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一般2016年01月05日 タイ・世界遺産を訪ねて(法苑177号) 法苑 執筆者:梨田修

 私は、七年前、五名のグループでタイに行きました。海外は初めてで、多少不安な面もありましたが、グループのメンバーが海外旅行の経験豊富な者ばかりであったので、おんぶに抱っこでついて行くこととしました。
 出発は中部国際空港からで、六時間位でバンコクに着きます。
 バンコク国際空港に着いてからは、世界遺産である古都アユタヤへ直行です。
 古都アユタヤは、西紀一三五〇年から一七六七年まで四一七年間タイ国(一九三九年まで日本語発音でシャムと言われていました。)の首都でした。
 アユタヤは日本と関係が深く、「アユタヤ日本人町跡と山田長政」の石碑などがあります。
 当時、日本政府は朱印状(外国貿易に従事する許可書)を発行して貿易を奨励しましたが、朱印状を所有しない交易船も東南アジア方面の貿易に従事していました。これらの貿易船のうちタイの都アユタヤに来たものも多く、彼らは諸外国人と同様国王から居留地(日本人町)を与えられていました。アユタヤには時代により八〇〇人から三〇〇〇人の日本人が居たと伝えられ、タイ、中国、ベトナムなどの従事員を加えるとこの日本人町に八〇〇〇人の人が居たこともあると伝えられています。そして、その首領であったとされる者として、オークプラ純会(スミヒロ)(一六〇〇年〜一六一〇年)、城井久右ヱ門(一六一〇年〜一六一七年)、山田長政(一六一七〜一六三〇年)、糸屋多右ヱ門、平松国助(一六三三年〜一六四〇年)、木村半左ヱ門、アントニオ善右ヱ門(一六四〇年〜?)の名前が挙げられています。
 その中でも、山田長政(静岡県出身と伝えられています。)は日本人義勇隊長として実力者となりソングタム王の寵愛を受け、オークヤー・セーナーピムックの爵位を授けられています。一六二八年、王の死後、長政は二人の王子に忠義を尽くしました。ナコン・シータマラート(南タイ)に反乱が起きたので都を離れ反乱軍を平定し、同地の太守にまでなりましたが、程なく同地で客死しました。一九三五年(昭和一〇年)バンコクに設立された泰日協会は、オランダの東インド会社の文献に基づき、日本人町跡を発見し、泰国日本人会の協力援助を得てこの遺跡の保存に当たっています。このように、タイに多くの日本人が関わっていたことに驚きました。
 アユタヤ遺跡群は、チャオプラヤー川とその支流であるパーサック川、ロップリー川に囲まれた中洲に集中しており、ワット・プラシーサンペットやワット・プラ・マハタート、ワット・チャイワッタナラーム、ワット・ローカヤスターラームなどの寺院跡や王宮跡があります。
 この遺跡を作ったのはアユタヤ王朝で、ナーラーイ王時代には、現在のミャンマー、ラオス、カンボジアの一部を領有するほどの勢力を持っていました。
 しかし、一七六七年にビルマ(現ミャンマー)軍の侵攻によりアユタヤ王朝は消滅し、アユタヤ市内の寺院や石像は徹底的に破壊されました。
 いつの時代も、争いで貴重な歴史的建造物が破壊されます。歴史を繋ぐ遺産が破壊されることは大変残念なことです。
 廃墟となった寺院遺跡は、一九六七年にタイ芸術局により歴史公園に指定され、一九九一年に世界遺産(文化遺産)に登録されました。
 夜になると、ワット・プラシーサンペットなどの寺院遺跡群はライトアップされ、とても幻想的で神秘的であり、その時代にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。公園の敷地はとても広大で、寺院跡や仏像跡をみると、多くの人の労力や時間が費やされて建立されたことを窺い知ることができます。
 ワットとは寺院のことで、ワット・プラ・マハタートには、多数の手足や頭部のない仏像が多くあります。ビルマとの戦いで仏像や寺院が破壊されたことによります。
 その中に、世界遺産の仏頭があります。仏像の頭部を菩提樹の木が絡まり、木の根が仏頭を取り囲んでいます。それは、長い年月をかけ自然が文明の象徴である創造と破壊を取り込んだ不思議なモニュメントと評されています。自然の力と人間の愚かさを感じます。
 次は、古都アユタヤを離れバンコクを訪れました。
 タイの王朝は、スコータイ王朝(一二三八年〜一三五〇年)、アユタヤ王朝(一三五〇年〜一七六七年)、トンブリー王朝(一七六七年〜一七八二年)を経て、現在のチャクリー王朝(一七八二年〜)へと変遷しています。現王朝の初代王ラーマ一世は、一七八二年に首都をトンブリーからバンコクに移しました。
 バンコクでは、王宮、エメラルド寺院、暁の寺、涅槃寺などを訪れました。
 王宮は、チャオプラヤー川の西側にあり、広さは二一万八〇〇〇m2で、白壁に囲まれており、エメラルド寺院が建立されています。
 エメラルド寺院(ワット・プラケーオ)は、一七八二年にラーマ一世が護国寺として建てた寺院です。タイで最も美しく、きらびやかな寺院です。
 涅槃寺(ワット・ポー)は、一七八八年にラーマ一世によって建立されています。寺院内には、黄金に輝く寝釈迦仏像(涅槃仏)があり、体長は四六m 、高さは一五メートルにも及びます。
 涅槃仏とは、釈迦が入滅した時の様子を表した仏像で、目を開いて横たわっている場合は、最後の説法をしている様子であり、目を閉じて横たわっている場合は、全てを終えて入滅する様子を表わしているといわれています。
 前述した世界遺産の古都アユタヤにも、ワット・ローカヤスターラームという仏教寺院の廃墟があり、現在は涅槃仏(全長は五七・七m 、高さは八mで、煉瓦で形を作り、のちに漆喰で固めてあります。)のみが残っています。
 涅槃仏は、北方を向いて寝ており、一般の人が亡くなった時に「北枕」とされる由縁だそうです。
 最後に暁の寺(ワット・アルンラーチャワラーラーム)についてお話したいと思います。
 暁の寺は、チャオプラヤー川沿いにあり、アユタヤ王朝のペートラーチャー王時代以前に建てられたといわれています。
 この寺院の特徴は、トウモロコシのような形の大仏塔で、高さは七五m あり、大仏塔を四つの小塔が取り囲んでいます。ラーマ二世により一八二〇年ヒンドゥー教の暁神アルーナから現在の名称となったようです。以降ラーマ二世の個人的な保護を受け、ラーマ二世の菩提寺となっています。大仏塔は階段が大変急で転げ落ちるのではと思ったほどで、登るのに大変苦労した記憶があります。
 暁の寺を見たかった理由は、私が読んだ三島由紀夫の小説「豊饒の海」に出てくるからです。
 三島由紀夫の長編小説「豊饒の海」は、春の雪、奔馬、暁の寺、天人五衰の全四巻からなり、その第三巻に暁の寺が出てきます。
 自分で読んだ小説に出てくる暁の寺をこの目で見ることができ、大変感激したことを覚えています。
 タイへの訪問は、タイの世界遺産やタイの歴史に触れることができ、大変有意義なものとなりました。
 今後も機会があれば世界遺産を訪れてみたいと思っています。

(税理士)

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