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経営・総務2020年09月07日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年8月調査 ― 出典:帝国データバンク

国内景気は不透明感漂うなかでわずかな回復傾向
~個人消費の持ち直しに期待も、景気は横ばい傾向が続く見込み~

(調査対象2万3,689社、有効回答1万2,000社、回答率50.7%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年8月の景気DIは3カ月連続で前月比プラス(0.6ポイント)の29.7となった。国内景気は、緩やかに持ち直しがみられたが、わずかな回復にとどまった。今後の景気は、個人消費の持ち直しが期待されるが、横ばい傾向で推移するとみられる。
2.10業界中、『製造』や『運輸・倉庫』など7業界で前月からプラスとなったものの、全業界で40を下回る低水準での推移が継続した。また、『小売』や『農・林・水産』など3業界は悪化した。
3.『北海道』『南関東』など10地域中9地域がプラス、『九州』が悪化した。公共工事の発注や自宅内消費はプラス材料となった。他方、独自の緊急事態宣言による生産活動の抑制や、長雨と猛暑で農作物の生育などに悪影響がみられた。景況感が同一規模内で二極化する傾向も表れた。
<2020年8月の動向:下げ止まり>
 2020年8月の景気DIは3カ月連続で前月比プラス(0.6ポイント)の29.7となった。
 8月の国内景気は、再開した経済活動の持ち直しがプラス要因となった一方、地域独自の緊急事態宣言などが景況感を下押しした。自宅内消費の拡大や新たな住宅ニーズの高まりなどのほか、国内での自動車部品の生産持ち直しや猛暑対策商品の製造・販売、米国・中国向け輸出増加などはプラス材料だった。他方、新型コロナウイルスの影響に加えて、野菜などの生育不足にともなう価格高騰は農林水産や飲食料品関連に対してマイナス材料となった。また、宿泊業を含め設備稼働率は引き続き低位な水準で推移した。
 国内景気は、緩やかに持ち直しの動きがみられたが、わずかな回復にとどまった。
<今後の見通し:横ばい>
 今後1年程度の国内景気は、新しい生活様式への対応による新規需要の創出が見込まれる。さらに観光振興などの各種消費支援策もあり、個人消費の持ち直しが期待される。また挽回生産や工場の国内回帰など自国生産の拡大は設備投資を促すほか、抑制されていた需要の顕在化などもプラス要因になるとみられる。他方、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染状況は最大のリスクとなろう。また企業業績の悪化にともなう雇用・所得環境の悪化が懸念されるほか、新政権による政策や米国大統領選の行方も注視される。
 今後の景気は、個人消費の持ち直しが期待されるが、横ばい傾向で推移するとみられる。
業界別:7業界でプラスも低水準が継続、『小売』など3業界が悪化
・10業界中、『製造』や『運輸・倉庫』など7業界で前月からプラスとなったものの、全業界で40を下回る低水準での推移が継続した。また、『小売』など3業界は悪化した。
『製造』(25.9)…前月比1.0ポイント増。3カ月連続でプラス。持ち直しの動きが持続したものの、12業種中11業種の景気DIが30を下回る厳しい水準での推移が続いた。特に、「出版・印刷」(同3.0ポイント増)や「繊維・繊維製品・服飾品製造」(同0.5ポイント増)では厳しい状況が継続している。「輸送用機械・器具製造」(同3.0ポイント増)は、国内での自動車部品の生産が持ち直していることや、米国・中国向け輸出の増加傾向がプラスに寄与した一方、生産・出荷量DIは20台と依然として低く、本格的な回復には至っていない。他方、『製造』の設備投資意欲DI(38.2、同0.8ポイント増)は、低水準での推移が続いているものの4カ月連続でプラスとなった。
『運輸・倉庫』(25.4)…同1.2ポイント増。2カ月連続でプラスとなったものの、5月以降の景気DIは、10業界のなかで最も低い水準となっている。各種観光振興策が実施されるなか、厳しい状況が続いている宿泊業と同様に、国内旅行や旅行代理店、バス・タクシーなどの旅客自動車運送といった観光関連の企業では持ち直しの動きに弱さがみられる。一般貨物自動車運送は、EC(電子商取引)など宅配貨物の増加傾向もあり2カ月連続でプラスも、自動車など製造業を中心に荷動きが依然として弱いとの声があげられた。
