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解説記事2006年10月09日 【ニュース特集】 四半期会計基準案の概要を読み解く(2006年10月9日号・№182)

平成20年4月から半期報告が廃止され、四半期報告に統一
四半期会計基準案の概要を読み解く


 平成20年4月1日開始事業年度から四半期報告書制度が導入されることになる。これに伴い、四半期会計基準については、企業会計基準委員会(ASBJ)が策定し、レビュー基準については、企業会計審議会の監査部会で策定することになっている。今回の特集では、明らかになった四半期会計基準の概要を紹介する。四半期会計基準および同適用指針の公開草案については、10月中にも決定される運びとなっている。

四半期財務諸表は3つ
 まず、対象となる四半期財務諸表の範囲については、四半期貸借対照表、四半期損益計算書、四半期キャッシュ・フロー計算書から構成されることになる。四半期連結財務諸表を開示する場合には、四半期個別財務諸表の開示は要しない。
 株主資本等変動計算書については、四半期開示の対象外となっているため、作成する必要はない。現在は、株主資本に著しい変動があった場合のみ変動事由を注記事項として開示する方向で検討が進められている。金額を開示するかどうかは今後の検討次第となる。
 四半期財務諸表の開示対象期間については、①当該四半期会計期間末日の四半期貸借対照表と直前事業年度末日の貸借対照表、②当該四半期会計期間(3か月情報)および当該事業年度の期首からの累計期間の四半期損益計算書、ならびに直前事業年度の対応する期間のそれぞれの四半期損益計算書、③当該事業年度の期首からの累計期間の四半期キャッシュ・フロー計算書と直前事業年度の対応する期間の四半期キャッシュ・フロー計算書となっている。
 なお、当該四半期会計期間(3か月情報)の四半期損益計算書については、四半期報告書制度導入後、体制整備のため、一定の準備期間を設けることが適当としている。

四半期財務諸表の範囲
・四半期貸借対照表
・四半期損益計算書
・四半期キャッシュ・フロー計算書
※四半期株主資本等変動計算書は対象外

COLUMN1 四半期レビュー報告書は監査部会で策定中
 四半期財務諸表のレビュー基準については、現在、企業会計審議会の監査部会で検討中だ。監査部会で示された四半期レビューの考え方では、四半期レビューの目的を「四半期財務諸表が、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点について適正に表示していないと信じさせる事項が認められなかったかどうかに関する結論を、監査人が表明することにある」と定義。年度監査と同様の保証を得ることを目的に設計されたものではないとの消極的保証としている。また、四半期財務諸表のレビュー報告書については、レビューの対象、実施したレビューの概要、レビューの結論を記載することになる。追記情報を記載する場合には、結論の表明と明確に区分することになる。
 なお、四半期財務諸表のレビュー基準に関する公開草案については、企業会計基準委員会の四半期会計基準の公開草案が公表された後に公表される予定となっている。


原価差異の配賦方法等で簡便法を認める
 会計処理に関しては、四半期特有の会計処理を除き、原則として、事業年度の財務諸表と同じとし、一部については、簡便的な会計処理も認めている。四半期特有の会計処理としては、税金費用の計算、原価差異の繰延処理、後入先出法における売上高原価修正を挙げている。
 また、簡便的な会計処理については、中間財務諸表の作成で認められている会計処理に加え、売上債権の貸倒見積高の算定、原価差異の配賦方法、減価償却費の算定における予算制度の利用、税金費用や繰延税金資産に係る回収可能性の判断等が挙げられている。

セグメント情報や継続企業の前提などが注記の対象
 四半期財務諸表を作成するにあたり、最大のポイントは注記事項である。四半期会計期間の末日から45日以内に公認会計士等のレビューを受けた四半期財務諸表を開示することになるためだ。投資家サイドと財務諸表作成者側との意見の調整が続いているが、現時点では、米国のSEC規則開示等を参考にして注記事項が提案されており、現行の中間財務諸表よりも注記項目および注記内容の簡略化を図っている。
 具体的には、セグメント情報、1株当たり四半期純損益、重要な偶発債務等のように必ず記載を求める事項と、重要な会計処理の原則および手続の変更や株主資本の金額の著しい変動、継続企業の前提に重要な疑義が存在する場合、重要な企業結合や事業分離、重要な後発事象等のように該当する事由が生じた場合に記載を求める事項に分けられている(次頁参照)。

連結財務諸表にも四半期会計期間ごとの売上高等を開示
 連結財務諸表における開示に関しては、①事業年度末に自発的に重要な会計処理の原則および手続、表示方法の変更を行った場合には、すでに開示している四半期連結財務諸表への影響額、②当該事業年度の四半期会計期間ごとの売上高、税金等調整前四半期純損益、四半期純損益、1株当たり四半期純損益を注記することを求めている。
 適用については、平成20年4月1日以後開始事業年度からとされているが、適用初年度については、前事業年度の対応する四半期会計期間の四半期財務諸表を記載することは求められていない。

