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相続・遺言2020年03月19日 国税通則法23条と相続税法32条の事由の優先順位 編著:渡邉定義
 著:平岡良 山野修敬


 国税通則法23条と相続税法32条の事由には重複しているものがあるように思います。
 その場合には、どちらが優先するのでしょうか。また、期限の問題はどのように考えたらよいのでしょうか。

 国税通則法と相続税法とは、いわゆる一般法と特別法の関係にあります。
 したがって、基本的には特別法である相続税法の規定による更正の請求が優先されることになります。
 なお、期限については、それぞれの法律の趣旨等を総合勘案して考える必要があります。
解 説
1 重複事由
 例えば、国税通則法23条には、更正の請求事由として「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」(通則法23①一)と規定されており、また一方で相続税法32条には、「民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算されていた場合において、〔中略〕計算された課税価格と異なることとなったこと」(相法32①一)、「相続人に異動を生じたこと」(相法32①二)、「遺贈に係る遺言書が発見されたこと」(相法32①四)、「権利の帰属に関する訴えについての判決があったこと」(相法32①六、相令8②一)とあり、更正の請求事由としては、重複している部分があると思われます。
 このような場合、どちらの規定に基づく更正の請求と考えたらよいかという問題が生じることになります。
 納付すべき税額を過大に申告した場合の救済手段としての更正の請求は、国税通則法23条に記載されていますが、相続税法には、相続税や贈与税の固有の事由によって納付すべき税額が過大となった場合について更正の請求の特則が設けられています。
 すなわち、国税通則法では、一般的な場合の更正又は決定について規定し、相続税法では相続税や贈与税の特有の事情に基づく更正や決定の特則を規定しています。
 いわば、国税通則法に対し相続税法は、いわゆる一般法と特別法の関係にあるといえます。
2 特別法の優先
 先に述べたように、国税通則法と相続税法とは、いわゆる一般法と特別法の関係にあると考えられます。したがって、国税通則法23条1項及び2項の規定に基づく更正の請求に対し、相続税法32条に基づく更正の請求が優先されることになります。
 したがって、仮に両方の法律に該当する事例についてそれぞれの規定に基づき更正の請求がなされた場合には、相続税法32条の規定による請求とみなされることになります。
3 重複の場合の請求の期限
 相続税法と国税通則法の請求が競合する場合、その請求期限については、単に一般法と特別法という形式的に考えられない場合もあります。
 例えば、次に掲げる事例が参考になります。
事例①
 「当初申告において未分割であったため、配偶者に対する相続税額の軽減の規定の適用をせずに申告書を提出していた事例について、その後申告書の提出期限から3年以内に分割が確定した場合の更正の請求如何」
 国税通則法23条1項1号の「……国税に関する法律の規定に従っていなかったこと……」により、法定申告期限から5年以内なら更正の請求ができます。
 また、この分割が相続税法19条の2第2項ただし書に規定する遺産分割に該当する場合、相続税法32条1項1号又は8号の規定により、分割前と分割後の課税価格又は相続税額が異なることとなったときには、事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができることになります。
 それでは、いずれの期限が優先されると考えるべきでしょうか。
〔回 答〕
 このような事例において、仮に、相続税法32条に基づく期限の方が国税通則法の期限である5年以内より早く到来するような場合、特別法である相続税法32条の方の期限に縛られるか否かという疑問が生じることになります。
 これについては、「配偶者の税額軽減の制度は、言わば配偶者が必ず受けられる制度であること(平成23年度税制改正で当初申告要件が廃止され、国税通則法23条の更正の請求が可能となった(相法19の2③))」から更正の請求の期限は、納税者利益に解すべきと考えます。
 したがって、分割が行われた日の翌日から4か月を経過する日と相続税の申告書の提出期限から5年を経過する日とのいずれか遅い日とするのが相当です(相基通32―2)

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