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経営・総務2020年11月09日 TDB景気動向調査(全国) ― 2020年10月調査 ― 出典:帝国データバンク

国内景気は低水準ながら緩やかに持ち直し
~~今後の感染状況により下振れリスクも依然大きく~

(調査対象2万3,695社、有効回答1万1,448社、回答率48.3%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2020年10月の景気DIは5カ月連続で前月比プラス(2.2ポイント)の33.8となった。国内景気は、生産・出荷や個人消費が上向き、低水準ながらも緩やかに持ち直してきた。今後の景気は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動再開のバランスに慎重に対応しながら、緩やかに上向いていくとみられる。
2.10業界中『その他』を除く9業界、51業種中46業種でプラスとなった。『製造』では自動車関連を中心に持ち直しが継続したほか、『サービス』は「旅館・ホテル」が大幅なプラスとなった。
3.『北関東』『近畿』『九州』など全10地域、42都道府県がプラスとなった。堅調な公共工事が地域経済を下支えしたことに加え、地域間で人の移動が増えてきたことで地方圏を中心に観光関連が上向いた。「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも5カ月連続でプラスとなった
<2020年10月の動向:持ち直し>
 2020年10月の景気DIは5カ月連続で前月比プラス(2.2ポイント)の33.8となった。
 10月の国内景気は、安定した天候が続いたなか、人の移動も徐々に戻ってきたこともプラス要因となり、低水準ながら企業の生産・出荷や個人消費が緩やかに上向いた。また、堅調な公共工事に加え、自宅内消費が引き続き活発だった。観光関連では、各種施策による影響もあり、地方圏を中心に旅館・ホテルの設備稼働率や販売単価に回復傾向がみられた。他方、感染予防対策による売り上げ減少やコスト負担増のほか、民間設備投資に対する慎重姿勢が継続する動きもみられた。
 国内景気は、生産・出荷や個人消費が上向き、低水準ながらも緩やかに持ち直してきた。
<今後の見通し:緩やかな上向き>
 今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスへの対策を進めながら、新しい生活様式に対応した需要の創出が期待される。またレジャー関連や海外からの訪日客の受け入れ再開など、個人消費の持ち直しが見込まれる。さらに挽回生産や自国生産の拡大による設備投資や輸出増加などもプラス要因となろう。他方、今後の感染状況により消費者マインドの後退や雇用・所得環境の悪化、政府による活動自粛の再要請など、下振れリスクも大きい。また米大統領選の行方や海外の感染拡大による回復の遅れなども注視される。
 今後の景気は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動再開のバランスに慎重に対応しながら、緩やかに上向いていくとみられる。
業界別:9業界でプラス、多くの業種で持ち直しの動きが継続
・10業界中9業界、51業種中46業種でプラスとなった。『製造』では自動車関連を中心に持ち直しが継続したほか、『サービス』は「旅館・ホテル」が大幅なプラスとなった。
『製造』(31.0)…前月比3.2ポイント増。調査開始以降、最大の増加幅を記録。5カ月連続のプラスで、3月以来7カ月ぶりに30を超えた。とりわけ、生産・出荷量DI(34.2、同4.7ポイント増)は、4月(31.1)以来6カ月ぶりに30を上回り、設備投資意欲DI(42.4、同2.7ポイント増)も6カ月連続で上昇し、持ち直しの兆しがみられる。自動車関連が上向きつつある「輸送用機械・器具製造」(同7.1ポイント増)、プリント回路や電子部品製造がプラスに寄与した「電気機械製造」(同4.1ポイント増)で景況感が大幅に回復した。他方、川下の卸売、小売も厳しい状況が続く「繊維・繊維製品・服飾品製造」(同1.2ポイント増)や、広告出稿の減少やペーパーレス化がマイナス材料となっている「出版・印刷」(同1.5ポイント増)では、持ち直しの動きに弱さがみられる。
