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厚生・労働2019年11月25日 特別企画:人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月) 出典:帝国データバンク

企業の 50.1%が正社員不足~ 製造業の不足感は大幅減少の一方、非製造業は高水準続く ~

はじめに
人手不足による企業への影響は「需要増加への対応が困難」がトップにあげられるなど、企業 の成長を抑える要因の一つとなっている(帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意 識調査」)。また、2019 年 4 月から順次施行されている働き方改革関連法にともない、長時間労働 の是正や年 5 日の年次有給休暇の取得義務化など、労働環境は大きく変化している。そのため、 企業には生産性の向上による業務の効率化などが求められている。
そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、 TDB 景気動向調査 2019 年 10 月調査とともに行った。
※調査期間は 2019 年 10 月 17 日~31 日、調査対象は全国 2 万 3,731 社で、有効回答企業数は 1 万 113 社(回答率 42.6%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は 2006 年 5 月より毎月実施して おり、今回は 2019 年 10 月の結果をもとに取りまとめた。
1. 正社員不足は 50.1%、前年同月からやや減少するも高水準続く
現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不 足」していると回答した企業は 50.1%となった。依然として半数を超える高水準ではあるものの、 1 年前(2018 年 10 月)から 2.4 ポイント減少した。「適正」と回答した企業は 41.1%で同 1.0 ポ イント増加、「過剰」と回答した企業は 8.8%で同 1.4 ポイント増加となった。
「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「情報サービス」(75.3%、1 年前比 0.9 ポ イント増、2 年前比 4.4 ポイント増)がトップとなり、「建設」(70.4%、同 1.8 ポイント増、同 6.9 ポイント増)においても 7 割以上の企業が不足を感じていた。以下、「運輸・倉庫」(66.1%、 同 4.5 ポイント減、同 2.4 ポイント増)、「自動車・同部品小売」(65.7%、同 0.7 ポイント増、同 7.5 ポイント増)、「娯楽サービス」(63.6%、同 7.0 ポイント増、同 28.5 ポイント増)、「医療・福 祉・保健衛生」(61.8%、同 12.3 ポイント増、同 4.7 ポイント増)などの 7 業種が 6 割台となっ た。不足割合が 6 割以上となった業種は、1 年前と比べて 1 業種増加している。
規模別にみると、「大企業」(61.4%)は 6 割以上の企業が「不足」と感じていた。1 年前から 0.6 ポイント増加しており、10 月としては 6 年連続で過去最高を更新。「中小企業」は 47.3%(1 年前 比 3.0 ポイント減)、「小規模企業」は 43.8%(同 1.5 ポイント減)の企業が不足していた。「大企 業」の不足割合は増加している一方で、「中小企業」では減少している。
企業からは、「官庁工事は繁忙期の状況に入り、年末の現場が重なり人手不足の状況」(一般管 工事、北海道)や「12 月までは工事が集中している状態で人員の不足が考えられる」(一般電気工 事、新潟県)といった季節需要が好調であることによる人手不足を感じている様子がみられた。 他方、「従業員の確保が出来ないため運営出来なくなるという心配もある」(情報家電機器小売、 千葉県)といった将来を不安視する声や、「システム開発やソフトウェア案件が多いが人手不足で 受注できない」(ソフト受託開発、東京都)、「人手不足から受注チャンスを逃している」(金属製屋 根工事、青森県)など、案件の受注機会の損失に関する声がさまざまな業界からあげられている。
2. 非正社員の人手不足割合は 29.3%、前年同月比 4.8 ポイント減で、3 規模とも減少傾向
非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は 29.3%となった (1 年前比 4.8 ポイント減)。正社員と同様に不足感は減少しているが、非正社員の方が減少幅は 大きく、10 月としては 3 年ぶりの 2 割台に低下した。一方、「適正」と回答した企業は 62.6%(同 2.9 ポイント増)、「過剰」は 8.1%(同 1.9 ポイント増)だった。
