会計ニュース2003年11月17日 リース会計専門委員会、審議の一時中止へ(2003年11月17日号・№043) 第44回企業会計基準委員会が開催される
リース会計専門委員会、審議の一時中止へ
第44回企業会計基準委員会が開催される
第44回企業会計基準委員会(ASB)が11月7日に開催され、リース会計専門委員会の活動の一時中止が決まった。その他、役員賞与についてはP/L計上する方向性で検討すること、企業結合及び事業分離について専門委員会を設置するとともに適用指針等を作成することも決定した。
税の問題で小休止
リース会計専門委員会は所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理(注記処理)の廃止の是非を検討するため、昨年の8月に設置されて以降、9回にわたる審議を重ねてきた。しかし、例外処理の廃止はリースのメリットを喪失させるとともに、レバレッジド・リース等のスキームの存立にもかかわる問題であるとして、リース業界を中心として経済界から根強い反対論があり、議論は平行性をたどっていた。
法人税法におけるリース取引の扱いが賃貸借処理を前提としていることから、確定決算主義のもと会計だけ売買処理に移行した場合にさまざまな問題点が生じることが予想される。そこで、今後は課税当局を含めた関係者間での合意を形成していくことが不可欠であると判断し、議論を一時中止することとなった。関係者間での合意形成が進めば、その経緯を見て審議が再開される予定。なお、ASBではいままでの審議の経緯につき「検討の中間報告」として公表することも視野に入れている。
リース会計専門委員会での審議は7月8日の第9回を最後に、それ以降開催されていない。手詰まり状態となり、有効な打開策がみあたらない状況下での一時中止という事態に、「このままでは議論が止まってしまう。単に中止するのではなく、今後の具体的なアクションをつめていくべき」と苛立ちを見せる委員も。
会計ビッグ・バンを経てあらかた世界標準に追いついた我が国の会計基準であるが、リース会計において例外処理である賃貸借処理が事実上原則となってしまっている点は会計後進国であった時代の残滓といえる。ASBが民間の会計基準設定主体として利害調整機能をどこまで発揮できるのかが問われているといえよう。
役員賞与はP/L計上の方向で
ASBが役員賞与の会計処理をテーマに取り上げたのは既報(9月29日号)の通り。これについて、11月7日の委員会では、役員賞与をP/L計上する方向で検討を進めていくことを確認した。定時総会の利益処分で決議された役員賞与について利益処分時に未処分利益から支払う会計処理を行っている現状を改め、発生主義により見積額を引当金繰入額としてP/L計上する会計処理が提案されている(次ページ下を参照)。もっとも、公表物について会計基準とするのか、それとも実務対応報告にするのかについては未定。平成16年3月決算に間に合わせるためには、デュー・プロセスの確保のために十分な周知期間が必要となる会計基準という形ではなく、より簡便な実務対応報告になる公算が大きい。
役員賞与が定時総会の利益処分案で確定するからといって、必ずしも利益処分時まで認識・測定を行えないわけではない。発生主義の観点からは、引当金繰入額をP/L計上する方が理にかなっているといえる。役員退職慰労引当金を計上する会社はあっても、役員賞与を引当計上する会計慣行はなかった。役員賞与を利益処分時に未処分利益から支払うという会計処理は戦前から行われている長年の慣行であることから、実務家の戸惑いも大きいものと思われる。よって、実務報告等が公表されても、当面は適用が任意となるものと思われる。
事業分離に係る会計基準の審議開始へ
10月31日に企業会計審議会より「企業結合に係る会計基準」が公表されたが、そこにおいてASBにて開発することが適当とされている事項(7ページ参照)について、適用指針の作成が必要となることから、企業結合専門委員会をあらたに設置することが決定された。同専門委員会は自己株式等会計基準適用指針の改訂も担当する予定。
また、事業分離専門委員会も設置され、「企業結合に係る会計基準」で触れられていない事業分離側の会計基準を審議・開発することとなった。事業分離専門委員会は「事業分離に係る会計基準」と「事業分離に係る会計基準適用指針」に加えて、「企業再編にかかる株主の会計処理」(公表形態については未定)も担当する。公表物は実務の利便性を考えて「企業再編に係る会計処理の適用指針」などとして、企業結合会計基準、事業分割会計基準といった会計基準を横断した適用指針を開発するといった案もある。スケジュールについては7ページ参照。なお、平成16年3月頃に第1回論点整理として、企業結合に関しては「合併、株式交換・移転(共通支配下の取引を除く)」に関するものが、また、事業分離に関しては「会社分割(共通支配下の取引を除く)、企業再編に係る株主の会計処理」に関するものが公表される予定。さらに、平成16年8月頃に第2回論点整理として、企業結合に関しては「共通支配下の取引、判定、共同支配」に関するものが、また、事業分離に関しては「共通支配下の取引、現物出資、営業譲渡等」に関するものが公表される予定。
