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経営・総務2021年01月12日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年12月調査 ― 出典:帝国データバンク

国内景気は7カ月ぶりに悪化
~新型コロナウイルスの感染再拡大で個人消費を下押し~

調査対象2万3,688社、有効回答1万1,479社、回答率48.5%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した。国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
2.10業界中、『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した
3.『北海道』『南関東』『中国』など10地域中8地域が悪化、『北陸』『四国』の2地域がプラスとなった。新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した地域で景況感の悪化が表れた。特に地方における観光や消費関連の落ち込みがみられた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも7カ月ぶりに悪化した。
<2020年12月の動向:持ち直し傾向がストップ>
 2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した
 12月の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともない、観光支援の各種施策が全国的に一時停止されたことなどが悪材料となり、持ち直し傾向がストップした。さらに冬季賞与の減額や新型コロナウイルスに関連した失業者の増加など所得環境が悪化したほか、一部地域での休業・営業時間短縮などで、小売や個人向けサービスなど個人消費の落ち込みがみられた。他方、自動車関連の生産が堅調に推移したほか、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置などは上向いた。
 国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。
<今後の見通し:一時的に後退>
 今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともなう社会経済活動の抑制策の実施などにより、一時的に後退すると見込まれる。また、感染状況の違いにより地域間や業種間で景気の動きが二分される可能性もある。さらに、雇用・所得環境の悪化による可処分所得の減少などは、個人消費を下押しする材料である。他方、ワクチン接種の広がりや5Gの本格的普及、東京五輪などはプラス要因となろう。また、自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の取り込みや海外経済の回復なども期待される。
 今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
業界別:『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界でマイナスに
・『サービス』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した。
・『サービス』(35.7)…前月比1.1ポイント減。8カ月ぶりのマイナス。全国的な観光施策の停止を受け、「旅館・ホテル」(同16.9ポイント減)が過去最大の下落幅を記録。「飲食店」(同5.7ポイント減)も一部地域において営業時間の短縮要請があり、大幅に悪化した。また、パッケージソフトなどが悪化した「情報サービス」(同0.4ポイント減)や、レンタカー業が含まれる「リース・賃貸」(同1.3ポイント減)もマイナスとなった。一方、「放送」(同3.6ポイント増)は、3カ月連続のプラスで、「新型コロナウイルスの影響により激減した広告出稿が、少しずつ戻ってきた」という声も聞かれた。『サービス』の景気DIは3業種で40台、2業種で10台となり、業種によって温度差がみられる。
・『運輸・倉庫』(31.5)…同1.0ポイント減。6カ月ぶりのマイナス。『その他』を除く9業界のなかで景気DIは最も低く、景況感を「悪い」とする企業は70.7%と再び7割を超えた。人の移動が再び抑制されるなか、旅行代理店やバス・タクシーといった旅客自動車運送など、観光業に関連した業種の景況感が悪化した。他方、製造業の持ち直しで荷動きが活発になり、一般貨物自動車運送などは持ち直しの動きとなっているものの、アジアにおける輸送用空コンテナの不足や、軽油など燃料費の高騰を懸念する声もみられる。
・『小売』(34.2)…同0.8ポイント減。4カ月ぶりのマイナス。冬季賞与の減額もあり、「家電・情報機器小売」(同3.8ポイント減)や「自動車・同部品小売」(同3.0ポイント減)など、耐久消費財を扱う業種が大幅に悪化。また、感染の拡大にともない外出自粛の影響もみられるなか、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同1.7ポイント減)や「飲食料品小売」(同2.4ポイント減)も、2カ月連続でのマイナスとなった。他方、自宅内消費などを背景にスーパーストアが堅調に推移している「各種商品小売」(同1.9ポイント増)や、がん具・娯楽用品小売が含まれる「専門商品小売」(同1.4ポイント増)はプラスとなった。
・『製造』(33.9)…同0.6ポイント増。7カ月連続でプラス。自動車および同部分品、半導体製造装置の輸出が回復傾向となるなか、『製造』の生産・出荷量DIや設備稼働率DIも上昇傾向が続いた。「輸送用機械・器具製造」(同3.8ポイント増)、「機械製造」(同1.8ポイント増)、「化学品製造」(同1.6ポイント増)などを中心に、サプライチェーン全体で持ち直しの動きが継続している。他方、卸売・小売の業種でも厳しい水準が続く「飲食料品・飼料製造」(同3.5ポイント減)や、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同0.7ポイント減)は、持ち直しの動きが一服しマイナスとなった。
規模別:全規模が7カ月ぶりに悪化
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも7カ月ぶりに悪化した。各種施策の一時停止や店舗への来店客数の減少などが下押し要因となった。
・「大企業」(37.4)…前月比0.2ポイント減。7カ月ぶりに悪化。飲食料品関連の外食・中食向け業務用卸売が落ち込んだほか、来客数の減少が響いた不動産業などが全体を下押しした。他方、『農・林・水産』は12月前半に持ち直したが、後半にかけて勢いが鈍化した。
・「中小企業」(34.5)…前月比0.4ポイント減。7カ月ぶりに悪化。新型コロナウイルスの感染再拡大にともない、忘年会のキャンセルなどで飲食料品小売や飲食店の景況感が大きく悪化した。他方、自動車製造が持ち直すなかで、設備稼働率の上向き傾向は継続した。
・「小規模企業」(34.2)…同1.0ポイント減。7カ月ぶりに悪化。各種施策が全国で一時停止されたことの影響もあり、団体旅行の中止や貸し切りバスのキャンセルなどが表れた。販売単価が伸び悩むなかで仕入単価の上昇が続き、収益環境の厳しさが増してきた。
地域別:10地域中8地域で悪化、特に観光・消費関連の落ち込みが顕著
・『北海道』『南関東』『中国』など10地域中8地域が悪化、『北陸』『四国』の2地域がプラスとなった。新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した地域で景況感の悪化が表れた。特に地方における観光や消費関連の落ち込みがみられた。
・『北海道』(33.0)…前月比1.4ポイント減。2カ月連続で悪化。感染拡大を抑える集中対策期間の外出自粛などの行動制限や、札幌市における一部業種の休業・営業時間短縮などが大きく影響した。札幌市の景気DIは4月以来の下落幅となった。
・『南関東』(35.2)…同0.1ポイント減。7カ月ぶりに悪化。域内1都3県で新型コロナウイルスの感染者数の大幅な増加が悪材料となった。なかでも各種施策の一時停止によるキャンセルなどで、旅行代理店や貸し切りバスなど観光関連が落ち込んだ。
・『中国』(34.8)…同0.7ポイント減。7カ月ぶりに悪化。広島県で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するなか、小売や飲食店など個人消費関連が悪化した。他方で、公共工事の増加傾向を受けて『建設』の景況感は堅調に推移した。
2.調査事項
・景況感(現在)および先行きに対する見通し
・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年12月16日~2021年1月5日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。
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