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株式・株主総会2021年08月30日 会社法改正-株主総会資料の電子提供 執筆者:矢吹保博

 令和元年12月4日に会社法が改正され、同月11日に公布されました。この改正会社法では、株主総会資料をウェブサイトに記載し、当該サイトのアドレス等を株主に通知するという方法により、株主総会資料を提供することができるという制度(電子提供制度)が創設されました(第325条の2~第325条の7)。
 電子提供制度創設の理由について、令和元年11月19日に開催された第200回国会法務委員会第9号では、森まさこ法務大臣(当時)が、インターネットを利用することで従来よりも早期に株主総会資料を提供できること、印刷等の作業が不要となって時間とコストを削減することが可能となることを挙げています。
 施行日は、公布日から3年6か月を超えない範囲内(令和5年6月11日まで)において政令で定める日とされています。
 この改正に伴い、振替株式を発行する会社では、電子提供制度の利用が義務付けられることになりました(社債、株式等の振替に関する法律第159条の2第1項(改正後))。このため、振替株式を発行する上場企業等では、電子提供制度の利用に向けてシステム構築等が必要となることから、公布日から施行日まで比較的長い期間が設けられています。

 電子提供措置を実施する期間について、改正会社法では、株主総会の日の3週間前または株主総会招集通知を発した日のいずれか早い日から、株主総会の日後3か月を経過する日までの期間実施しなければならないとされています(第325条の2第1項)。
 この期間中に電子提供措置が中断され、株主総会資料の閲覧ができない状態となった場合は、株主総会の招集手続に法令違反があるということになりますので、株主総会決議取消事由に該当します。
 しかし、閲覧ができない状態がわずかな期間であった場合や、会社に帰責性がない場合にまで株主総会決議が取り消されるおそれがあるとなると、会社にとって酷ですし、株主にとっても不利益と言えます。そこで以下の要件を全て満たした場合に救済措置が認められています(第325条の6)。

①電子提供措置の中断について、会社が善意無重過失であることまたは正当な事由があること
②電子提供措置が中断した時間の合計が、電子提供制度期間の10分の1を超えないこと
③電子提供措置開始日から株主総会の日までの期間における中断した時間の合計が、当該期間の10分の1を超えないこと
④会社が中断を知った後速やかにその旨、中断が生じた時間及び中断の内容について、当該電子提供措置に付して、電子提供措置をとること

 この救済措置の適用のためには、電子提供措置をとったサイトのログを保存や十分なメンテナンスを図っておくことが大切です。
 また、昨今では国内外からのハッキングが多発していることから、万が一の事態に備えて予備のサイトを準備しておくという対策も考えられます。ただし、予備のサイトを設ける場合、株主総会招集通知にそのアドレスを記載しておく必要があるとされています。
 電子提供措置の具体的な実施にあたっては、専門家等に相談することをおすすめします。

 今後、電子提供制度がスタートする初期では様々な混乱が生じることも予想されます。とはいえ、これまで、株主総会を開催するにあたって紙媒体を郵送という方法によって提供しなければならなかったこともあり、電子提供制度は非常に便利な制度と言うことができます。SDGsの理念が広がりつつあり、資源のムダ遣いに対して敏感になりつつある現代社会に沿った制度とも言えます。
 電子提供制度で提供しなければならない事項は、第325条の3第1項各号で定められており、株主総会の日時や場所等(第298条1項各号に定めるもの)、株主総会参考書類や議決権行使書面に記載すべき事項、参考書類や計算書類等の全てについて提供する必要があるとされています。電子提供制度をうまく活用することにより、こういった情報をより一層分かりやすく提供できるようになる可能性もあり、株主の権利行使に資するという側面もあると思われます。

(2021年8月執筆)

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