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経営・総務2020年08月07日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年7月調査 ― 出典:帝国データバンク

一部で持ち直しの動きも、厳しい経済状態が継続
~新型コロナウイルスの感染再拡大による経済停滞が最大の下振れリスク~

(調査対象2万3,680社、有効回答1万1,732社、回答率49.5%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年7月の景気DIは2カ月連続で前月比プラス(1.5ポイント)の29.1となった。国内景気は、一部で持ち直しの動きがみられたものの、厳しい水準での推移が続いた。今後の景気は、経済活動の再停滞が最大のリスク要因となるなか、低水準での推移が続くとみられる。
2.10業界中、『製造』や『建設』など9業界でプラスとなった。景況感の悪化に持ち直しの動きがみられたものの、全業界で40を下回るなど低水準での推移が続いた。『金融』は3カ月ぶりに悪化した。
3.2カ月連続で全10地域が持ち直した。地域間で人の移動が増えたほか、自宅内消費の拡大にともなう販売増加や、製造業の生産再開などがプラス要因となった。新型コロナウイルスの感染が広がりをみせるなか、一部地域では令和2年7月豪雨の影響も表れた。「大企業」「中小企業」「小規模企業」は2カ月連続で持ち直し。
<2020年7月の動向:後退局面>
 2020年7月の景気DIは2カ月連続で前月比プラス(1.5ポイント)の29.1となった。
 7月の国内景気は、経済活動の再開などが寄与したことで、低水準ながら持ち直しの動きがみられた。自宅内消費の広がりで内食需要が高まったほか、在宅勤務にともなうIT関連需要や新たな住宅ニーズなども表れた。また、政府・自治体による各種支援策の実施もプラス要因となった。他方、新型コロナウイルスの影響は引き続き表れているほか、海外経済の停滞により輸出入の減少はマイナス材料であった。また、一部地域では令和2年7月豪雨が景況感に悪影響を及ぼした。
 国内景気は、一部で持ち直しの動きがみられたものの、厳しい水準での推移が続いた。
<今後の見通し:下げ止まり>
 今後の国内景気は、働き方や日常生活における新しい生活様式への対応による新規需要の創出がプラス要因になるとみられる。特別定額給付金や観光振興策などの政策効果で、外食やレジャー関連などの個人消費の持ち直しが期待される。また製造業における挽回生産や工場の国内回帰などは設備投資を上向かせるほか、抑制されていた需要の顕在化などもプラス要因となろう。他方、新型コロナウイルスの感染再拡大により経済活動が再び停滞することは、最大の下振れリスクとなる。さらに企業業績の悪化にともなう雇用調整や賃下げ、設備投資計画の下方修正、米中関係を含む海外動向なども懸念される。  今後の景気は、経済活動の再停滞が最大のリスク要因となるなか、低水準での推移
 今後の景気は、経済活動の再停滞が最大のリスク要因となるなか、低水準での推移が続くとみられる。
業界別:9業界でプラスも、依然として低水準が継続
・10業界中9業界でプラスとなった。景況感の悪化に持ち直しの動きがみられたものの、全業界で40を下回るなど低水準での推移が続いた。『金融』は3カ月ぶりに悪化した。
『製造』(24.9)…前月比1.3ポイント増。4月以降、20台での推移が続いているものの、2カ月連続でプラスとなり持ち直しの動きがみられた。「飲食料品・飼料製造」(同2.4ポイント増)は、家庭向け飲食料品の需要が底堅く、乳製品製造や菓子製造が大きくプラスとなった。また、自動車・同部分品など米国・欧州向けの輸出が減少している一方、中国向けの輸出に反動増が表れたことで、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同1.5ポイント増)、「機械製造」(同1.1ポイント増)、「輸送用機械・器具製造」(同3.1ポイント増)の悪化に歯止めがかかった。『製造』の生産・出荷量DIと設備稼働率DIは、ともに2019年10月以来9カ月ぶりに前月からプラスとなり、生産や稼働率の減退に下げ止まりの兆しがみられた。
『建設』(37.5)…同1.2ポイント増。2カ月連続でプラスと、持ち直しの動きとなった。台風の災害復旧など公共工事が堅調に推移し、土木工事などのプラスに寄与した。また、冷暖房設備工事では、換気設備への需要の高まりや家庭用エアコンの出荷台数の増加がプラス要因となった。他方、企業の設備投資意欲が減退するなか、機械器具設置工事や内装工事などは悪化した。企業からは、民間工事の受注が減少したことで公共工事への新規参入が相次ぎ、入札競争が激化しているとの声も聞かれた。
