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解説記事2019年06月17日 【ニュース特集】 公正価値ガイダンスとなる時価算定会計基準が決定へ(2019年6月17日号・№791)

ニュース特集
2021年4月1日以後開始事業年度の期首から適用
公正価値ガイダンスとなる時価算定会計基準が決定へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は6月中にも「時価の算定に関する会計基準」等を正式決定する方向だ。同会計基準は公正価値測定に関するガイダンス及び開示を定めるもの。国際的な整合性を図るため、基本的にIFRS第13号「公正価値測定」の内容をすべて取り入れることとしているが、市場価格のない株式等の取扱いなど、従来の実務に配慮した取扱いも設けている。公開草案から大きく異なる点は適用時期だ。システム開発など、十分な準備期間が必要との意見などに配慮し、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとする。

時価の定義変更で期末前1か月の市場価格の平均価額は使用できず
 時価算定会計基準の対象は金融商品のほか、トレーディング目的で保有する棚卸資産等となる。不動産やトレーディング目的で保有する棚卸資産以外の棚卸資産など、金融商品以外の資産及び負債については対象外となっている。
 また、同会計基準では、時価について「算定日において市場参加者間で秩序のある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいう」と定義。この定義はIFRS第13号における「公正価値」と整合的なものであり、「市場を基礎としたもの」「算定日のおける価格」「出口価格」という考え方を取り入れたものとなっている。
 この時価の定義の変更に伴い、現行の金融商品会計基準におけるその他有価証券の期末の貸借対照表価額に期末1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができるとの取扱いは、その平均価額が時価の定義を満たさなくなることから削除されることになる。
 ただし、その他有価証券の減損を行うか否かの判断については、期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができるとの取扱いを踏襲した。なお、この場合であっても、減損損失の算定には期末日の時価を用いることになる。
 資産又は負債の時価を算定する単位は、それぞれの対象となる資産又は負債に適用される会計処理又は開示によることとし、時価の算定にあたっては、状況に応じて、十分なデータが利用できる評価技法、例えば、マーケット・アプローチやインカム・アプローチを用いる。評価技法を用いるにあたっては、関連性のある観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にする。
 時価の算定に用いるインプットは、レベル1からレベル3の順に使用することになる。レベル1のインプットが最も優先順位が高く、レベル3のインプットが最も優先順位が低いものとなる。レベル1のインプットとは、時価の算定日において、企業が入手できる活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格であり調整されていないものをいい、レベル2のインプットとは、資産又は負債について直接又は間接的に観察可能なインプットのうち、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットをいう。レベル3のインプットとは、資産又は負債について観察できないインプットとなる(表1参照)。

 時価は、その算定において重要な影響を与えるインプットが属するレベルに応じて、レベル1の時価、レベル2の時価又はレベル3の時価に分類する。時価の算定に重要な影響を与えるインプットが複数あり、それらのレベルが異なる場合には、優先順位が最も低いレベルに分類する。

市場価格のない株式等、時価に関する注記は不要
 時価算定会計基準では、従来の実務等に配慮した取扱いも設けている。例えば、取引相手の金融機関、ブローカー、情報ベンダー等、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断する場合には、当該価格を時価の算定に用いることができることとした。確認手続としては、①第三者から入手した価格と企業が計算した推定値とを比較し検討、②他の第三者から基準に従って算定がなされていると期待される価格を入手できる場合、当該他の第三者から入手した価格を当該第三者から入手した価格とを比較し検討、③当該第三者が時価を算定する過程で、本会計基準に従った算定(インプットが算定日の市場の状況を表しているか、観察可能なものが優先して利用されているのか、また、評価技法がそのインプットを十分に利用できるものであるかなど)がなされているかを確認、④企業が保有しているかどうかにかかわらず、会計基準に従って算定されている類似銘柄(同じアセットクラスであり、かつ同格付銘柄など)の価格と比較、⑤過去に会計基準に従って算定されていると確認した当該金融商品の価格の時系列推移の分析など商品の性質に合わせた分析を行うこと―が例示として挙げられており、状況に応じて選択して実施することになる。
 ただし、銀行、保険会社、証券会社、ノンバンクなどといった総資産の大部分を金融資産が占め、かつ総資負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める企業集団等以外においては、第三者が客観的に信頼性のある者で企業集団等から独立した者であり、公表されているインプットの契約時からの推移と入手した相場価格との間に明らかな不整合はないと認められる場合で、かつ、レベル2の時価に属すると判断される場合、一定のデリバティブ取引(いわゆるプレイン・バニラ・スワップ、為替予約、通貨スワップ)については、当該第三者から入手した相場価格を時価とみなすことができるとした。
 市場価格のない株式等(市場において取引されていない株式、及び出資金など株式と同様に持分の請求権を生じさせるもの)に関しては、たとえ何らかの方式により価額の算定が可能だとしても、それを時価とはしないとする従来の考え方を踏襲し、引き続き取得原価をもって貸借対照表価額とすることとしている。また、市場価格のない株式等については、時価に関する注記を不要としている。

