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金融・証券2020年01月09日 特別企画:国内主要110行の預金・貸出金等実態調査(2019年9月中間期) 出典:帝国データバンク

貸出金539兆6799億円、増加率が鈍化
~地域別では、「東北」「近畿」のみ預金が減少~

はじめに
SBIグループは“第4のメガバンク構想”を掲げるなかで、今年10月以降に島根銀行および福島銀行との間で資本業務提携を行う旨をリリースした。従前の地方銀行同士が経営統合する流れとは違った形での新たな再編が進んでいる。また、これまで金融庁が運用してきた「金融検査マニュアル」の廃止が与える影響が業界内外から注目されるなど、金融界は変革期のなかにある。
帝国データバンクは、国内主要110行(大手銀行7行、地方銀行64行、第二地方銀行39行)の2019年9月末および2018年9月末の預金、貸出金の残高および2019年9月中間期(2019年4月~2019年9月)、2018年9月中間期(2018年4月~2018年9月)の預金利息(支出)、貸出金利息(収入)の推移について調査・分析した。

※前回(2019年6月発表、2019年3月末データ)は111行(大手7行、地銀64行、第二地銀40行)を調査対象としていたが、2019年4月に近畿大阪(地銀)と関西アーバン(第二地銀)が合併して関西みらい(地銀)となっているため、2018年9月中間期は2行合算の数値を1行分として計上している

