労働基準2025年01月23日 外国人や外国企業からの人事労務相談はニッチな分野ではない?! 執筆者:大川恒星

1 前述の本国に滞在したままの越境リモートワークであれば、通則法における最密接関係地法に関する労務提供地を特定することができるのかという複雑な問題も生じる。この場合、労務提供地は日本とも本国とも解釈し得ることから労務提供地を特定することができない場合として、通則法12条2項かっこ書きに基づき当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法を最密接関係地法とする解釈もあり得よう。この点に関連して、国際線の客室乗務員としての業務であるから、労務提供地は、航空機の飛行する複数の法域にまたがっているとして労務提供地を特定することができない場合に当たると判断したケイ・エル・エム・ローヤルダッチエアーラインズ事件・東京地判令和5年3月27日労判1287号17頁がある。
2 外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れや離職の際に、その氏名、在留資格などについて、ハローワークに届け出ることが義務づけられている(28条) 。ただし、外交・公用の在留資格者および特別永住者は除かれる。届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となる(40条1項2号)。
(2025年1月執筆)
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執筆者

大川 恒星おおかわ こうじ
弁護士・ニューヨーク州弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
略歴・経歴
大阪府出身
私立灘高校、京都大学法学部・法科大学院卒業
2014年12月 司法修習修了(第67期)、弁護士登録(大阪弁護士会)
2015年1月 弁護士法人淀屋橋・山上合同にて執務開始
2020年5月 UCLA School of Law LL.M.卒業
2020年11月~ AKHH法律事務所(ジャカルタ)にて研修(~同年7月)
2021年7月 ニューヨーク州弁護士登録
2022年4月 龍谷大学法学部 非常勤講師(裁判と人権)
<主な著作>
「Q&A 感染症リスクと企業労務対応」(共編著)ぎょうせい(2020年)
「インドネシア雇用創出オムニバス法の概要と日本企業への影響」旬刊経理情報(2021年4月)
<主な講演>
・2021年7月 在大阪インドネシア共和国総領事館主催・ジェトロ大阪本部共催 ウェビナー「インドネシアへの関西企業投資誘致フォーラム ―コロナ禍におけるインドネシアの現状と投資の可能性について」
・2019年2月 全国社会保険労務士会連合会近畿地域協議会・2018年度労務管理研修会「働き方改革関連法の実務的対応」
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