コスト等を考慮して一定の開示項目を不要に
 開示については、公開草案に対して反対意見が寄せられているものの、大きな変更はない(表2参照)。基本的にIFRS第13号の開示項目との整合性を図っているが、「レベル1の時価とレベル2の時価との間のすべての振替及びその振替の理由」「レベル3の時価について観察できないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の影響」についてはコスト等を考慮して開示を不要としている。

【表2】開示項目
貸借対照表又は注記のみで時価評価する金融商品 ・時価レベルごとの残高

貸借対照表又は注記のみで時価評価するレベル2の時価又はレベル3の時価の金融商品 ・時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明
・時価の算定に用いる評価技法又はその適用の変更及びその理由

貸借対照表において時価評価するレベル3の時価の金融商品 ・時価の算定に用いた重要な観察できないインプットに関する定量的情報
・時価がレベル3の時価に区分される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表
 (純損益に計上した未実現の評価損益を含む)
・企業の評価プロセスの説明
・重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明

 また、四半期開示については、「時価レベルごとの残高」のうち貸借対照表において時価評価する金融商品について、企業の事業運営にあたって重要な項目であり、かつ、前年度末と比較して著しく変動している場合に開示することが求められる。
 ただし、資産の大部分を金融資産が占め、かつ総資負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める企業(金融機関など)以外の一般の事業会社については第1四半期及び第3四半期での注記は省略することができる。
 なお、評価技法又はその適用の変更の注記に関して、年度決算ではIFRS第13号と同様に影響額の注記は不要としているが、四半期決算における取扱いが記載されていない点については、年度決算と整合性を図り影響額の注記を不要とする修正が行われる方向だ。

システム対応などを考慮し強制適用時期を1年後ろ倒し
 適用時期については、公開草案での強制適用時期を1年後ろ倒しにし、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとする。社内の態勢整備やシステム対応などの準備期間を確保するため、適用時期の変更を求める意見に配慮したものだ。ただし、早期適用については公開草案を変更せず、2020年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度から適用することを認める。
 なお、適用時期が後ろ倒しになったことに伴い、第三者から入手した相場価格の利用に関する経過措置は削除する。
適用初年度の比較情報は不要  時価算定会計基準の適用初年度に関してはいくつかの経過措置が定められている。まず、時価算定会計基準の適用初年度においては、本会計基準が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとするが、時価の算定にあたり観察可能なインプットを最大限利用しなければならない定めなど、本会計基準の適用に伴い時価を算定するために用いた方法を変更することとなった場合で、当該変更による影響額を分離することができるときは、会計方針の変更に該当するものとし、当該会計方針の変更を過去の期間のすべてに遡及適用することができるとしている。
 また、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額については、適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することもできる。
 そのほか、金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する開示項目について、適用初年度の比較情報は不要とする。また、期首残高から期末残高への調整表について、本会計基準を年度末の財務諸表から適用開始する場合には、適用初年度は省略することができることとしている。
投資信託は時価算定会計基準公表後に検討
 そのほか投資信託の時価については、時価算定会計基準公表後おおむね1年をかけて投資信託に関する取扱いを見直すとしている。したがって、改正を行うまでの間は現行の基準価格を時価とする金融商品実務指針の取扱いを容認するとの経過措置が設けられている。なお、この場合、時価のレベルごとの内訳等に関する事項の注記は要しないこととされた。
 また、貸借対照表について持分相当額を純額で計上している組合等への出資の時価の注記については、投資信託の取扱いを改正する際に取扱いを明らかにすることとし、それまでの間は金融商品時価開示適用指針第4項(1)の注記を要しないこととしている。

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