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企業法務2021年05月14日 振り返ればSDGs、そして、あらためてSDGsで2030年 -創業1968年、弁護士31名・事務職員29名で得意と世代をつなぐ法律事務所- 2030年、人権を実現できるビジネスをめざす ~ビジネスと人権に関する国連指導原則 そしてSDGsを追い風に~ 執筆者:加藤洪太郎

☆ 労働組合に突き上げられて運営機構を確立

 まだ所員弁護士が一桁台の頃、事務職員は盆暮の一時金の保障もなく毎期の様に労働争議を繰り返してきました。忘れもしない、それは1978年の事務所創立10周年の年でした。所内に張り出された労組の壁新聞に「予算・決算制度もないような組織は・・・・失格!」と書かれてしまったのです。一瞬「ムッ」としましたが、「成る程」と気づき、早速に財政部を新設して一時金を含む年間予算を策定すると同時に、事務所経営のための各級の機関を設置致しました。わが法律事務所が人治から法治に脱皮し得た瞬間でした。

 今にして思えば、2015年になって国連で決議されたSDGsの8.8.項〝不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する〟の見地に立てばこその企業変革となり、わが法律事務所を今につなぐ基礎となりました。

☆ 女性弁護士・女性事務職員に恵まれる

 現在、わが事務所の議長と運営委員長は何れも女性で、SDGs5.5.項の〝・・・完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する〟にも適合しています。女性差別がないのは勿論(SDGs5.1.項)、今では産前産後そして保育所のお世話になれるまでの育児休暇後の原職復帰も保障し、SDGs5.6.項の〝・・・性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する〟に叶う体勢としています。この所風は、女性の所員参加を促し、現在、弁護士の8/31、事務局員の21/29が女性となっております。

☆ 活力の源は、独特のパートナーシップ構造〝自立&連帯〟

 こうした変革のエネルギーは、当事務所の結合形態からも発します。事務局員が雇用従属関係にある一方、雇用主である弁護士31名は老・壮・青誰もが独立自営業者として対等平等の1票で事務所の運営権を担い合っています。自立が故の連帯を地でいくパートナーシップ構造を確立し、「もたれあい」ではなく『支え合い』の体制です。〝さまざまなパートナーシップの経験・・・を基にした、効果的な・・・ パートナーシップを奨励・推進する(SDGs17.17.項)〟と目標を掲げた国連総会の決議は、間違いなくわが事務所の結合形態と経営方法の確かな拠りどころとなっています。

☆ 〝船頭多くして、船山に登らず ?!〟は、成文化された事務所理念あればこそ

 多士済々でありながら合力できる道は、大目的や基本的な方法論での一致をめざすところにあります。同友会で学びこれを成文化しました。1988年、事務所創立20年目のことです。第1項の〝強きを挫き弱きを助ける〟に始まるその理念の第4項では〝多士済々而して合同力〟と、そして第5項では〝構成員の人生の繁栄〟と、宣言しました。

 そのまた10年後の30周年を前に1年間に及ぶ全所的討論を重ねて改訂版を策定しました。その前文は〝私たちは、すべての人が個人として尊重される、人にやさしい社会を作ることをめざし、次の目的と理念を掲げて、世代を継いで、人と社会に貢献します〟というものです。〝一人も取り残さない!〟と宣言するSDGsと、大目的が期せずして一致。

 わが法律事務所が困難な中にあってもこれまで50年以上に亘って存立して来られたのは、こうした普遍性と大義あるパートナーシップの故である、と信じてやみません。

☆ 2030年めざし

 そして、めざすは2030年です。〝働きがいのある職場づくりに努め、仕事を通じて自らを成長させ、幸せな人生を築きあげます〟との事務所理念第6項の目的を、各自の所得を増大させる面でも実現をめざします。〝・・・一人当たり経済成長率を持続させる・・・(SDGs8.1.項)〟〝多様化、技術向上およびイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する(SDGs8.2.項)〟を、〝めざす北天の星〟として、新たな道程が今はじまります。

(2021年4月執筆)

執筆者

加藤 洪太郎かとう こうたろう

弁護士(名古屋第一法律事務所)

略歴・経歴

 瀬戸市のセトモノ問屋の長男として生まれる。4~5歳の頃、毎朝、祖父と共に仕事場にでます。朝一番のお客様は陶磁器の行商人で、毎朝仕入れに来て「まけろ、まけない、他の店に行く・・」と値交渉です。それが決着する頃に近くの保育園に通う毎日でした。
 問屋街に同業の店舗が居並ぶことから「おじいさん、みんなで協力すれば・・・」と尋ねた時、「そのとおりだが、みんな俺がオレがで難しい。お前、大きくなったらやるかね」。
 これが生涯のテーマとなりました。
 問屋を継がず弁護士となりましたが、自立自営の魂は受け継ぎました。
 ここから、独立自営の弁護士の合同機構づくりの歴史が始まりました。法学部卒業後2年間の修習を経た24歳の時です。以来、仲間と共に自主・民主・連帯の組織力を発揮する法律事務所づくりで50年を超えて今に至ります。(http://kato-kotaro.blogspot.com/

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