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企業法務2020年05月12日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年4月調査 ― 出典:帝国データバンク

国内景気、急速な悪化が継続
~緊急事態宣言で市場機能の多くが制限、中小企業は過去最大の下落幅~

(調査対象2万3,672社、有効回答1万1,961社、回答率50.5%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年4月の景気DIは前月比6.7ポイント減の25.8となり7カ月連続で悪化、前月に続いて過去最大の下落幅を更新した。国内景気は、経済が収縮するなかで企業活動が制約され、急速な悪化が続いた。今後は、新型コロナウイルスの収束など不確実性が強く、景気後退が続くと見込まれる。
2.全10業界、51業種中48業種が悪化した。『建設』『製造』『卸売』の3業界、「輸送用機械・器具製造」など14業種で前月からの下落幅が過去最大となった。また14業種で景気DIが過去最低となった。
3.新型コロナウイルスの影響が全国におよび、2カ月連続で全10地域47都道府県が悪化、24都府県で過去最低を更新した。外出自粛による地域内外への移動制限や面談抑制に加えて、休業要請への対応など、地域経済の活動が停滞した。「大企業」「中小企業」「小規模企業」が7カ月連続でそろって悪化した。
<2020年4月の動向:収縮>
 2020年4月の景気DIは前月比6.7ポイント減の25.8となり7カ月連続で悪化、前月に続いて過去最大の下落幅を更新した。景気DIは過去3カ月で16.1ポイント減少した。
 4月の国内景気は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて、政府が緊急事態宣言を発出、経済活動が大きく制約された。外出自粛や休業の広がりなどを通じて市場機能の多くが制限されるなか、国内・海外需要が急速に冷え込んだ。消費税率引き上げの影響が継続しているほか、新型コロナウイルスの影響でヒト・モノ・カネの流れが地域・業種・企業規模を問わず停滞し、国内経済を下押しした。他方、宅配事業などで新しいサービスが誕生したほか、スーパーや医薬品小売などは改善した。
 国内景気は、経済が収縮するなかで企業活動が制約され、急速な悪化が続いた。
<今後の見通し:後退続く>
 今後の国内景気は、新型コロナウイルスの収束状況が先行きを左右する。国際経済において世界大恐慌以来の落ち込みが予測されるなか、企業や個人、金融市場などは不確実性の高まりに直面するとみられる。企業の67%で4月の売り上げ減少が見込まれるなど、企業業績の悪化にともなう雇用・所得環境の不安定化などは景気の重しとなろう。また、消費者の行動変化や供給側の対応が注視される。他方、政府の緊急経済対策や日本銀行による金融緩和政策の強化が実施されるほか、生産の国内回帰や新商品・サービスの投入などは好材料になると見込まれる。
 今後は、新型コロナウイルスの収束など不確実性が強く、景気後退が続くと見込まれる。
業界別:全10業界が悪化、14業種で景気DIが過去最低に
・全10業界、51業種中48業種が悪化した。『建設』『製造』『卸売』の3業界と14業種で、前月からの下落幅が過去最大となった。また14業種で景気DIが過去最低となった。
『サービス』(25.8)…前月比9.5ポイント減。3カ月連続で悪化。2月以降、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた「旅館・ホテル」(同5.5ポイント減)や「飲食店」(同9.9ポイント減)、「娯楽サービス」(同11.4ポイント減)は、1桁台となった。イベント自粛や広告出稿の減少が響いた「広告関連」(同10.0ポイント減)、授業開始が延期している大学や学習塾を含む「教育サービス」(同15.8ポイント減)、美容業や結婚式場が悪化した「その他サービス」(同8.0ポイント減)など、6業種が過去最低となった。『サービス』の景気DIは3月に続き大幅に下落、2011年4月(29.9)以来9年ぶりに20台に落ち込んだ。
『製造』(24.7)…同5.6ポイント減。12カ月連続での悪化。『製造』の生産・出荷量DIは31.1となり、2009年10月(29.9)以来10年6カ月ぶりの低水準となった。世界的に新車需要が落ち込むなか、国内の完成車工場での減産や稼働停止の影響を受けた「輸送用機械・器具製造」(同12.0ポイント減)は過去最大の下落幅を記録した。また、酒類などで業務用の需要が減退した「飲食料品・飼料製造」(同3.6ポイント減)、8カ月連続での悪化と厳しい状況が続く「繊維・繊維製品・服飾品製造」(同6.5ポイント減)、印刷業などが悪化した「出版・印刷」(同6.3ポイント減)など、3業種で過去最低を記録した。