COLUMN2 東証の四半期開示では96.9%が45日以内に開示
 東京証券取引所では、平成16年4月より、すでに「四半期財務・業績の概況」の開示を義務付けている。9月7日に公表した「平成19年3月期決算会社における第1四半期財務・業績の概況の開示状況について」(対象は1,740社)によると、四半期財務・業績の概要の平均開示所要日数は33.4日だった。1,617社(96.9%)が45日以内(8月16日まで)に開示を行っている。
 なお、四半期財務・業績の概況の開示では、原則として、(要約)貸借対照表および(要約)損益計算書の添付が義務付けられているが、会社独自に添付資料としてキャッシュ・フロー計算書を開示した会社は1,039社(62.3%)、セグメント情報を開示した会社は877社(55.8%)となっている。


注記事項
① 連結の範囲に含めた子会社、持分法を適用した非連結子会社および関連会社に関する事項など、重要な変更が行われた場合には、その旨およびその理由
② 重要な会計処理の原則および手続について変更が行われた場合には、その旨、その理由および変更を行った四半期会計期間以後に四半期会計期間末日が到来する期首からの累計期間への影響額
③ 当事業年度の第2四半期以降に自発的に重要な会計処理の原則および手続について変更が行われた場合には、②の記載に加え、第2四半期以降に変更した理由、直前の四半期会計期間末日までの期首からの累計期間への影響額
④ 直前事業年度の連結財務諸表の作成に当たり重要な会計処理の原則および手続について変更が行われており、かつ、直前事業年度の四半期連結財務諸表と当四半期連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計処理および手続との間に相違がみられる場合は、その旨および直前事業年度の対応する四半期会計期間への影響額
⑤ 表示方法を変更した場合には、その内容
⑥ 簡便的な会計処理および四半期特有の会計処理を採用している場合には、その旨およびその内容
⑦ 事業の種類別セグメント情報、親会社および子会社の所在地別セグメント情報、海外売上高、企業結合や事業分離等により事業の種類別セグメント情報に係るセグメント別資金金額に著しい変動があった場合には、その概要
⑧ 1株当たり四半期純損益、潜在株式調整後1株当たり四半期純損益、ならびに当該金額の算定基礎
⑨ 1株当たり純資産
⑩ 四半期会計期間末日における発行済株式総数、自己株式数および新株予約権(自己新株予約権を含む)の目的となる株式数
⑪ ストック・オプションを新たに付与した場合および重要な事項に変更がある場合には、その旨およびその内容
⑫ 配当に関する事項
⑬ 株主資本の金額に著しい変動があった場合には、主な変動事由
⑭ 四半期会計期間末日に継続企業の前提に重要な疑義が存在する場合には、その旨、その内容ならびに企業の対応等
⑮ 事業の性質上営業収益または営業費用に著しい季節的変動がある場合には、その状況
⑯ 重要な保証債務その他の重要な偶発債務の金額
⑰ 重要な企業結合に関する事項
(1)パーチェス法を適用した重要な企業結合
 イ 企業結合の概要、四半期連結損益計算書に含まれる被取得企業等の業績の期間、被取得企業等の取得原価およびその内訳、発生したのれんに関する事項
 ロ 企業結合が当期首に完了したと仮定したときの四半期連結損益計算書への影響の概算額。概算額を記載することが困難な場合にはその旨およびその理由
(2)持分プーリング法を適用した企業結合
 イ 企業結合の概要、議決権のある株式の交換比率およびその算定方法等、企業結合を持分の結合と判定した理由、企業結合の結果として処分することが決定された重要な事業
 ロ 企業結合が当事業年度の期首以外で行われた場合には、当事業年度の期首に企業結合が行われたものとみなして、当事業年度のすでに開示されている四半期会計期間への影響額。影響額を正確に記載することが困難な場合には、その旨および適当な方法による概算額
 ハ 前事業年度の連結財務諸表には、持分プーリング法を適用した結果が反映されているが、前事業年度の対応する四半期会計期間に反映されていない場合には、その旨および直前事業年度の対応する四半期会計期間の影響額
(3)重要な共通支配下の取引等および共同支配企業の形成の場合
  企業結合等の概要、実施した会計処理の概要、子会社株式の追加取得の場合は取得原価およびその内訳ならびに発生したのれんに関する事項
⑱ 重要な事業分離に関する事項
  事業分離の概要、実施した会計処理の概要、四半期連結損益計算書に計上されている分離した事業に係る損益の概算額
⑲ 四半期連結財務諸表を作成する日までに発生した重要な後発事象
⑳ 四半期連結キャッシュ・フロー計算書における現金および現金同等物の四半期末残高と四半期連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係
(21) 企業集団の財政状態および経営成績ならびにキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要なその他の事項

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