『サービス』(31.2)…同1.8ポイント増。3カ月連続でプラスとなり、4カ月ぶりに30台に復帰した。「情報サービス」(同1.4ポイント増)は、ソフト受託開発や情報処理サービスがプラス。「メンテナンス・警備・検査」(同3.3ポイント増)は、自動車整備や警備などで持ち直しの動きがみられた。他方、「旅館・ホテル」(同0.3ポイント増)は5カ月連続で1桁台、「飲食店」(同0.1ポイント減)、「娯楽サービス」(同6.0ポイント増)、「広告関連」(同4.7ポイント増)も景気DIが10台にとどまり、低水準での推移が長引いている。また、「人材派遣・紹介」(同0.7ポイント減)では、人手不足感が弱まるなか、派遣社員の契約終了や稼働率の低下がマイナス要因となった。
『運輸・倉庫』(24.2)…同2.7ポイント増。2カ月ぶりにプラスとなったが、景況感が「悪い」とした企業は86.7%と、10業界で最も高い割合であった。特に、旅行業やバス・タクシーなどの旅客自動車運送業といった観光に関連する企業の景況感は厳しい状況が続いている。7月からGoToトラベル事業が開始されたものの、東京を発着とする旅行の除外を受けてキャンセルの動きがみられたことは悪材料となった。また、貨物自動車運送業からは、製造業・建設業向けの貨物の荷動きが依然として弱いとの声もあがった。
規模別:全規模が2カ月連続で持ち直すも、厳しい景況感が続く
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」は2カ月連続で持ち直した。全規模で厳しい景況感が継続したものの、新しい生活様式の広がりや働き方の変化に対応する新規需要が表れた。
「大企業」(31.7)…前月比1.6ポイント増。2カ月連続で持ち直し。在宅勤務の拡大で住宅ニーズが高まった『不動産』や、自宅内消費でスーパーストアやがん具・娯楽用品小売などの販売が堅調だった『小売』などが押し上げ要因となった。
「中小企業」(28.5)…同1.5ポイント増。2カ月連続で持ち直し。新しい生活様式の広がりや働き方の変化にともない、IT関連需要が3カ月連続で上向いた。一方、「飲食店」「娯楽サービス」「広告関連」は持ち直したものの、依然として厳しい水準での推移となった。
「小規模企業」(29.4)…同1.6ポイント増。2カ月連続で持ち直し。内食需要の高まりで国産の豚肉・鶏肉価格が高値で推移、養豚業などを含む『農・林・水産』が上向いた。他方、『小売』はネット販売が堅調だったものの、服飾品関連で伸び悩みがみられた。
地域別:全10地域で持ち直す動きがみられたが、一部地域では豪雨の影響も
・2カ月連続で全10地域が持ち直した。地域間で人の移動が増えたほか、自宅内消費の拡大による販売増加や製造業の生産再開などがプラス要因となった。しかし、新型コロナウイルスの感染が再び広がりをみせるなか、一部地域では令和2年7月豪雨の影響も表れた。
『南関東』(29.7)…前月比1.3ポイント増。2カ月連続で持ち直し。域内1都3県ともに2カ月連続で上向いた。「東京」では自治体から移動抑制などが要請されたなか、日用品や食品の販売が伸びたほか、「千葉」「神奈川」は改修工事の増加などがプラス要因となった。
『東海』(27.0)…前月比1.3ポイント増。2カ月連続で持ち直し。域内1都3県ともに2カ月連続で上向いた。「東京」では自治体から移動抑制などが要請されたなか、日用品や食品の販売が伸びたほか、「千葉」「神奈川」は改修工事の増加などがプラス要因となった。
『九州』(32.5)…同2.8ポイント増。2カ月連続で域内8県が持ち直した。テレワークなどで家具製造の需要増がみられたほか、自動車関連の生産増加や各種支援策で観光業もプラスに寄与した。しかし一部地域では令和2年7月豪雨の影響が表れた。
2.調査事項
 ・景況感(現在)および先行きに対する見通し
 ・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年7月16日~7月31日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB 景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI 算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。 ■企業規模区分
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測 DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

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