税務ニュース2003年02月10日 15年度税制改正で企業の“再々編”が容易に 再々編見込でも、再々編後の合併法人に事業等引継なら適格
15年度税制改正で企業の“再々編”が容易に
再々編見込でも、再々編後の合併法人に事業等引継なら適格
15年度改正により、企業の“再々編”の自由度が高まる。大綱には、「一定の適格再編成後に再度適格合併を行なうことが予定されている場合のその最初の適格組織再編成の株式保有要件等の見直しを行なう」との一文が盛り込まれたが、株式保有要件のみならず、いわゆる「従業者引き継ぎ要件」「事業継続要件」など他の要件についても、企業が“再々編”をやりやすいよう、法令の改正が行なわれる。「事業継続要件」等、法律に規定される要件の見直しはこのたび国会提出の法人税法改正案に盛り込まれるが、その内容が本誌の取材で明らかとなった。
事業等の引継会社が消滅予定なら「非適格」
合併、分割などの企業再編が「適格再編」とされるためには、再編の態様に応じ、「従業者の80%以上の引き継ぎ」「主要な負債・資産の引き継ぎ」「移転事業の継続」「株式の継続保有」「支配関係の継続」等、“継続性”をキーワードとする様々な適格要件が設けられている。ただ、このような継続性は、再編の当事者企業間の関係の中でのみ判定されるため、例えば合併法人がさらに他の法人に吸収合併され消滅してしまうなど、再編が連続して行なわれることが予定される場合には「継続性なし」と判断され、「非適格」に該当せざるを得なかった。
例えば、下図のようにそれぞれA社の51%子会社であるa社(合併法人)とb社(被合併法人)が合併する場合において、合併法人a社がさらにA社の51%子会社であるc社に吸収合併されることが予定されているケースを考えてみよう。
このような「持分割合50%超100%未満」のグループ内での合併では、1被合併法人の従業者の80%以上を合併法人に引き継ぐ見込みであること(法法2条十二の八ロ(1))、2被合併法人の主要な事業を合併法人に引き継ぐ見込みであること(同(2))――の二つが適格要件とされるが、仮にa社がb社の従業者、主要事業を一旦は引き継ぐとしても、そのa社がc社との吸収合併により消滅することが予定されている以上、現行の取扱いでは「引き継ぎが見込まれているとは言えない」とされ、a社とb社の合併は「非適格合併」となってしまう。
この点について15年度改正では、b社の従業員、主要事業が一旦a社に引き継がれ、さらにa社とc社の適格合併によりc社に引き継がれることが見込まれている場合には、a社とb社の合併を「適格合併」と取り扱うよう、法人税法が改正される。
これは、最初の企業再編が会社分割、現物出資の場合も同様。すなわち、1主要な負債・資産、2従業者の80%以上、3分割事業(現物出資事業)が、“再々編”に係る合併法人に引き継がれることが見込まれていれば、最初の企業再編は「適格再編」と取り扱われるよう、法人税法(具体的には、会社分割の適格要件を規定する法法2条十二の十一ロ、現物出資の適格要件を規定する同十二の十四ロ)が改正されることになる。
政令に規定される適格要件も改正の方向
では、下図のように、a社とb社の合併の時点で、A社がB社に吸収合併されることが予定されている場合はどうか。
この場合、「A社は消滅してしまうため、A社によるa社への支配関係が継続する見込み(法令4条の22二)があるとは言えない」との解釈から、a社とb社の合併は「非適格合併」となるのが現在の取扱いである。しかし、この点についても、a社に対する支配関係がA社からB社に引き継がれる場合には、当該合併を適格合併と取り扱うよう、政令が改正される可能性が高い。
このほか「政令」に規定される適格要件、具体的には1持分割合50%超100%未満のグループ内再編における「支配関係の継続要件」(法令4条の22②二、⑤二、⑨二)、2共同事業のための再編における適格要件(同③、⑥、⑩)、3持分割合100%のグループ内再編における適格要件(同①二)、4事後設立の適格要件(同⑬)についても、上記と同様の改正が実施されるだろう。
