労働基準2022年06月22日
今だからこそ、駐在員の労務管理について考えるべき(2)
~駐在員の海外派遣を命じることはできるのか 執筆者:大川恒星
<初稿のおさらい>
今回は、会社が一方的に駐在員の海外派遣を命じることはできるのかについて掘り下げます。海外駐在(海外派遣)にも、「(在籍)出向」、「転籍」、「海外支店への配置転換」といったいくつかのパターンがあり、これらのパターンごとに、また、海外駐在とは異なる「海外出張」と比較をして、分析します。
※1 出向元に在籍したまま、出向先にも所属することになります。
※2 ただし、出向労働者の利益に配慮して、出向先での賃金等の労働条件、出向期間、復帰の仕方等を整備した出向規程等が必要です。
1 出向の場合
2 転籍の場合
3 海外支店への配置転換の場合
4 海外出張の場合
5 まとめ
注1 ただし、個別的同意を必要とする学説上の見解があります。また、あまりに長期間の出向の場合には労働者の生活に与える影響が大きいことから、また、危険地域への出向の場合には労働者への生命・身体への危険を理由に、それぞれ個別的同意が必要であるとの議論はあり得ます。
注2 新日本製鐵〔日鐵運輸第2〕事件(最二小判平成15・4・18労判847号14頁)は、国内企業間での出向命令の有効性が問題となった事案であり、就業規則の出向規定のほか、社外勤務協定(労働協約)に、出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が整備されていることに言及したうえ、出向命令の有効性を肯定しています。
注3 法形式としては、転籍元との労働契約を合意解約して、新たに転籍先との労働契約を締結するほか、労働者の同意のもと、労働契約上の使用者の地位を移転することが考えられます。
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執筆者
大川 恒星おおかわ こうじ
弁護士・ニューヨーク州弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
略歴・経歴
大阪府出身
私立灘高校、京都大学法学部・法科大学院卒業
2014年12月 司法修習修了(第67期)、弁護士登録(大阪弁護士会)
2015年1月 弁護士法人淀屋橋・山上合同にて執務開始
2020年5月 UCLA School of Law LL.M.卒業
2020年11月~ AKHH法律事務所(ジャカルタ)にて研修(~同年7月)
2021年7月 ニューヨーク州弁護士登録
2022年4月 龍谷大学法学部 非常勤講師(裁判と人権)
<主な著作>
「Q&A 感染症リスクと企業労務対応」(共編著)ぎょうせい(2020年)
「インドネシア雇用創出オムニバス法の概要と日本企業への影響」旬刊経理情報(2021年4月)
<主な講演>
・2021年7月 在大阪インドネシア共和国総領事館主催・ジェトロ大阪本部共催 ウェビナー「インドネシアへの関西企業投資誘致フォーラム ―コロナ禍におけるインドネシアの現状と投資の可能性について」
・2019年2月 全国社会保険労務士会連合会近畿地域協議会・2018年度労務管理研修会「働き方改革関連法の実務的対応」
執筆者の記事
執筆者の書籍
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