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会社法ニュース2021年11月12日 100%無償減資も株主共同利益を損なわず(2021年11月15日号・№906) 東京地裁、国際興業の元代表取締役の相続人らの請求を棄却

  • 国際興業(被告)に対するサーベラスの経営再建案を巡る裁判。東京地裁は元代表取締役の相続人である原告らの請求について一部を除き棄却(控訴中)。
  • 国際興業が倒産危機の中、100%無償減資を採用したとしても株主の共同利益を損なうとはいえず。

 国際興業の経営危機の際にサーベラスから融資を受けて経営再建を行った時の創業家一族の紛争が裁判で続いている。現在は東京高裁で審理が続いているが、このほど東京地裁(中村心裁判長)の判決内容が明らかとなった(令和3年2月15日判決)。
 本件は、国際興業(被告)がサーベラスから融資を受けて経営再建をするに当たって、平成17年3月24日、国際興業が発行していた全株式の100%無償減資を行ったところ、無償減資が行われるまで株主であった原告(元代表取締役の相続人(創業家一族))らが国際興業に対し、同社の代表取締役である被告(創業家一族)が①サーベラスとの交渉の際に既存株主が株式を保有し続けるような方法を採るように交渉しなかったこと、②原告らが無償減資に同意するか判断するに当たり重要な情報等を適正に開示しなったこと、③国際興業の監査役であった原告Aに取締役会の招集通知を送付しなかったことが任務懈怠に当たるなどとして損害賠償請求を行ったものである。
 原告らは被告代表取締役には自主再建案の策定に当たって100%無償減資ではなく、第三者割当増資などによりサーベラスに65%の株式を取得させ、原告らを含む既存株主については既存株式を維持させる方法(希釈化スキーム)を採るように、サーベラスや主要3行と交渉する義務があったと主張したが、裁判所は、国際興業が平成16年当時債務超過のために倒産の危機にあり、自主再建案を早急に策定する必要があったことからすれば、被告代表取締役が希釈化スキームを採るように交渉しなかったことは、既存株主の共同利益を損なうような交渉態様とはいえず、善管注意義務に違反するものではないとの判断を示した。
 また、本件では被告の適正情報開示義務が大きな争点となっている。裁判所は、取締役は特段の事情がない限りスポンサーや金融機関と交渉過程を逐一報告すべき義務を負うものではないとしたものの、サーベラスの無償減資とするスキームの変更が現実的に不可能になった時点で初めて原告Aに対して事実を開示したことは、信義則上の適正情報開示義務違反に該当するとした。
 しかし、裁判所は、被告代表取締役が適正情報開示義務を尽くしたとしても、国際興業が破綻した場合には株式が無価値になるなど、創業家一族への社会的批判や、金融機関からの元代表取締役の経営責任について損害賠償請求を受ける可能性もあったことに照らせば、原告らが無償減資への同意を拒絶するなどしてサーベラスに希釈化スキームなどを実現させることが出来たとはいえないとし、原告らの主張を斥けた。
 そのほか、原告らは、被告代表取締役との間で基本協定書を締結する際に取締役会を開催し、当時の監査役であった原告Aに招集通知を送付すれば、原告Aがサーベラスの第1提案の内容を知ることができ、被告代表取締役による既存株主の利益を侵害する行為を止めさせることができたなどと主張した。この点、裁判所は、基本協定書の締結は「重要ナル業務執行」(旧商法260②)に該当し、被告代表取締役は取締役会を招集し、原告Aに対して招集通知を送付すべき義務があったとしたものの、原告Aは一度も取締役会の招集通知を受けたことがなく、このことに異議も述べず、取締役会を欠席し続けていたのであるから国際興業の経営への関心があったとは認められないと指摘。被告代表取締役が国際興業の取締役会を開催し、原告Aに招集通知を送付したとしてもサーベラスの第1提案の内容を知ることができたとはいえないとした。
 なお、裁判所は、サーベラスや金融機関は原告Aの役員退任を求めていなかったのであるから、被告代表取締役が原告Aに対し役員を退任する必要があるとの虚偽の説明を行わなければ、原告Aは自主再建案が実現した後においても国際興業の役員に留まることができたものと認められるとした。しかし、再建合意書によれば実際に国際興業の執行役や監査役として留任が認められた旧経営陣はいずれも平成25年6月28日までに退任していることからすると、原告Aが現在に至るまで役員に留まり続けることができたとは認め難いとし、裁判所は、原告Aが被告代表取締役の虚偽の説明によって被った役員報酬相当額の損害は原告Aが名目的な監査役であり特段の業務をしていなかったことなどを考慮して、原告Aの3年分の役員報酬である4,718万3,118円であると認定した。

【表】経緯

平成16年7月21日 国際興業の経営状態が悪化したため、サーベラスは同社に対し、金融機関から国際興業グループに対する債権の一部又は全部を買い取るとともに、債権のリストラクチャリングを実施すること、サーベラスへの第三者割当増資により既存株主の持株比率を低下させることなどを主な内容とする自主再建案(第1提案)を提案。
8月11日 国際興業はサーベラスとの間で基本協定書を締結。
10月13日 サーベラスは主要債権者である3つの金融機関から国際興業グループに対する債権をすべて買い取るとともに、当該債権のリストラクチャリングを実施すること、国際興業の100%無償減資を実施した上で、被告代表取締役35%、サーベラス65%の持株割合となるような第三者割当増資を実施することを主な内容とする再建案(第2提案)を提案。
11月13日 国際興業はサーベラスとの間で再建合意書を締結。

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