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一般2024年05月04日 家族の多様化、議論進まず 「変わらない政治」に反発 憲法記念日 提供:共同通信社

 個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法は3日、施行から77年となった。家族や夫婦の在り方は多様化し、同性婚を認めない現行法の規定は違憲とした訴訟が各地で起き、世界で日本だけが義務付ける夫婦同姓に経済界も強く異を唱える。制度の変更を求める声は高まる一方だが、国会の議論は進んでいない。「なぜこんなに待たせるのか」。変わらない政治に反発が強まっている。
 ▽初判断
 「結婚の自由をすべての人に」。4月下旬、LGBTQなど性的少数者や支援者による「東京レインボープライド2024」が東京都内で開かれた。パレードには虹色の旗を手にした約1万5千人(主催者発表)が参加。同性パートナーと共に行進した香川県三豊市の田中昭全(たなか・あきよし)さん(46)は「社会は確実に変わっているが国は変わらない。一刻も早く同性婚を認めるべく動いて」と訴えた。
 全国5地裁で起こされた同性婚訴訟のうち、初の控訴審判決が3月、札幌高裁で言い渡された。
 「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項について、高裁は同性間の婚姻も異性間と同様に保障しているとの初判断を示し、関連規定は違憲とした。
 日本は先進7カ国(G7)で唯一、同性婚や国レベルのパートナーシップ制度を導入しておらず、岸田文雄首相も否定的な考えだ。昨年2月の衆院予算委員会で、その理由を「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁。札幌高裁の違憲判決後も、同種訴訟が継続しているなどとして「引き続き判断を注視したい」と述べた。
 ▽薄氷の上
 共同通信社が今月1日にまとめた憲法に関する世論調査では、同性婚を認める方がよいと答えた人は73%、選択的夫婦別姓に賛成するとの回答も76%に上った。
 夫婦別姓を認めない法規定は、個人の尊重などを定める憲法に違反するとして3月、男女12人が別姓で婚姻できる地位の確認などを求めて東京、札幌両地裁に提訴した。
 「慣れ親しんだ名前を変えるのも、相手に強制するのも嫌だった」
 都内の黒川とう子(くろかわ・とうこ)さん(51)=仮名=は17年間、事実婚関係にある根津充(ねづ・みつる)さん(50)=同=と原告に名を連ねた。
 姓を変えることを考えると、喪失感に襲われた。急に手術を受けることになったら、相手は同意書にサインできるのか、遺産相続はどうなるのか…。不安は尽きず「ずっと薄氷の上を歩いているような感覚」と語る。
 ▽棚上げ
 法相の諮問機関の法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正要綱案を答申したが、保守系議員の反対などで法案は提出されず、四半世紀以上も棚上げされたままだ。
 政府は旧姓の通称使用拡大を進めるが、ビジネス現場で海外渡航の手続きに支障が出るなど、「キャリアの分断や不利益が生じている」と指摘する声が上がる。今年3月、企業経営者らが選択的夫婦別姓の導入を求める要望書を政府に提出し、経団連や経済同友会の担当者も同行した。
 立命館大の二宮周平(にのみや・しゅうへい)名誉教授(家族法)は、同性婚や夫婦別姓を求める人々が不安や喪失感にさいなまれず、安心して暮らすために「婚姻を認める必要があり、幸福追求権として保障されるべきだ」と指摘する。「社会の変化を踏まえない固定的な考え方は妥当性を欠く。国は家族の多様化を受け止めて議論を進めてほしい」と注文した。

認定、導入ないと不利益も 同性婚と選択的夫婦別姓 Q&A「同性婚と夫婦別姓」

 生き方や家族のかたちが多様化し、同性婚や夫婦別姓を認めてほしいとの声が上がっています。
 Q 日本ではなぜ同性婚ができないのですか。
 A 戸籍の性別が同じ2人が婚姻届を出しても、受理されないのが現状です。政府は2018年に閣議決定した答弁書で、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とした憲法24条1項は同性婚を想定していないとの見解を示し、民法や戸籍法にある「夫婦」とは、男である夫と女である妻を意味するとしました。
 Q 同性婚が認められないと、どんな影響がありますか。
 A 税制上の優遇措置を受けられなかったり、パートナーの法定相続人になれなかったりするなど不利益が生じます。多くの自治体が関係性を証明する「パートナーシップ制度」を導入していますが、法的な効力はありません。
 Q 当事者が各地で裁判を起こしていますね。
 A 民法や戸籍法が同性婚を認めないのは「法の下の平等」を定め、「婚姻の自由」を保障する憲法に違反するなどとして訴訟が起きています。
 Q 夫婦別姓が認められないのはなぜですか。
 A 民法750条は「夫または妻の氏を称する」と定め、婚姻時に夫婦同姓を義務付けています。国によると、22年に婚姻届を出した夫婦のうち約95%は女性が改姓しました。
 Q 選択的夫婦別姓とは何ですか。
 A 夫婦が望む場合、結婚後もそれぞれ結婚前の姓の使用を認める制度です。通称使用の現状では仕事や生活に支障が多いとして、導入を望む声が高まっていますが、保守系議員の反対もあり、法整備は進んでいません。

(2024/05/04)

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