カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

経営・総務2020年07月07日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年6月調査 ― 出典:帝国データバンク

景気の急落は下げ止まり
~経済活動は徐々に再開するも、依然として厳しい水準で推移~

(調査対象2万3,681社、有効回答1万1,275社、回答率47.6%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年6月の景気DIは9カ月ぶりに前月比プラス(2.4ポイント)の27.6となった。国内景気は、経済活動が再開し徐々に動き始めたことで、急落傾向が下げ止まった。今後は、後退傾向が一時的に下げ止まるものの、力強さに欠ける動きが続くとみられる。
2.全業界で低水準の推移が続いたものの、緊急事態宣言の解除を受け『小売』や『サービス』など9業界で持ち直しの動きとなった。一方、製造業などで荷動きが停滞した『運輸・倉庫』は悪化した。
3.2016年11月以来3年7カ月ぶりに全10地域で下落傾向に歯止めがかかった。特別定額給付金の支給が続いたほか、6月19日に県境を跨ぐ移動制限の全国的な解除などは、地域経済への期待感が高まる要因となった。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の悪化は8カ月でストップした。
<2020年6月の動向:後退局面>
 2020年6月の景気DIは9カ月ぶりに前月比プラス(2.4ポイント)の27.6となった。
 6月の国内景気は、経済活動が再び動き始めたことで、下降に歯止めがかかった。特別 定額給付金の支給が家計支出の押し上げ要因となったほか、飲食店などの営業再開や企業向け資金供給の拡大で資金繰りへの懸念がやや和らいだ。また県境を跨ぐ移動制限が全国的に解除されたこともプラス要因だった。さらにテレワークの拡大など在宅者の増加にともなう新規需要の創出もみられた。他方、海外経済の回復遅れによる輸出の停滞や感染対策への費用負担などもあり、景況感は依然として厳しい水準での推移となった。
 国内景気は、経済活動が再開し徐々に動き始めたことで、急落傾向が下げ止まった。
<今後の見通し:一時的に下げ止まり>
 今後の国内景気は、感染拡大防止にともなう経済活動への制約が徐々に薄らいでいくとみられる。特別定額給付金などが個人消費を下支えするほか、事業継続に対する各種助成・補助金などの政策効果が好材料となる。また生産・出荷量の落ち込みからの挽回生産や工場の国内回帰などは設備投資を上向かせる要因となろう。さらに入国規制の緩和による訪日観光の再開もプラス材料である。他方、新型コロナウイルスの第2波・第3波の到来によって経済活動が再び停滞する可能性は最大の下振れリスクといえる。企業業績の悪化にともなう雇用調整や賃下げ、設備投資計画の下方修正、海外経済の動向なども懸念される。
 今後は、後退傾向が一時的に下げ止まるものの、力強さに欠ける動きが続くとみられる。
業界別:緊急事態宣言の解除を受け、9業界で持ち直しの動きに
・緊急事態宣言の解除を受け『小売』や『サービス』など9業界で持ち直しの動きとなった。一方、製造業などで荷動きの停滞がみられた『運輸・倉庫』は悪化した。
『小売』(29.1)…前月比8.0ポイント増。悪化は4カ月で停止。改善幅は2003年6月(同3.5ポイント増)を上回り過去最大となったが、景気DIは20台の低水準が続いた。緊急 事態宣言の解除で店舗の営業が再開したことに加え、特別定額給付金の支給やキャッシュレスポイント還元事業終了前の駆け込み需要が追い風となり、消費の反動増がみられた。特に「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同14.8ポイント増)や「家電・情報機器小売」(同11.9ポイント増)など、衣服や耐久消費財を販売する業種での反動傾向が顕著となっている。スーパーストアの好調が継続している「各種商品小売」(同4.6ポイント増)など、『小売』は2011年7月以来、8年11カ月ぶりに9業種全てで持ち直す動きとなった。
『サービス』(29.4)…同3.3ポイント増。2カ月連続の持ち直しで悪化に歯止めがかかった。「情報サービス」(同1.8ポイント増)は、オンライン化、自動化需要の拡大が寄与した。一方、1桁台での推移が続いていた「飲食店」(同8.3ポイント増)、「旅館・ホテル」(同1.9ポイント増)、「娯楽サービス」(同2.2ポイント増)は、底入れしたものの依然として20を下回る低水準が続いている。『サービス』は2011年6月以来、9年ぶりに15業種全てで持ち直す動きとなった。
