解説記事2017年02月27日 【SCOPE】 空き家に係る譲渡所得の特例、適用を受けるためのポイント(2017年2月27日号・№680)
併用可能な税制措置もあり!
空き家に係る譲渡所得の特例、適用を受けるためのポイント
平成28年度税制改正では、相続により発生する空き家対策として、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度が創設されている。家屋を相続した相続人が家屋又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するというもの。耐震リフォームあるいは更地にする必要があるため適用までのハードルは高いが、自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除などと併用が可能であるなど、メリットは大きい。平成28年4月~12月までに譲渡した場合については、今回の確定申告が初めての申告となる。
居住用財産の買換え特例との併用も可能
相続を契機として被相続人が居住していた家屋が空き家になるケースは多く、国土交通省によれば、毎年平均して6.4万戸が増加しているという。
平成27年2月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家等の管理は所有者の責任である旨が明記されたものの、相続人にとって空き家の維持改修や除去には大きなコストがかかる。このため、相続により発生する空き家対策として創設されたのが、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度であり、今年の確定申告が初めての申告となる。
同特例制度は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除するというものである。
平成25年1月2日に相続発生の場合は? 適用を受けるためのポイントは主に3つある。1つ目のポイントは相続発生日を起算点とした適用期間の要件だ。具体的には、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要となる。例えば、平成25年1月2日に相続が発生した場合、本特例の対象となる譲渡期間は平成28年4月1日から12月31日となる。
昭和56年5月31日以前に建築の家屋 2つ目のポイントは相続した家屋の要件である。特例の対象となる家屋は、①相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること、②相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること、③昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること、④相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと(※相続した家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時から当該取壊しの時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと)の要件を満たす必要がある。
耐震リフォーム又は更地に 3つ目のポイントは譲渡する際の要件で、①譲渡価額が1億円以下、②家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであることが必要となる。
被相続人居住用家屋等確認書等を添付 以上のように空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度を適用するための要件のハードルは高い。ただ、同特例制度の場合には、「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」または「自己居住用財産の買換え等に係る特例措置」のいずれかとの併用が可能となっており、納税者へのメリットは高い制度となっている(図参照)。また、相続財産譲渡時の取得費加算特例とは選択制となっている。
なお、同特例制度を適用するには、確定申告が必要。例えば、家屋又は家屋及び敷地等を譲渡する場合は、①譲渡所得の金額の計算に関する明細書、②被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書等、③被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写し等、④被相続人居住用家屋等確認書、⑤被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しを添付する。
空き家に係る譲渡所得の特例、適用を受けるためのポイント
平成28年度税制改正では、相続により発生する空き家対策として、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度が創設されている。家屋を相続した相続人が家屋又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するというもの。耐震リフォームあるいは更地にする必要があるため適用までのハードルは高いが、自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除などと併用が可能であるなど、メリットは大きい。平成28年4月~12月までに譲渡した場合については、今回の確定申告が初めての申告となる。
居住用財産の買換え特例との併用も可能
相続を契機として被相続人が居住していた家屋が空き家になるケースは多く、国土交通省によれば、毎年平均して6.4万戸が増加しているという。
平成27年2月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家等の管理は所有者の責任である旨が明記されたものの、相続人にとって空き家の維持改修や除去には大きなコストがかかる。このため、相続により発生する空き家対策として創設されたのが、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度であり、今年の確定申告が初めての申告となる。
同特例制度は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除するというものである。
平成25年1月2日に相続発生の場合は? 適用を受けるためのポイントは主に3つある。1つ目のポイントは相続発生日を起算点とした適用期間の要件だ。具体的には、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要となる。例えば、平成25年1月2日に相続が発生した場合、本特例の対象となる譲渡期間は平成28年4月1日から12月31日となる。
昭和56年5月31日以前に建築の家屋 2つ目のポイントは相続した家屋の要件である。特例の対象となる家屋は、①相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること、②相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること、③昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること、④相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと(※相続した家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時から当該取壊しの時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと)の要件を満たす必要がある。
耐震リフォーム又は更地に 3つ目のポイントは譲渡する際の要件で、①譲渡価額が1億円以下、②家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであることが必要となる。
被相続人居住用家屋等確認書等を添付 以上のように空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度を適用するための要件のハードルは高い。ただ、同特例制度の場合には、「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」または「自己居住用財産の買換え等に係る特例措置」のいずれかとの併用が可能となっており、納税者へのメリットは高い制度となっている(図参照)。また、相続財産譲渡時の取得費加算特例とは選択制となっている。

なお、同特例制度を適用するには、確定申告が必要。例えば、家屋又は家屋及び敷地等を譲渡する場合は、①譲渡所得の金額の計算に関する明細書、②被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書等、③被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写し等、④被相続人居住用家屋等確認書、⑤被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しを添付する。
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