再々編見込でも、再々編後の合併法人に事業等引継なら適格
15年度改正により、企業の“再々編”の自由度が高まる。大綱には、「一定の適格再編成後に再度適格合併を行なうことが予定されている場合のその最初の適格組織再編成の株式保有要件等の見直しを行なう」との一文が盛り込まれたが、株式保有要件のみならず、いわゆる「従業者引き継ぎ要件」「事業継続要件」など他の要件についても、企業が“再々編”をやりやすいよう、法令の改正が行なわれる。「事業継続要件」等、法律に規定される要件の見直しはこのたび国会提出の法人税法改正案に盛り込まれるが、その内容が本誌の取材で明らかとなった。
事業等の引継会社が消滅予定なら「非適格」
合併、分割などの企業再編が「適格再編」とされるためには、再編の態様に応じ、「従業者の80%以上の引き継ぎ」「主要な負債・資産の引き継ぎ」「移転事業の継続」「株式の継続保有」「支配関係の継続」等、“継続性”をキーワードとする様々な適格要件が設けられている。ただ、このような継続性は、再編の当事者企業間の関係の中でのみ判定されるため、例えば合併法人がさらに他の法人に吸収合併され消滅してしまうなど、再編が連続して行なわれることが予定される場合には「継続性なし」と判断され、「非適格」に該当せざるを得なかった。
例えば、下図のようにそれぞれA社の51%子会社であるa社(合併法人)とb社(被合併法人)が合併する場合において、合併法人a社がさらにA社の51%子会社であるc社に吸収合併されることが予定されているケースを考えてみよう。
このような「持分割合50%超100%未満」のグループ内での合併では、1被合併法人の従業者の80%以上を合併法人に引き継ぐ見込みであること(法法2条十二の八ロ(1))、2被合併法人の主要な事業を合併法人に引き継ぐ見込みであること(同(2))――の二つが適格要件とされるが、仮にa社がb社の従業者、主要事業を一旦は引き継ぐとしても、そのa社がc社との吸収合併により消滅することが予定されている以上、現行の取扱いでは「引き継ぎが見込まれているとは言えない」とされ、a社とb社の合併は「非適格合併」となってしまう。
この点について15年度改正では、b社の従業員、主要事業が一旦a社に引き継がれ、さらにa社とc社の適格合併によりc社に引き継がれることが見込まれている場合には、a社とb社の合併を「適格合併」と取り扱うよう、法人税法が改正される。
これは、最初の企業再編が会社分割、現物出資の場合も同様。すなわち、1主要な負債・資産、2従業者の80%以上、3分割事業(現物出資事業)が、“再々編”に係る合併法人に引き継がれることが見込まれていれば、最初の企業再編は「適格再編」と取り扱われるよう、法人税法(具体的には、会社分割の適格要件を規定する法法2条十二の十一ロ、現物出資の適格要件を規定する同十二の十四ロ)が改正されることになる。
政令に規定される適格要件も改正の方向
では、下図のように、a社とb社の合併の時点で、A社がB社に吸収合併されることが予定されている場合はどうか。
この場合、「A社は消滅してしまうため、A社によるa社への支配関係が継続する見込み(法令4条の22二)があるとは言えない」との解釈から、a社とb社の合併は「非適格合併」となるのが現在の取扱いである。しかし、この点についても、a社に対する支配関係がA社からB社に引き継がれる場合には、当該合併を適格合併と取り扱うよう、政令が改正される可能性が高い。
このほか「政令」に規定される適格要件、具体的には1持分割合50%超100%未満のグループ内再編における「支配関係の継続要件」(法令4条の22②二、⑤二、⑨二)、2共同事業のための再編における適格要件(同③、⑥、⑩)、3持分割合100%のグループ内再編における適格要件(同①二)、4事後設立の適格要件(同⑬)についても、上記と同様の改正が実施されるだろう。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.