『製造』(23.6)…同0.6ポイント増。悪化は13カ月で停止。「飲食料品・飼料製造」(同2.6ポイント増)は家庭向けの飲食料品を製造する企業で好調が継続。「建材・家具、窯業・土石製品製造」(同1.6ポイント増)では、木製家具や生コンクリートを製造する企業の景況感が上向いた。他方、「パルプ・紙・紙加工品製造」(同2.1ポイント減)は、国内の製造業における荷動きの停滞で段ボール需要が減退。また、新型コロナウイルスの影響による輸出の減少で、自動車・同部品製造を中心とした生産調整の動きがサプライチェーン全体に波及するなか、「輸送用機械・器具製造」(同0.1ポイント減)は8カ月連続での悪化となった。『製造』は12業種中8業種で持ち直しの動きとなった。
『運輸・倉庫』(21.5)…同1.2ポイント減。2カ月ぶりに悪化。10業界で唯一悪化となり、景況感を「悪い」とした企業の割合は90%近くまで上昇した。国内旅行業や旅行代理店業など旅行関連の企業や、バス・タクシーなど旅客自動車運送業の景況感は1桁台と低水準に落ち込んでおり、新型コロナウイルスの影響が継続している。また、自動車・同部品関連を中心に製造業で荷動きが停滞するなか、『運輸・倉庫』の時間外労働時間DIは28.6と時間外労働時間に減少傾向がみられ、調査開始以降で初めて20台まで低下した。
規模別:全規模とも悪化傾向がストップ、緊急経済対策の効果も
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」の悪化は8カ月でストップした。外出自粛などに対応した新規需要が表れたほか、緊急経済対策の効果もみられた。
「大企業」(30.1)…前月比2.0ポイント増。悪化は8カ月で停止。特別定額給付金の支給によりエアコンなど家電需要の高まりはプラス要因となった。また、外出自粛による在宅者の増加で宅配便などは堅調だった。
「中小企業」(27.0)…同2.4ポイント増。悪化は8カ月で停止。ソフトウェア業界では補助金を利用した民間需要が高まるなど、人材難のなか堅調な受注状況となった。また家具インテリアや家庭菜園、衣服などのネット販売やカタログ販売などが上向いた。
「小規模企業」(27.8)…同3.2ポイント増。悪化は8カ月で停止。新型コロナウイルス対策特別資金などもあり融資姿勢DIが過去最高を更新するなど、資金繰りへの懸念がやや和らいだ。また『小売』では、服飾品や街乗り自転車の需要の高まりなどがみられた。
地域別:全10地域で下げ止まり、移動制限の解除に期待感
・2016年11月以来3年7カ月ぶりに全10地域で下落傾向に歯止めがかかった。特別定額給付金の支給が続いたほか、6月19日に県境を跨ぐ移動制限の全国的な解除などは、地域経済への期待感が高まる要因となった。
『東北』(28.5)…前月比3.2ポイント増。悪化は6カ月で停止。特別定額給付金の支給が続いたなか『小売』の改善が顕著だったほか、「中小企業」も目立った。また青森市や仙台市など都市部で上向き傾向がみられた。
『南関東』(28.4)…同2.9ポイント増。悪化は4カ月で停止。引っ越し需要が徐々に表れてきたほか、飲食店の再開や家庭用ミシンを含む機械修理・補修などがプラス要因となった。ただし水準は依然厳しく、域内1都3県はともに20台での推移が続いた。
『近畿』(25.9)…同2.1ポイント増。悪化は8カ月で停止。内食・中食需要が高まるなか、飲食料品関連が堅調だった。また移動制限の解除も娯楽サービスを中心にプラス要因となった。『小売』は10台から脱したものの、依然として厳しい状況が続いた。
2.調査事項
 ・景況感(現在)および先行きに対する見通し
 ・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年6月17日~6月30日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB 景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI 算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測 DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

この記事に関連するキーワード

関連カテゴリから探す

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索