税務ニュース2020年05月29日 競馬所得、二審でも原則一時所得譲らず(2020年6月1日号・№836) 国、“2つの判断基準”への当てはめにより「雑所得」には該当せずと主張
本件は、納税者が、馬券の的中による払戻金に係る所得(本件競馬所得)を得て、これを一時所得として確定申告をした後、本件競馬所得が雑所得に該当するとして、更正の請求をしたところ、所轄税務署長から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、本件各通知処分の取消しを求める事案である。原審(東京地裁)は令和元年10月30日、本件競馬所得のうち通常馬券の的中による払戻金に係るものは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として、雑所得に該当するとの判断を示した(一審判決については、本誌811号40頁参照)。国は東京高裁に控訴し、控訴審が進行しているが、5月20日に指定されていた第2回の弁論期日が、コロナ禍の影響で取り消されている。
競馬所得については、2件の最高裁判決で国側が敗訴しており、国は競馬所得の射程論の拡大を防ぐ主張を踏襲している。
本件控訴審においても、国は、「馬券の的中による払戻金に係る所得は、通常は一時所得となるものである」としたうえで、「具体的には、原則として、年間を通じての回収率が100%を超えていることを前提として、馬券の購入額が巨額であって、回収率が低くても高額の払戻金を安定的に獲得できる場合、すなわち、極めて多額の利益が長期間にわたって発生しているような、担税力が低い偶発的な所得であるという性質の変容がある場合でなければ、馬券の払戻金に係る所得が雑所得となることはない。」との判断枠組みを主張する。すなわち、雑所得とされるのは極めて例外的な事案であり、本件通常馬券の購入に対して、①継続的行為該当性と②営利目的該当性の当てはめから、雑所得とはならないということである。また、①被控訴人の通常馬券の購入額は極めて多額であったと評価することはできない、②被控訴人の通常馬券の購入は回収率が100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたものであったとは評価できない、とも主張している。
一方、納税者(被控訴人)は、「競馬所得が、原則として一時所得になることはそのとおりであるが、その余は控訴人独自の解釈論である。」などとして、国が主張する雑所得になるための厳格な要件に反発している。
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