※大手銀行7行=三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、埼玉りそな、新生、あおぞら

※各数値は各行の決算短信(単体ベース)に記載されている数値(単位:百万円)を採用

調査結果
□2019年9月末の国内主要110行の預金は、771兆8480億5700万円となり、2018年9月末(753兆9763億2600万円)と比べて、17兆8717億3100万円増加(前年比2.4%増)した。大手銀行(同3.3%増)、地方銀行(同1.3%増)、第二地方銀行(同1.0%増)の3業態すべてで増加
□2019年9月末の国内主要110行の貸出金は、539兆6799億2100万円となり、2018年9月末(531兆5768億1200万円)と比べ、8兆1031億900万円増加(前年比1.5%増)。大手銀行(同0.1%増)、地方銀行(同3.3%増)、第二地方銀行(同2.1%増)の3業態すべてで増加
□2019年9月中間期の国内主要110行の収支<貸出金利息(収入)-預金利息(支出)=本業利ざや>は、2兆8421億7100万円となり、2018年9月中間期(2兆9271億8800万円)と比べると、850億1700万円の減少(前年同期比2.9%減)となった。大手銀行(同4.7%減)、地方銀行(同0.7%減)、第二地方銀行(同1.4%減)の3業態すべてで減少した
□地方銀行、第二地方銀行の計103行を対象とした地域別動向では、7地域で預金・貸出金ともに増加した一方、「東北」と「近畿」は預金が減少した
1.預金動向~110行中78行で増加、17兆8717億円増~
2019年9月末の国内主要110行の預金は、771兆8480億5700万円となり、2018年9月末(753兆9763億2600万円)と比べて、17兆8717億3100万円増加(前年比2.4%増)した。大手銀行(同3.3%増)、地方銀行(同1.3%増)、第二地方銀行(同1.0%増)の3業態すべてで増加した(3ページ参照)。
業態別に増減の内訳をみると、大手銀行(増加6行、減少1行)、地方銀行(増加47行、減少17行)、第二地方銀行(増加25行、減少14行)となり、110行中78行(構成比70.9%)で増加した。
また、110行が2019年9月中間期(半年間)に預金者へ支払った預金利息は、7682億8600万円となり、2018年9月中間期(6516億1400万円)と比べ、1166億7200万円増加(前年同期比17.9%増)。大手銀行(同20.4%増)で増加した一方、地方銀行(同4.2%減)、第二地方銀行(同9.4%減)で減少した。
業態別の増減の内訳は、大手銀行(増加5行、減少2行)、地方銀行(増加18行、減少46行)、第二地方銀行(増加4行、減少35行)となり、110行中83行(構成比75.5%)で減少した。
2.貸出金動向~110行中92行で増加、8兆1031億円増~
2019年9月末の国内主要110行の貸出金は、539兆6799億2100万円となり、2018年9月末(531兆5768億1200万円)と比べ、8兆1031億900万円増加(前年比1.5%増)。大手銀行(同0.1%増)、地方銀行(同3.3%増)、第二地方銀行(同2.1%増)の3業態すべてで増加した(3ページ参照)。
業態別の増減の内訳は、大手銀行(増加6行、減少1行)、地方銀行(増加56行、減少8行)、第二地方銀行(増加30行、減少9行)となり、110行中92行(構成比83.6%)で増加した。
また、110行が2019年9月中間期(半年間)に融資先から受け取った貸出金利息は、3兆6104億5700万円となり、2018年9月中間期(3兆5788億200万円)と比べ、316億5500万円増加(前年同期比0.9%増)。大手銀行(同2.2%増)で増加した一方、地方銀行(同0.9%減)、第二地方銀行(同1.8%減)で減少した。
業態別の増減の内訳は、大手銀行(増加3行、減少4行)、地方銀行(増加22行、減少42行)、第二地方銀行(増加11行、減少28行)となり、110行中74行(構成比67.3%)で減少となった。
3.利ざや動向~110行中70行で減少~
2019年9月中間期の国内主要110行の収支<貸出金利息(収入)-預金利息(支出)=本業利ざや>は、2兆8421億7100万円となり、2018年9月中間期(2兆9271億8800万円)と比べると、850億1700万円の減少(前年同期比2.9%減)となった。大手銀行(同4.7%減)、 地方銀行(同0.7%減)、第二地方銀行(同1.4%減)の3業態すべてで減少した。
業態別の増減の内訳は、大手銀行(増加3行、減少4行)、地方銀行(増加23行、減少41行)、第二地方銀行(増加14行、減少25行)となり、110行中70行(構成比63.6%)で減少した。
4.地域別動向~預金・貸出金の増加率トップは「九州」~
地方銀行、第二地方銀行の計103行について、本店所在地(都道府県別)の地域別(9地域)にみると、7地域で預金・貸出金ともに増加した一方、「東北」と「近畿」は預金が落ち込んだ。
預金の増加率上位は「九州」(2.5%増)、「四国」(2.2%増)、「北海道」(2.1%増)。貸出金の増加率上位は「九州」(5.5%増)、「北海道」(4.9%増)、「中国」(3.4%増)。
また、預金利息は、「四国」(20.3%増)など4地域で増加した一方、「東北」(27.2%減)、「中国」(20.3%減)など5地域で減少した。貸出金利息は、「四国」(0.6%増)、「九州」(0.5%増)、「中国」(0.3%増)の3地域で増加したが、6地域で減少した。
5.まとめ
国内主要110行の2019年9月末と2018年9月末の数値を比べると、預金は2.4%増(17兆8717億3100万円増)、貸出金は1.5%増(8兆1031億900万円増)となった。引き続き大手銀行(預金同3.3%増、貸出金同0.1%増)が増加傾向にはあるものの、増加率は鈍化した。2018年9月末は2017年9月末比で預金が3.6%増(26兆4861億8100万円増)、貸出金が4.6%増(23兆1368億1900万円増)だった。
また、本業利ざや<貸出金利息(収入)-預金利息(支出)>においては、減少傾向に転じた。2018年9月中間期は2兆9271億8800万円で前年同期比5.1%増加したが、2019年9月中間期は2兆8421億7100万円で前年同期比2.9%減少した。昨年までは増加していた大手銀行も、731億7000万円(同4.7%減)減少しているほか、利ざや増減内訳をみると、110行中70行(構成比63.6%)が減少となっており、本業の苦戦が業界全体で表面化している。
こうしたなか、銀行の与信能力強化を求める声がある。厳しい営業活動のなかで、粉飾決算企業に対する融資実行および融資先の経営破たんが散見されており、警戒感が高まっている表れであろう。今後も与信管理費の増加が続く可能性があり、銀行の収益性を圧迫する要因となりうる。
また、銀行ごとに将来収益に対する経営方針にも違いが表れている。首都圏への出店で収益性の改善を図る方針や、地元への原点回帰などが掲げられるなか、SBIグループの“第4のメガバンク構想”に参画する銀行も現れており、多様化が進んでいる。旧態依然の経営体制では将来収益を確保できないという危機感を、改めて痛感させられる数値動向となった。
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