税務ニュース2024年04月26日 国連で国際的租税協力の条約創設の動き(2024年4月29日号・№1025) 当面の課題にデジタルエコノミー対応、気になるOECDとの関係
国連は2023年12月に国際的な租税協力の枠組み条約を創設するための決議案を可決、この決議案に基づき、政府間によるアドホック委員会を立ち上げた。同委員会は3月中旬まで各国などから意見を募集していたが、これらの意見を踏まえつつ、4月26日から5月8日にかけて国連本部で第1回の公開セッションを開催する予定だ。同セッションでは、2024年9月以降に開催される第79期の国連総会に対する付託事項について検討する。加えて、①不正な資金フローへの対応および②デジタル化・グローバル化が進む経済における国境を越えたサービスの提供から派生する所得に対する課税が「早期に議定書に盛り込むべき内容」として議題とされている。このほか、資産課税を含む富裕層に対する効果的な課税や環境問題に対応する税制についても議題とする方向。アドホック委員会は、2024年8月までに、国連総会への付託条件を取りまとめる方針だ。
第1回セッションに先立ち、アドホック委員会の組織体等を決める会合が2024年2月に開催されたが、注目されるのは役員等の顔ぶれだ。議長の出身国はエジプト、報告者はコロンビア、18名の副議長には、G7からドイツやイタリア、その他のEU加盟国が選出されたものの、ブラジル、中国、インド、メキシコなどの新興国のリーダーや、ガーナ、ケニア、モロッコなどのアフリカ諸国、バハマ、さらにはウクライナ侵攻で昨年OECDの会議体への参加が停止されたロシアやベラルーシも副議長として選出されている。アジアからは韓国とシンガポールが副議長に選出された。
このような国連の動きには、国際課税の基準の策定において、新興国・途上国の存在感が大きくなっているという背景がある。アフリカや中南米、アジアの新興国・途上国による政府間機関であるG-24(Group of 24)も声明の中で、この国連の検討に対する期待を述べている。国連では新興国・途上国の声を強く反映した運営がなされる可能性があり、今後、先進国にとって不利な提案が出てくるおそれもある。8月に向けて具体的な議論が進展する可能性が高い。国連から想定外の提案がなされないか、日本企業にとっても注目される。
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