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経営・総務2019年08月28日 特別企画:国内旅行業者の経営実態調査 出典:帝国データバンク

2018年の年売上高合計、前年比 1.6%増~訪日外国人観光客の増加で大手を中心に増収~

はじめに

旅行業界は訪日外国人観光客の増加で、追い風が吹いている。「日本政府観光局(JNTO)」に よると、2018 年の訪日外国人は、前年比 8.7%増の約 3119 万 2000 人となり、統計開始の 1964 年以降で最多となった。近年は、『エクスペディア』『ブッキングドットコム』のような店舗を持 たないオンライン旅行会社「OTA(Online Travel Agent)」の参入が相次いでいる。また『トラ ベルコ』『トリバゴ』『スカイスキャナー』などホテルや航空券の最安価格を検索する「メタサーチ」企業の台頭で、オンライン旅行会社同士が価格を比較されるようになり、競争に拍車がかか っている。
帝国データバンクは、2019 年 7 月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147 万社収録)の 中から、2018 年(2018 年 1 月期~2018 年 12 月期)決算の年売上高が判明した国内旅行業者 3047 社を抽出し、年売上高合計、業歴別、従業員数別について分析した。なお、業績数値は一部推定 値を含む。

※同様の調査は今回が初めて

調査結果(要旨)

1.2018 年の年売上高合計は前年比 1.6%増の 4 兆 6758 億 5700 万円。JTB やエイチ・アイ・ エス、日本旅行など大手を中心に増収。訪日外国人の増加や宿泊費上昇で客単価が向上した
2.増収企業をみると、訪日外国人向けの文化体験型ツアーが業績拡大に寄与したケースが目立 った
3.業歴別では「10~30 年未満」(1278 社、構成比 41.9%)が最多。また「100 年以上」の老舗 業者は、(株)日本旅行(東京都中央区)、(株)JTB(東京都品川区)など 4 社(同 0.1%) となった
4.従業員別は「10 人未満」(2436 社、構成比 79.9%)が最多。中小規模のオンライン旅行会社 が圧倒数を占めた

1.年売上高合計 ~2018年は4兆6758億円

国内旅行業者 3047 社のうち、2016 年、2017 年、2018 年決算の年売上高が判明した 2881 社を対象に各年の 年売上高合計をみると、2018 年は前年比 1.6%増の 4 兆 6758 億 5700 万円となった。JTB やエイチ・アイ・ エス、日本旅行などの大手旅行会社を中心に増収が目 立った。また訪日外国人の増加で全国的にホテルの宿 泊代が値上がりし、 客単価が上昇した。
2017 年、2018 年 決算の年売上高が判 明した 2918 社をみ ると、2018 年に「増 収」となった企業は 634 社(構成比 21.7%)に対し、「減 収(同 19.7%)・横 ばい(同 58.5%)」 となった企業は 2284 社(同 78.2%)となり、全体の約 8 割を占めた。
「増収企業」をみると、訪日外国人向けに特化した企業が多く、日本酒や相撲、歌舞伎、座禅、 鍛冶工房見学などの文化体験型ツアーの企画で業績拡大に寄与したケースが目立った。また、海 外法人との事業提携や海外サイトのクチコミで集客増加につながった事例もあり、“外国人目線” を意識した企画で業績拡大した企業が散見された。

2. 業歴別 ~「10~30年未満」が最多

業歴別でみると、「10~30 年未満」が 1278 社(構 成比 41.9%)で最多となり、次いで「30~50 年未 満」が 934 社(同 30.7%)となった。業歴 10~50 年未満が全体の 7 割強を占めている。
一方、「50~100年未満」は307社(構成比10.1%)、 「100 年以上」の老舗業者は、(株)日本旅行(東京 都中央区)、(株)JTB(東京都品川区)など 4 社(同 0.1%)となった。

3. 従業員数別 ~「10人未満」が8割占める

従業員数別でみると「10 人未満」が 2436 社(構成 比 79.9%)で最多となった。オンライン旅行会社 「OTA」、旅行先のホテルやレストラン、ガイドや交 通機関などの手配を専門に行う「ランドオペレータ ー」など中小規模の会社が圧倒数を占めている。
一方、「1000 人以上」は 9 社(同 0.3%)となった。

4.まとめ

国内旅行業者 3047 社のうち、2016 年、2017 年、2018 年の年売上高が判明した 2881社を対 象に各年の年売上高合計をみると、2018年は4兆 6758 億 5700 万円となり、前年比 1.6%の増加 となった。訪日外国人観光客の増加で全国的にホテルの宿泊代が値上がりし、客単価が上昇した。 従業員数別では「10 人未満」(2436 社、構成比 79.9%)が最多となり、店舗を持たずオンライン旅行会社「OTA」など中小規模の業者が増加している。経済産業省によると、ネット経由で予約 する旅行関連サービスのEC市場規模は2018年時点で前年比10.27%増の3兆7186億円となり、 今後も市場規模の拡大が見込まれている。
旅行業界では『じゃらん』や『楽天トラベル』などの旅行予約サイトと店舗網に強みを持つ旅 行会社「TTA(Traditional Travel Agent)」との間で競争が生じていたが、『トラベルコ』や『トリップアドバイザー』のように旅行予約サイトに掲載されているホテルや航空券などを一括で検 索できる「メタサーチ」の台頭で、旅行予約サイト同士が比較されるようになり、競争が激化し ている。2017 年 3 月に倒産した『てるみくらぶ』の影響で、消費者の大手志向が強まったほか、 テレビCMで集客力を高める新興企業が増えており、今後、小規模業者の淘汰が進む可能性がある。
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