『サービス』(35.1)…同1.2ポイント増。6カ月連続でプラス。「旅館・ホテル」(同14.8ポイント増)は2ケタ増で、過去最大の増加幅を記録。地方の旅館・ホテルを中心として設備稼働率や販売単価に回復傾向がみられた。また、「情報サービス」(同1.2ポイント増)は、3月以来7カ月ぶりに40を上回った。他方、「娯楽サービス」(同1.3ポイント増)では、フィットネスクラブやパチンコホールなどで持ち直しの動きがみられない。「飲食店」(同3.7ポイント増)は2カ月連続でプラスも、設備稼働率DI(31.7、同5.0ポイント増)および売り上げDI(19.1、同3.9ポイント増)の低水準が継続した。
『小売』(34.8)…同2.7ポイント増。2カ月連続でプラス。消費税率10%への引き上げから1年が経過し、新型コロナウイルスの影響もあるなか、多くの業種で前年同月に近い水準まで持ち直しつつある。「家電・情報機器小売」(同3.6ポイント増)は、携帯電話など情報家電機器小売の景況感が大幅にプラス。「飲食料品小売」(同4.8ポイント増)は、中食向けの料理品小売などが上向いている。また、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同7.9ポイント増)では、販売単価DI(50.5、同4.9ポイント増)が8カ月ぶりに50を超えた。
『運輸・倉庫』(30.1)…同2.0ポイント増。4カ月連続でプラス。景気DIは2月以来8カ月ぶりに30を上回ったものの、企業の78.1%で景況感が「悪い」とみている。貨物自動車運送では、前年と比べ軽油価格が低下するなどのプラス要因もあり、6月を境に持ち直しつつあるものの、製造・建設などを中心に荷動きがまだ回復していないとする見方も多い。また、旅行業代理店や一般旅行、バス・タクシーなどの旅客自動車運送といった観光業に関連した業種は持ち直しの動きが弱く、厳しい状況が続いている。
規模別:全規模が5カ月連続でプラス、生産・出荷量の底打ちもプラス要因に
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも5カ月連続でプラスとなった。自宅内消費の拡大継続のほか、生産・出荷量の底打ちも部品生産などへのプラス要因となった。
「大企業」(36.4)…前月比2.5ポイント増。5カ月連続でプラス。「輸送用機械・器具製造」の生産・出荷量DIが持ち直し傾向で推移するなか、関連する部品や鉄鋼生産などもプラス材料となった。また、大企業向けの融資姿勢は引き続き緩和傾向で推移した。
「中小企業」(33.3)…同2.2ポイント増。5カ月連続でプラス。自宅内消費の広がりで食品スーパーなどが上向き傾向で推移したほか、経営コンサルタントなど専門サービスが40台に復帰した。景況感が「悪い」と認識する企業は7カ月ぶりに7割を下回った。
「小規模企業」(33.9)…同1.9ポイント増。5カ月連続でプラス。鶏卵や畜産食肉の販売価格上昇などを受け『農・林・水産』の景況感が上向いた。また、5G関連の環境整備に向けて電気通信工事や電気機械器具卸売などもプラス要因となった。
地域別: 2カ月連続で全10地域がプラス、地方圏で持ち直し傾向
・『北関東』『近畿』『九州』など全10地域、42都道府県がプラスとなった。堅調な公共工事が地域経済を下支えしたことに加え、地域間で人の移動が増えてきたことで地方圏を中心に観光関連が上向いた。
『北関東』(33.2)…前月比2.6ポイント増。5カ月連続でプラス。近距離旅行の需要拡大がプラス要因となったほか、飲食料品関連の製造・卸売・小売・飲食店がいずれも持ち直した。『北関東』の景気DIは8カ月ぶりに域内5県がすべて30台に復帰した。
『近畿』(32.4)…同2.9ポイント増。5カ月連続のプラス。過去最大の改善幅となった「兵庫」など、域内2府4県がそろって持ち直した。公共工事の増加で『建設』が上向き、関連する建材やプラスチック製造、物流などへ波及した。
『九州』(36.9)…同2.7ポイント増。2カ月連続でプラス。「福岡」「大分」「宮崎」が大幅なプラスで推移した。公共工事が堅調だったほか、自動車関連の生産増加が押し上げ要因となった。また、各種施策や好天などで観光関連も上向いた
2.調査事項
・景況感(現在)および先行きに対する見通し
・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2020年10月19日~10月31日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

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