『小売』(21.2)…同5.5ポイント減。3カ月連続で悪化し、景気DIは過去最低の2009年2月(20.5)に次ぐ低い水準となった。消費税率引き上げや外出自粛の影響で個人消費が減少するなか、「家具類小売」(同11.8ポイント減)、「家電・情報機器小売」(同9.1ポイント減)などの耐久消費財を扱う業種が大幅に悪化。他方、「各種商品小売」(同3.0ポイント増)や「医薬品・日用雑貨品小売」(同1.2ポイント増)は、スーパーやドラッグストアの景況感が改善した。製造、卸売でも過去最低の水準となった「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同4.8ポイント減)など、『小売』は9業種中3業種で過去最低を記録した。
『建設』(33.9)…同7.6ポイント減。5カ月連続で悪化し、過去最大の下落幅となった。景況感が「悪い」とする企業は64.1%となり、2020年1月(28.4%)から急増している。住宅着工戸数が減少傾向で推移するなか、住宅設備機器などの資材納入の遅れが継続し、施工に影響した。加えて、緊急事態宣言を受け元請けとなる大手建設会社が工事を休止、その影響が下請け企業にも波及した。企業からは、「先行きへの不透明感から施主が設備投資を控えている」との声もあがっている。『建設』は10業界で唯一30を上回ったものの、2012年1月(33.6)以来8年3カ月ぶりの低水準となった。
規模別:全規模が7カ月連続で下落、「中小企業」は過去最大の下落幅
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」が7カ月連続でそろって悪化した。緊急事態宣言による外出自粛や休業要請などが幅広く影響。「中小企業」は過去最大の下落幅となった。
「大企業」(28.2)…前月比6.6ポイント減。7カ月連続で悪化。大規模商業施設や小売店舗の営業活動自粛に加えて、国内・海外需要ともに大きく縮小した。『製造』『卸売』など海外取引の多い業界で落ち込んだほか、『不動産』は2桁減の大幅下落となった。
「中小企業」(25.3)…同6.7ポイント減。7カ月連続で悪化し、過去最大の下落幅となった。緊急事態宣言による外出自粛や休業要請が幅広く影響した。飲食店や人材派遣業を含む『サービス』は全15業種が悪化したほか、『製造』『卸売』など10業界すべて下落した。
「小規模企業」(25.4)…同6.9ポイント減。7カ月連続で悪化し、過去最大の下落幅となった。建設工事の休止が広がり下請け受注の多い小規模企業で『建設』が大きく落ち込んだ。飲食店に納入する養鶏や養殖業を含む『農・林・水産』など、全10業界が悪化した。
地域別:2カ月連続で全10地域47都道府県が悪化、地域経済の活動停滞
・新型コロナウイルスの影響が全国に及び、2カ月連続で全10地域47都道府県が悪化、24都府県で過去最大の下落幅を更新した。外出自粛による地域内外への移動制限や面談抑制に加えて、休業要請への対応など、地域経済の活動が停滞した。
『南関東』(26.3)…前月比7.8ポイント減。3カ月連続で悪化。域内1都3県がすべて過去最大の下落幅となり、特に「東京」「埼玉」の落ち込みが大きかった。緊急事態宣言による影響が顕著に表れ、「飲食店」を含む『サービス』が大幅に下落した。
『近畿』(23.9)…同6.5ポイント減。7カ月連続で悪化。緊急事態宣言にともなう外出自粛や休業要請の実施により人の流れが止まったことで、娯楽関連が大きく悪化した。なかでも『小売』(16.9)は2009年2月(19.9)を下回り、過去最低水準に落ち込んだ。
『九州』(27.5)…同7.8ポイント減。3カ月連続で悪化。個人消費に関連する娯楽サービスを含む『サービス』が大幅に悪化したほか、『小売』も過去最低を記録した。特に観光が主力産業の「沖縄」は前年同月比37.8ポイント減と非常に落ち込み、過去最低となった。
2.調査事項
 ・景況感(現在)および先行きに対する見通し
 ・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年4月16日~4月30日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB 景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI 算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測 DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

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