『小売』(30.3)…同0.7ポイント減。3カ月ぶりの悪化。特別定額給付金の支給もあり、消費の反動増で6月、7月に大きく持ち直した「家具類小売」(同1.1ポイント減)や「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同0.7ポイント減)の景況感が再び悪化し、売り上げDIにも落ち込みがみられた。また、猛暑や新型コロナウイルスの感染再拡大で外出を自粛する動きが、「各種商品小売」(同4.0ポイント減)や「専門商品小売」(同0.2ポイント減)などへ悪影響を及ぼした。外来診療の減少が影響しているとの声も聞かれた「医薬品・日用雑貨品小売」(同1.4ポイント減)など、『小売』は9業種中7業種が悪化となった。
『農・林・水産』(31.0)…同0.4ポイント減。3カ月ぶりの悪化。漁業協同組合やまき網漁業などの水産関連の景況感が悪化。住宅建築向けなどで木材需要が低迷している森林組合に加え、大雨や高温の影響を受け野菜価格が高騰している農業も、低水準での推移が続いた。そのようななか、『農・林・水産』の売り上げDI(34.7、同6.7ポイント減)は、2カ月ぶりに30台に低下。また、設備稼働率DI(41.2、同1.6ポイント減)は調査開始以降で最も低い水準を記録。生産・出荷量DI(37.4、同3.1ポイント減)も低下し、2カ月ぶりに30台へ落ち込むなど、生産面への影響がみられた。
規模別:全規模が3カ月連続でプラスとなるが、同一規模内で二極化の傾向も
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも3カ月連続でプラスとなったものの、小幅にとどまった。自宅内消費などがプラス要因も、景況感が二極化する傾向も表れた。
「大企業」(32.4)…前月比0.7ポイント増。3カ月連続でプラス。「飲食店」「旅館・ホテル」では厳しい状態が続いた一方、「電気通信」「情報サービス」は堅調に推移するなど、業種間で景況感が二極化してきた。また設備投資意欲は低水準ながら徐々に上向いている。
「中小企業」(29.1)…同0.6ポイント増。3カ月連続でプラス。自宅内消費の広がりにともなう家庭菜園や、近距離レジャーによる釣具ニーズなど新しい需要がみられた。他方、野菜価格の高騰などもあり食品小売や飲食店などは大きく悪化した。
「小規模企業」(30.0)…同0.6ポイント増。3カ月連続でプラス。エアコンや氷菓、衣服など猛暑対策商品の製造・販売が堅調だった。他方、新型コロナウイルスの影響により、外食や宿泊、広告関連は依然として厳しい状況が続いた。
地域別:10地域9地域でプラス、公共工事の発注や自宅内消費が下支えに
・『北海道』『南関東』など10地域中9地域がプラス、『九州』が悪化した。公共工事の発注や自宅内消費は地域経済を下支えする要因となった。他方、独自の緊急事態宣言などによる経済活動の抑制や、長雨と猛暑で農作物の生育などに悪影響がみられた。
『北海道』(33.4)…同0.7ポイント増。3カ月連続でプラスとなり、5カ月ぶりに30台へと復帰した。自宅内消費の高まりで宅配貨物を含む『運輸・倉庫』がプラスに寄与した。他方、7月の長雨と8月の猛暑による野菜などの価格高騰の影響が一部でみられた。
『南関東』(30.4)…同 1.7 ポイント減。3 カ月連続で悪化。中国など海外経済の停滞で域内 の建設機械・工作機械部品メーカーなど『製造』が大きく悪化。特に「中小企業」は 10 地 域で最大の悪化幅となり 3 年 1 カ月ぶりの 30 台に落ち込んだ。
『九州』(31.8)…同0.7ポイント減。3カ月ぶりに悪化。新型コロナウイルスの感染再拡大にともない「福岡」「沖縄」で独自の緊急事態宣言などが出され、小売業や娯楽サービスなど個人消費関連が大きく悪化した。
2.調査事項
 ・景況感(現在)および先行きに対する見通し
 ・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年8月18日~8月31日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB 景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI 算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測 DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

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