業種別にみると、「飲食店」は 78.3%(1 年前比 6.1 ポイント減、2 年前比 2.2 ポイント減)と なった。1 年前より減少しているものの依然として 8 割近い企業が不足と感じており、高水準での 推移が続いている。また、「娯楽サービス」(64.2%、同 9.3 ポイント増、同 11.5 ポイント増)、 「旅館・ホテル」(61.9%、同 14.1 ポイント増、同 36.9 ポイント増)、「飲食料品小売」(60.7%、 同 4.4 ポイント増、同 0.2 ポイント減)の 3 業種が 6 割台となった。以下、スーパーや百貨店な どを含む「各種商品小売」(58.3%、同 5.8 ポイント増、同 4.0 ポイント増)、「人材派遣・紹介」 (55.8%、同 1.1 ポイント増、同 3.3 ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(54.6%、同 1.1 ポイント減、同 0.6 ポイント減)などが 5 割台で続いた。
規模別では、「大企業」は 33.7%(1 年前比 3.3 ポイント減)、「中小企業」は 28.1%(同 5.2 ポ イント減)、「小規模企業」は 29.4%(同 3.4 ポイント減)となり、すべての規模で 1 年前を 3 ポ イント以上下回る結果となった。
非正社員において人手不足が目立った業界の企業からは、「警備業界については、各社ともに注 文要請が相次ぎ、人手が不足している」(警備、神奈川県)や、「相変わらず人手不足であり、働け るレベルの方は企業から引っ張りだこになっている状態」(労働者派遣、東京都)といった声があ げられた。
3. 製造業の人手不足割合は大きく減少するも、非製造業はほぼ横ばいで高水準続く
今回の調査では全体でみると、人手不足割合は正社員、非正社員ともに減少傾向にある。しか し、不足割合の上位 10 業種をみると、そのうち正社員では 9 業種、非正社員では 8 業種が 1 年前 (2018 年 10 月)より増加しており、全体の傾向とは異なる動きを示している。上位 10 業種の顔 ぶれを具体的に見ると、「建設」「運輸・ 倉庫」や、「旅館・ホテル」「娯楽サー ビス」などの接客業といった労働集約 型の業種が上位となっている。一方 で、製造業に関する業種は上位にはみ られない。そこで、全 51 業種を『製 造』と『非製造』に分類し、人手不足 割合の動向を分析した。
『製造』では、正社員の不足割合は 39.3%となり 1 年前(2018 年 10 月) から 9.1 ポイント減、非正社員では 22.8%で同 11.5 ポイント減となり、 人手不足割合は 1 年間で大きく減少し ている。それに対して『非製造』をみ ると、正社員では 54.3%で同 0.2 ポ イント増、非正社員では 32.2%で同 1.9 ポイント減とほぼ横ばいで高水準 が続いている。『製造』と『非製造』で は異なる動きがみられた。
また、『製造』に含まれる 11 業種を みると、正社員では 10 業種で、非正 社員では 9 業種で 1 年前より人手不足 割合が減少している。なかには 10 ポ イント以上減少している業種もみら れた。10 月の『製造』の景気 DI は前 年同月比 9.2 ポイント減となるなど 景況感の悪化が続いており、人手不足 割合に影響を与えている可能性が示 唆される。
まとめ
「TDB 景気動向調査」(帝国データバンク)によると、10 月の景気 DI は前月比 1.1 ポイント減 の 43.9 となり、3 カ月ぶりに悪化した。国内景気は低調な設備投資や消費税率の引き上げにより 後退局面入りの可能性が続くなか、さらに台風による被害が悪影響を及ぼしていた。
こうしたなか、正社員は 5 割を超える企業で人手不足を感じていることが明らかとなった。業 種別では「情報サービス」「建設」が 7 割を上回り、「運輸・倉庫」「自動車・同部品小売」「娯楽サ ービス」「医療・福祉・保健衛生」などの 7 業種で 6 割台となった。他方、「大企業」は 10 月とし て過去最高を更新した一方で、「中小企業」は減少するなど、企業規模による不足感の違いが拡大 しつつある。
他方、非正社員では約 3 割の企業で人手不足を感じている。「飲食店」は 8 割近い水準で推移し ており、次いで「娯楽サービス」「飲食料品小売」「旅館・ホテル」の 3 業種が 6 割台、さらに「人 材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」なども 5 割台で続いた。また、すべての企業規模で 減少するなど、非正社員の不足割合は全体を通して減少傾向にある。
総じて、正社員、非正社員を問わず、『サービス』『小売』『運輸・倉庫』などが含まれる非製造 業は、製造業と比較して多くの企業が人手不足を感じていることが明らかとなった。こうした産 業に対して、政府は重点的に人手不足の解消に向けた支援を行うことが求められよう。

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