第44回企業会計基準委員会が開催される
第44回企業会計基準委員会(ASB)が11月7日に開催され、リース会計専門委員会の活動の一時中止が決まった。その他、役員賞与についてはP/L計上する方向性で検討すること、企業結合及び事業分離について専門委員会を設置するとともに適用指針等を作成することも決定した。
税の問題で小休止
リース会計専門委員会は所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理(注記処理)の廃止の是非を検討するため、昨年の8月に設置されて以降、9回にわたる審議を重ねてきた。しかし、例外処理の廃止はリースのメリットを喪失させるとともに、レバレッジド・リース等のスキームの存立にもかかわる問題であるとして、リース業界を中心として経済界から根強い反対論があり、議論は平行性をたどっていた。
法人税法におけるリース取引の扱いが賃貸借処理を前提としていることから、確定決算主義のもと会計だけ売買処理に移行した場合にさまざまな問題点が生じることが予想される。そこで、今後は課税当局を含めた関係者間での合意を形成していくことが不可欠であると判断し、議論を一時中止することとなった。関係者間での合意形成が進めば、その経緯を見て審議が再開される予定。なお、ASBではいままでの審議の経緯につき「検討の中間報告」として公表することも視野に入れている。
リース会計専門委員会での審議は7月8日の第9回を最後に、それ以降開催されていない。手詰まり状態となり、有効な打開策がみあたらない状況下での一時中止という事態に、「このままでは議論が止まってしまう。単に中止するのではなく、今後の具体的なアクションをつめていくべき」と苛立ちを見せる委員も。
会計ビッグ・バンを経てあらかた世界標準に追いついた我が国の会計基準であるが、リース会計において例外処理である賃貸借処理が事実上原則となってしまっている点は会計後進国であった時代の残滓といえる。ASBが民間の会計基準設定主体として利害調整機能をどこまで発揮できるのかが問われているといえよう。
役員賞与はP/L計上の方向で
ASBが役員賞与の会計処理をテーマに取り上げたのは既報(9月29日号)の通り。これについて、11月7日の委員会では、役員賞与をP/L計上する方向で検討を進めていくことを確認した。定時総会の利益処分で決議された役員賞与について利益処分時に未処分利益から支払う会計処理を行っている現状を改め、発生主義により見積額を引当金繰入額としてP/L計上する会計処理が提案されている(次ページ下を参照)。もっとも、公表物について会計基準とするのか、それとも実務対応報告にするのかについては未定。平成16年3月決算に間に合わせるためには、デュー・プロセスの確保のために十分な周知期間が必要となる会計基準という形ではなく、より簡便な実務対応報告になる公算が大きい。
役員賞与が定時総会の利益処分案で確定するからといって、必ずしも利益処分時まで認識・測定を行えないわけではない。発生主義の観点からは、引当金繰入額をP/L計上する方が理にかなっているといえる。役員退職慰労引当金を計上する会社はあっても、役員賞与を引当計上する会計慣行はなかった。役員賞与を利益処分時に未処分利益から支払うという会計処理は戦前から行われている長年の慣行であることから、実務家の戸惑いも大きいものと思われる。よって、実務報告等が公表されても、当面は適用が任意となるものと思われる。
事業分離に係る会計基準の審議開始へ
10月31日に企業会計審議会より「企業結合に係る会計基準」が公表されたが、そこにおいてASBにて開発することが適当とされている事項(7ページ参照)について、適用指針の作成が必要となることから、企業結合専門委員会をあらたに設置することが決定された。同専門委員会は自己株式等会計基準適用指針の改訂も担当する予定。
また、事業分離専門委員会も設置され、「企業結合に係る会計基準」で触れられていない事業分離側の会計基準を審議・開発することとなった。事業分離専門委員会は「事業分離に係る会計基準」と「事業分離に係る会計基準適用指針」に加えて、「企業再編にかかる株主の会計処理」(公表形態については未定)も担当する。公表物は実務の利便性を考えて「企業再編に係る会計処理の適用指針」などとして、企業結合会計基準、事業分割会計基準といった会計基準を横断した適用指針を開発するといった案もある。スケジュールについては7ページ参照。なお、平成16年3月頃に第1回論点整理として、企業結合に関しては「合併、株式交換・移転(共通支配下の取引を除く)」に関するものが、また、事業分離に関しては「会社分割(共通支配下の取引を除く)、企業再編に係る株主の会計処理」に関するものが公表される予定。さらに、平成16年8月頃に第2回論点整理として、企業結合に関しては「共通支配下の取引、判定、共同支配」に関するものが、また、事業分離に関しては「共通支配下の取引、現物出資、営業譲渡等」に関するものが公表される予定。
役員賞与の会計処理
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