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一般2026年09月13日 母が亡くなり、残ったのは築127年の空き家 「実家じまい」の難しさ…解体に大金、買い手探し難航、親族でもめることも 悩む息子に救いの手 提供:共同通信社

 横浜市に住む男性(69)は90代の母を4年前に亡くした。母は島根県出雲市に1人で暮らしていたため、実家は空き家に。遠方のため管理が難しく、やがて外壁がはがれて近隣住民から「危ない」「見栄えが悪い」と修理を求められた。男性は悩んだ。実家は築127年。家は風呂が別棟になっているなど昔ながらの造り。解体しようにも大金が必要で、売却したくても買い手はいるのか―。
 親の死亡や施設への入所に伴い、誰も住まなくなった家を処分する「実家じまい」に直面する人が増えている。家の管理が難しく、放置すれば近所トラブルにつながりかねない。売却などを巡り、親族間の合意や費用負担がハードルとなるケースもある。この男性は幸い、解決することができた。一体、どうやったのか?(共同通信=三村泰揮)

 ▽親族「放置したままでもいいのでは」
 母が亡くなってすぐ、男性は実家の登記名義人に。実家は住宅密集地にあるため、火事が起きてしまったら近隣に燃え広がるリスクがある。男性は真剣に実家じまいを考え始めた。だが、業者に解体費の見積もりを頼んだら「少なくとも300万円はかかる」。地元の不動産業者には「売却は難しい」と断られた。
 親族間では費用負担などを巡って折り合いが付かない。こんな声も出始めた。「周りも空き家ばかりだし、放置したままでいいのではないか」
 それでも男性は実家じまいにこだわった。
 「自分が生きているうちに処分しないと、子どもたちが相続する時に迷惑をかける」

 ▽登記名義人の整理でスムーズに
 さまざまな業者に当たったが、良い手段が見つからない。そんな時、家族がインターネットで空き家売却などを行う「ネクスウィル」(東京)を見つけた。ほかに選択肢もない。口コミや、行政と連携している点などで信頼性を確認して「とりあえずやってみよう」という気持ちで相談したら、この会社が買い取ってくれるという。
 ネクスウィルが買い取った上で20万円で売り出したところ、買い手が現れた。残置物の処理や所有権移転登記などの手続きに費用がかかったが、解体するよりは安く済んだ。
 ネクスウィルの担当者はこう説明する。
 「定期的に換気するなどして状態が良い物件なら、値段次第で買い手は見つかる」
 さらに、スムーズに進んだのは一定の「準備」がされていたからと指摘する。
 「登記名義人の整理が済んでおり、売却した男性に一本化されていたことが大きい。早めに相続の手続きをしないと、所有者が亡くなる際に親戚にも相続されていき、売却の同意を取るのが大変になる。この対応に1~2年程度かかるケースもある」

 ▽「古い家には独特の魅力」
 この物件を購入した、群馬県安中市の会社経営安居義宣さん(48)に話を聞いた。気に入ったのは、海に近い立地だという。リフォームをした上で、賃貸用とするか趣味のマリンスポーツの拠点とするか使い道を検討すると話した。「最近の家にはなかなか見ない大きくて太い柱が使われていたり、かつての住人の暮らしを感じる息吹が残っていたり、古い家には独特の魅力がある」
 担当者によると、ネクスウィルが実家じまいで買い取り、市場に出た物件は9割ほどが賃貸などの投資目的で購入されるという。担当者はこう分析している。
 「建物を安価で購入して修繕費をなるべく安く済ませるなど、物件によっては初期投資が約100万円と始めやすいことが幅広い投資家を引きつけている」

 ▽不安感じるも7割が「備えなし」
 警備大手セコムが、親と離れて暮らす30~69歳の560人を対象に2025年に実施したインターネット調査では、実家が空き家になることに不安を感じているとの回答は「とても」「やや」を合わせ50・9%に上った。
 一方、空き家になることへの備え(複数回答)は70・5%が「何も備えていない」と答えた。13・8%の「権利関係の把握」、12・7%の「相続や維持管理の方法を決めている」と続いた。
 総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、空き家は全国に900万2千戸あり、2018年と比べ51万3千戸増えた。空き家は倒壊や火災のほか、景観や治安の悪化を招く懸念もある。

 ▽親が生きている間に話し合いを
 「実家じまい」の方法を発信している一般社団法人「実家片づけ整理協会」によると、いざ実家を処分しようとしても「思い出があるから残したい」と親族間で意見が分かれるケースがあるほか、家財などの処分を誰がやるのか、費用は誰が負担するのかといった点を巡ってもめることもあるという。
 協会の渡部亜矢代表理事は「きょうだい間でも、実家じまいに対する切迫感や、どう処分したいかの考えには違いが生じがちだ」と指摘。「親が生きている間に家族で話し合い、結論を導くのが望ましい」

(2026/09/13)

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