税務ニュース2022年06月17日 SOPによる申告漏れも隠蔽事実なし(2022年6月20日号・№935) 審判所、証拠隠匿や調査を困難にする行動を取らず
本件は、請求人が原処分庁より米国の親会社から付与されたストックオプションの権利行使による経済的利益の申告漏れを指摘され、修正申告をしたところ、原処分庁が経済的利益を隠蔽又は仮装した事実が認められるとして、重加算税等の賦課決定処分を行ったもの。請求人は、権利行使したストックオプションなどに係る所得を隠蔽できないことを承知しており、本件利益に係るデータを入力せずに給与計算シートを作成して確定申告をしたのも、意図的ではないなどと主張した。
審判所は、正確な帳簿書類が存在するのに不自然に多額の所得金額の申告控除を繰り返した場合、当然保存しておくと考えられる原始記録を保存しない場合、あるいは過少申告後の税務調査に対する非協力、虚偽答弁等の事情が認められることにより、確定的意図の下に真実の所得金額の大部分を脱漏して殊更過少の金額を記載した申告書を作成し、これを提出したと認められるような場合には、重加算税の賦課要件として隠蔽又は仮装に該当する行為があるものと解されるとした。
その上で審判所は、請求人はストックオプションに関する情報が記載されていない証券会社作成の資料を機械的に転記等して給与計算シートを作成したためにストックオプションの入力を失念した蓋然性が高く、請求人が給与計算シートの作成時又は確定申告書の提出時に、本件利益を認識していたと認めることはできず、本件利益に係るデータを記載せずに給与計算シートを作成した行為は、故意に隠蔽又は脱漏したあるいは帳簿書類の意図的な集計違算により仮装を行ったとはいえないとした。
また、審判所は、請求人は調査初日の当日中に本件利益の申告漏れがあったことを認めており、確定申告時に作成した資料も隠匿、改変せずに保管し、調査担当職員の提出依頼に応じている上、修正申告を速やかに行うなど、本件利益に係る証拠の隠匿や調査を困難にするような行動も取っていないから、請求人に、確定申告書の提出時点において本件利益に係る隠蔽又は仮装の意思があったと認めることは困難であると指摘し、原処分の一部を取り消した。
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