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民事2026年04月12日 最近の事件傾向・街弁 執筆者:石丸文佳

 最近様々な法改正、制度改正が行われ、また市場も大きな変化を見せていますが、今回はこれらに関連する街弁の事件傾向の変化を分析してみました。

 4月からの法改正と言えば、なんといっても共同親権の施行 ではないでしょうか。色々な意味で注目度が高い制度でしたが、ふたを開けてみると意外とこれによって受任件数が増えたという感じはありません。
 元々街弁であれば離婚にまつわる相談はそこそこあり、その中で共同親権について聞かれることはよくあります。しかし、共同親権制度があるから離婚する、共同親権制度がなければ離婚しないという夫婦はほとんどいないと思われること、過去に離婚した元夫婦が共同親権目当てで依頼に来るというケースが思ったよりも少なかったことが理由でしょう。
 共同親権制度が施行された理由の一つに、これまでは親権者をどちらかに決めなければ離婚できず、離婚に至るまでに時間がかかっていたところ、共同親権制度によって親権者を決めなくても離婚できる ようになるので早期解決が図れるというものがあったようです。が、これは街弁であれば多くの人が想定していたように、親権者を決めない(共同親権を選ぶ)こと自体がひとつの親権に関する選択であるため、結局は親権争いが残れば離婚は成立しません。そのため、通常の離婚事件同様の親権争いに吸収されて、特段これによって離婚件数が増えたという感じがしないのだと思われます。
 過去に離婚した元夫婦からの相談はなくはないのですが、私が現状受任した件はまだありません。速やかに申立てを行った人は、大した争いがなくて共同親権が認められる見込みが高いので本人調停にしているし、かつてシビアな親権争いを行った人は、少なくとも事前の広報によればそう簡単には共同親権が認められないようですから、今はまだ様子見段階なのかもしれません。

 明確な増加を辿っているのが、破産事件です。大きな理由はスタグフレーションによるものだと思いますが、ギリギリセーフで何とか収支の均衡を保っていた人が、税金や社会保険料の負担増に追い打ちをかけられてギリギリアウトになっているのかもしれません。もっとも、これは破産事件自体の増加もさることながら、大手事務所が破産事件を受けずに放出するようになっていることで、他の事務所での事件の引受けが増えているからだとも思われます。公設事務所は今や、債務整理ばかりに追われているとも聞きます。
 破産事件を放出してしまう事務所が増えているのは、少なくとも東京では破産申立てにやたらと手数がかかるにもかかわらず、人手不足で事務員も確保し辛いからでしょう。一般的に、人手不足は提示する給与の不足によるところも大きいですが、お金がない人が使う法テラスの破産事件の費用は変わらないので、給与を支払って破産専門の事務員を確保することが難しいのです。東京地裁では管財を原則 としていて、同時廃止を得るには少なくとも最低限、申立人における詳細な調査が必要となりますが、これだと破産の持ち件数を増やすのは困難です。結果として、破産を扱わない事務所が増え、公設事務所を中心として破産を扱っている事務所に事件が偏在しているようです。

 争いは増加しているはずですが、弁護士の受任事件としては意外と増加していないのが賃料増額事件です。不動産価格の高騰で賃料も高騰しており、極端に値上げした賃料を提示されたという話はよく聞きますし、実際相談もそこそこあります。しかし、純粋に賃料増額事件だけで委任を受けることはほとんどありません。
 これはおそらく、AIを始めとしたネット上の情報で、賃料増額は拒否できるという知識が比較的知られたこと、賃料の増額程度の経済的利益だと弁護士費用に見合わないことが理由だと思われます。ただ、当事者間の話し合いで解決できなければ、弁護士の出番になることは十分にあり得ます。たとえば、賃料増額の話だったはずなのに、話し合いがまとまらずに何らかの契約違反を持ち出されたり、更新を拒絶されたりして建物明渡請求に発展するなどです。賃料を長期間滞納して建物の明渡しを求められるようなケース等、つまり勝算がないことが明らかなケースはさておき、そうではないケースであれば、さすがにAIの知識では太刀打ちできずに弁護士に相談に来る方が多いという感覚です。

(2026年4月執筆)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

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