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行政・財政2022年06月16日 国有財産の使用許可制度 4 (許可の終了について) 執筆者:髙松佑維

1.はじめに
使用許可制度の概要から始まり、許可要件や使用料に関する内容をこれまで取り上げました。今回は、使用許可がされた後、その許可が終了する場面を取り上げます。
2.主な終了の事由
(1)期間満了
裁量処分である使用許可は、使用収益ができる期間も含め、使用収益のための諸条件が許可の際に付されます。前回までの記事においても紹介した財務省理財局発出の行政通達「行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について」(昭和33年1月7日蔵管第1号、以下「蔵管1号」といいます。)には、一般的な使用許可書の例(別紙様式13・14)も示されており、そこには許可条件として許可期間の他、許可終了時の原状回復及び返還、指定用途に関する条件等も明示されています。
このように、現在の一般的な使用許可においては、許可の際に使用許可期間が付され、その期間が満了すると許可の効力も消滅し、許可自体終了となることが多いため、終了事由としては期間満了によるものが多いといえるでしょう。
(2)行政上の使用の必要性が生じた場合
使用許可期間の途中であっても、行政上の使用の必要性が生じた場合、使用許可が終了する場合があります。法律上、「国又は公共団体において公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要を生じたとき」には、許可権者は許可を取り消すことができると定められており(国有財産法第19条によって準用される同法第24条第1項)、前述の蔵管1号の使用許可書例においても、使用許可の取消しの一事由として、同内容が明示されています。
また、使用許可期間の定めが無い場合であっても、上記事由による取消しがあり得るだけでなく、期間の定め無く許可された使用権は、行政財産本来の用途または目的上の必要を生じたときはその時点において原則として消滅すべきものと考えられています(地方自治体の使用許可に関する判例(最高裁第三小法廷昭和49年2月5日判決)参照)。
これらの終了事由は、「用途または目的を妨げない限度」(同法第18条第6項)で行うことができる使用許可制度の性質から導かれるものであり、使用許可制度の本質を表しているといえます。使用許可を受ける側は、このような場面が発生しうることも念頭に置く必要があるといえるでしょう。
(3)許可条件違反
使用許可時に付された条件に違反した場合、使用許可権者の判断によって、使用許可が取り消されることがあります。
違反があった場合に直ちに取り消すかどうかは許可権者の判断によりますが、許可権者はもともと国有財産の適正管理を行わなければならないため(同法第9条の5)、このような適正管理という観点も踏まえた上で、違反の程度や違反内容の重大性、是正の有無、その他の諸事情を考慮し、取消しの判断を行う必要があると考えられます。
許可の取消しがなされれば、許可自体終了となります。違反内容としては、使用料の未納、指定された用途以外での使用収益、許可物件の転貸や担保供与などが代表例として挙げられますが、付される許可条件によっては、その他の内容が取消し原因や考慮要素となることがあり得るでしょう。
3.許可の終了に伴って発生する事項
許可が終了した場合、許可を受けていた使用者は対象物件を原状回復した上で返還する必要があります。期間満了による終了に伴い引き続き使用収益を行いたい場合は、新たに使用許可申請を行う必要があります。その場合、許可権者が再び使用許可(更新)をするかどうかは、許可権者の裁量によることになります。
使用許可制度の性質から、使用者は一般的な不動産賃貸借契約等と同様の保護を受けられるわけではなく(例えば借地借家法の適用排除(同法第18条第8項))、当然に更新を求められるような利益等が使用者に発生するわけでもないことに注意が必要です。
許可終了に伴って発生する事項には、他にも補償に関する問題が挙げられます。許可条件違反による終了の場合は、使用者に原因があるため特段問題となりませんが、行政上の使用の必要性が生じた場合による終了では、使用者が自らに原因の無いまま許可を一方的に取り消されるため、使用者に生じた損失をどのようにするかという問題が発生します。
この点、国有財産法上では、前述した同法第19条によって準用される同法第24条第1項に基づいて許可が取り消されたときは、取消しによって生じた損失について補償を求めることができると定められています(同条第2項)。
ただ、判例(前述の最高裁第三小法廷昭和49年2月5日判決)によれば、使用許可の取消しに際して使用権者に損失が生じても、使用権者においてその損失を受忍すべきときは、その損失は国有財産法第24条のいう補償を必要とする損失には当たらないと解すべきとされています。すなわち、使用者が考える損失の全てが、無条件で同条の補償対象になるわけではないことに注意しなければなりません。
(2022年6月執筆)

執筆者

髙松 佑維たかまつ ゆうい

弁護士

略歴・経歴

早稲田大学高等学院 卒業
早稲田大学法学部 卒業
国土交通省 入省
司法試験予備試験 合格
司法試験 合格
弁護士登録(東京弁護士会)
現在、湯川・佐原法律事務所所属

大学卒業後、約7年半、国土交通省の航空局に勤務。
国土交通省本省やパイロット養成機関の航空大学校などに配属され、予算要求・予算執行・国有財産業務などに従事。

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