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民事2024年05月06日 弾劾制度「矛盾ある」 船田裁判長、異例の言及 提供:共同通信社

 交流サイト(SNS)への投稿などで事件遺族を傷つけたとして元仙台高裁判事の岡口基一(おかぐち・きいち)氏(58)を罷免した弾劾裁判で、裁判長を務めた船田元衆院議員(70)が5日までに共同通信のインタビューに応じた。検察官役の裁判官訴追委員会と、判決を出す弾劾裁判所がともに国会議員で構成されることから「両者の距離が近く、信頼性や公平性に矛盾を抱えている」と問題点を指摘した。
 現職の弾劾裁判所裁判長が制度の課題に言及するのは異例だ。
 判決が「罷免」「不罷免」の2択しかないことにも触れ「非常に迷った。他の選択肢があってもいいのではないか」と提言した。具体的には「罷免判決から5年が経過し相当な理由があれば法曹資格を回復できる」との規定に関し、回復までの期間を短縮する案を挙げた。
 船田氏は審理期間中、誤解が生じないように訴追委の議員との接触は極力控えたという。弾劾裁判所の裁判員を務めた他の議員にも同様の対応を求めたといい「(弾劾裁判所と訴追委のメンバーは)お互いに会わない、話をしないということを今後の裁判でも徹底すべきだ」と強調した。
 岡口氏の弾劾裁判は過去最長の約2年に及び、公判も全16回で最多となった。船田氏は「SNSのルールが確立されていない中で、判断が分かれる、神経を使う裁判だった」と改めて振り返り、罷免判決が「裁判官の表現行為の萎縮を招く」との批判に対しては「できる限りそういう影響は与えないよう、判決文の中でもかなり字数を割いた」と理解を求めた。
 評決の際は、裁判員を務める議員の出身政党で意見をそろえることはなかったとし「あくまで個々人の判断だ」と説明。ただ、具体的に何人が罷免に投じたかは「罷免に必要な3分の2以上、ぎりぎりだった」とだけ述べ、裁判官弾劾法で定められた「評議の秘密」を理由に詳細は明かさなかった。

裁判官弾劾制度

 裁判官は圧力を受けず公正な裁判ができるよう、憲法で厚く身分が保障されており、最高裁裁判官の国民審査や、心身の故障による場合を除き、裁判官弾劾裁判所の罷免判決でしか辞めさせることができない。重大な職務違反のほか、刑事事件など裁判官の威信を失うような「著しい非行」があった場合、国会の裁判官訴追委員会からの訴追を受け、弾劾裁判所が罷免するかどうかを決める。弾劾裁判所の裁判員は衆参議員計14人で構成され、3分の2以上の賛成があれば罷免される。

(2024/05/06)

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