繰越欠損金から資本積立金額を控除することにしていたのは、資本積立金額(会社内部)で充当(補填)できる部分については、税での対応(特例的な損金算入)は不要であると考えられていたからだ。
しかし、平成13年の企業組織再編税制により、資本積立金額の意義は改正され、資本準備金をもって欠損填補に充てても資本積立金額は減少しないこととなり、資本積立金額についてはマイナスも生じうることとなった。「資本積立金額で充当(填補)できる分については」という考え方は理論的な根拠を失うことになった。
減資を伴う事業再生・私財提供等では大きな効果が期待
一方、株主責任の追及(減資)・株主等の私財提供等を伴った事業再生計画では改正により大きな効果が期待できる。株主責任を追及する減資では、減資差益が資本積立金額を構成するが、現行の規定では資本積立金額に相当する繰越欠損金の損金算入が認められない。減資と同時期に行われた私財提供等で多額の債務免除益などが生ずる場合には、課税部分が生じ、資金的に事業再生を阻害する要因となっていた。今回の改正は、繰越欠損金全額が損金算入の対象となるので、資本と利益を区別するという意味でもすっきりした改正ということができる。

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