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解説記事2017年12月25日 【ニュース特集】 Q&Aで読み解く国税の申告手続の電子化(2017年12月25日号・№720)

ニュース特集
電子申告できない場合は無申告加算税も
Q&Aで読み解く国税の申告手続の電子化

 平成30年度税制改正大綱が12月14日に決定された(今号22頁)。賃上げ・投資税制(本誌719号4頁参照)などと並び企業にとって気になる改正項目の1つが国税の申告手続の電子化だろう。資本金1億円超の大企業が対象とされる(中小企業は対象外。本誌718号7頁参照)。大企業においては平成32年4月1日以後開始する事業年度までにシステム対応などの準備を進める必要がある。一方、中小企業は電子申告義務化の対象外となったものの、大企業が電子申告に移行することで、書類の添付省略や認証手続の簡便化などのメリットを享受することができる。本特集では、平成30年度税制改正大綱を紐解きながら国税の申告手続の電子化についてQ&A形式で解説する。

>資本金等が1億円超なら公益法人等も電子申告義務化の対象
Q
 法人税等の申告手続の電子化については、「大法人」が対象になるとのことですが、具体的にはどのような法人が義務化の対象になるのでしょうか。例えば、宗教法人や学校法人などの公益法人は対象になるのでしょうか。
A  「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時の資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社のことを指します。
 普通法人に限らず、協同組合、公益法人等も含め資本金の額又は出資金の額が1億円を超えれば対象となります。例えば、独立行政法人や国立大学法人などは電子申告の義務化の対象となります。
 ただし、設立根拠法上、資本金又は出資金が規定されていない法人は対象外となります。例えば公益法人であれば、宗教法人や学校法人、社会福祉法人、協同組合であれば、たばこ耕作組合が該当します。
 なお、消費税の電子申告の対象法人も法人税等と同様ですが、こちらは電子申告の義務化を推進する立場から国及び地方公共団体も対象となっています。

>相互会社は基金の額に関係なく対象に
Q
 相互会社については、基金の額で電子申告の対象になるか否かを判断するのでしょうか。
A  前問で示したとおり、保険会社といった相互会社のほか、投資法人及び特定目的会社については、基金の額や出資額に関係なく電子申告の対象となります。したがって、1億円未満であっても電子申告を行うことが義務付けられます。

>最初の電子申告は消費税
Q
 電子申告は平成32年4月1日以後開始する事業年度から適用されるとのことですが、実際の電子申告は平成33年3月期の確定申告ということになりますか。
A  法人税及び地方法人税については、確定申告書に加え、中間申告書及び修正申告書が電子申告の対象になるため、通常は平成32年9月の中間決算が初めての電子申告ということになります。また、消費税の場合は平成32年4月1日以後に開始する課税期間からとなりますので、課税期間を短縮している場合は、消費税の申告が最も早い電子申告ということになります。

>インターネットが利用できない場合にセーフティネット
Q
 電子申告が難しい場合には、例外的に書面による申告が可能となる宥恕規定(セーフティネット)が設けられるとのことですが、具体的にはどのようなケースが該当しますか。
A  サイバー攻撃、災害、経営の破綻等により、物理的にインターネットが利用できない場合が該当します。ただし、税務署長に申請して承認を得るという手続は必要になります。
 なお、現行制度において申告の適用期限を延長する場合には、納税者自身に責任のない「やむを得ない事情」があることが必要となりますが、電子申告の場合は、この要件が付されていません。

>電子申告の提出状況次第ではさらなる見直しも示唆
Q
 電子申告ができなかった場合、何かペナルティはあるのでしょうか。
A  前問のサイバー攻撃、災害、経営の破綻等の理由以外で、電子申告ができなかった場合には無申告となり、無申告加算税が課されることになります。電子申告の義務化である以上、電子的な方法により申告書を提出できなかった場合に無申告加算税が課されないとなると制度として成り立たないからです。
 ただし、現行の書面での申告における運用上の取扱いを踏まえ、期限内に申告書の主要な部分が電子的に提出されていれば税額の計算は可能となりますので、無申告加算税は課さないこととなる方向です。
 また、税制改正大綱には、「申告書の主要な部分以外の書類の電子提出の確保策については、施行後の電子的な提出状況等を踏まえ、そのあり方を検討する。」と明記されています。
 例えば、諸外国の例をみると、米国や英国では添付書類の一部でも電子申告がなされなければ無申告として取扱われ、無申告加算税を課すとの非常に厳しい取扱いがなされているようです。また、フランスやカナダでは、申告書のすべてを電子申告しなかった場合には無申告として取り扱い、無申告加算税とは別に書面での提出に要する一定の手数料を徴収するといった取扱いがなされているようです。将来的には日本でも、電子申告の提出状況によっては何らかの措置が講じられる可能性がありそうです。

>書面の省略など、電子申告のための環境を整備
Q
 電子申告の義務化に伴い、申告データを円滑に提出することができるような環境整備が行われるとのことですが、具体的な施策について教えてください。
A  今回、電子申告の対象となる法人は数万社とされています。平成28年度における法人税の電子申告の利用率は79.3%であり、これを大規模法人だけに限ると56.9%にとどまっています。この56.9%の中には、財務諸表は書面で提出している法人も含まれており、施行まで2年間の猶予があるとしても、システム対応などそれ相応の準備が必要となります。
 このため、今回の見直しでは、申告データの円滑な電子提出のための環境整備が行われることになっています(下図参照)。具体的には、①提出情報等のスリム化(第三者作成書類の見直しなど)、②データ形式の柔軟化(別表・財務諸表等のデータをエクセルで作成可能とする)、③提出方法の拡充(添付書類の光ディスク等による提出を認める、電子申告の送信容量の拡大)、④提出先の一元化(国・地方を通じた財務諸表の電子提出の一元化など)、⑤認証手続の簡便化(経理責任者の電子署名の不要化など)が行われます。
 なお、これらの見直しは、大法人だけでなく、中小法人も対象となります。


>土地収用証明書等の添付省略が可能
Q
 ①提出情報等のスリム化にある第三者作成書類の見直しとはどのような改正になる予定ですか。
A  これまで制度の適用を受ける場合に確定申告書に添付することとされていた「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」「収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例」「換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例」「収用換地等の場合の所得の5,000万円特別控除」「特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の2,000万円特別控除」「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の1,500万円特別控除」の第三者作成書類については、手元に保存しておくことを要件に添付を省略することができるようになります。
 また、PDFデータで送った添付書類については、これまで書面での保存とともに、税務調査の際に税務署長が求めた場合には、添付書類を提示しなければならないとされていました。この点、一定の解像度等のPDFデータであれば、書面での保存や税務署長による当該添付書面の提示等を求める措置を廃止することとしています。

>エクセルの標準フォームは国税庁が提示
Q
 ②データ形式の柔軟化について教えてください。別表などをエクセルで作成することができるとのことですが、形式については会社独自のものでも構いませんか。
A  別表(明細記載を要する部分)、財務諸表、勘定科目内訳明細書のデータはXBRL又はXMLで作成することとされていますが、エクセルでのCSVで作成することも認められることになります。
 ただし、フォーム自体が各社でバラつきがあると困りますので、今後、国税庁が標準フォームを提示することが検討されています。

>税務署にB/S・P/Lを提出すればOK
Q
 ④提出先の一元化にある国・地方を通じた財務諸表の電子提出の一元化とは、具体的にどのような見直しになるのか教えてください。
A  外形標準課税が対象となる法人などが法人税の電子申告を行い、貸借対照表及び損益計算書を添付した場合には、法人事業税の確定申告等においても当該書類の添付があったものとみなされることになります。
 税務署等に提出すれば、税務署等から地方公共団体に提出されることになり、法人事業税の確定申告書等の提出が不要となります。

>連結納税関係の届出、連結子法人は提出不要に
Q
 ④提出先の一元化では、連結法人に係る個別帰属額届出書の電子提出の一元化も行われるとのことですが、それ以外の見直しも予定されていますか。
A  連結法人に係る個別帰属額届出書の電子提出の一元化では、連結親法人が連結子法人の個別帰属額等を電子的な方法又は光ディスク等により当該連結親法人の納税地の所轄税務署長に提供した場合には、連結子法人が当該書類を連結子法人の本店等の所轄税務署長に提出したものとみなされることになります(平成32年4月1日以後終了する連結事業年度から適用)。
 また、併せて、「連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書」「完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類」「連結納税支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」について、連結子法人による提出を不要とする見直しが行われます。こちらの改正は、平成31年4月1日以後に生じた事実について適用される予定です。

>電子署名、代表者から委任を受けた者でOK
Q
 ⑤認証手続の簡便化では、経理責任者の電子署名が不要になるとのことですが、代表者から委任を受けた場合、これまで通り経理責任者が電子署名を行うことができますか。
A  現行、代表者及び経理責任者の両者の電子署名が必要とされていますが、経理責任者の電子署名が不要となります。したがって、代表者が電子署名することになりますが、代表者から委任を受けた者(当該法人の役員及び職員に限る)の電子署名も認められます。これまで通り、経理責任者に委任することも可能です。

>地方税の電子化はeLTAXで
Q
 地方税の申告手続の電子化について教えてください。国税とほぼ同様の仕組みなのでしょうか。
A  地方税も国税とほぼ同様の仕組みが導入されます。大法人については、平成32年4月1日以後開始する事業年度から法人住民税、法人事業税及び地方消費税の納税申告書(確定申告書、中間申告書及び修正申告書)を電子的に提出することが義務付けられます。ただし、地方税の場合はeLTAXで行うことになります。また、対象となる大法人の範囲も同様です。
 そのほか、法人の認証手続の簡便化として、法人事業税の代表者及び経理責任者の自署押印制度を廃止し、代表者の記名押印のみでよいこととされます(書面申告も同様)。また、法人が行う電子申告に付すべき電子署名について、法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員の電子署名でも可とする見直しも同様です。

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