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企業法務2021年08月20日 パートナーシップで、持続可能な世界を実現しよう ~中小企業の活躍による、国民一人ひとりを大切にする豊かな社会の実現を目指して~ 2030年、人権を実現できるビジネスをめざす ~ビジネスと人権に関する国連指導原則 そしてSDGsを追い風に~ 執筆者:浅井勇詞

・材木屋の3代目

 弊社の歴史は、1920年に私の祖父が名古屋市で材木屋を創業したことに始まり、その後は、事業を合板製造業に発展させながら約1世紀にわたり運営をしてきました。途中、第二次世界大戦中の名古屋大空襲や、伊勢湾台風などで工場の消失・被災を幾度も経験したものの、それらを乗り越えて今日まで事業を継続してこられたのは、なによりも、地域住民の皆様が私たちの製品をご使用いただき支持していただいたからと、心から感謝しています。

・リーマンショックでの行き詰まり

 しかしながら、2008年にアメリカに端を発したリーマンショックは、弊社の経営へも深刻なダメージを与え、主業である合板製造業からの撤退という苦渋の決断を迫られる事態となりました。サブプライムローンというハイリスク金融商品への投資が引き起こした経済危機、いわばマネーゲームのつけを、まったく関係ない私たちが支払わされたようなものです。グローバル化による外部環境の変化に対して、抗うこともできずに翻弄される自社と社員の状況を見るにつけ、当時は大変な不条理を感じておりました。

・中小企業憲章草案との出会い

 そんな苦しい経営状況の中で出会ったのが、中小企業家同友会全国協議会(中同協)により起草された、中小企業憲章草案(以下、草案)でした。2000年にEUで採択された小企業憲章を手本として、日本においても同様の中小企業憲章を制定すべく全国同友会会員を巻き込んでの運動が進められる中で、議論に議論を重ねた末に中小企業経営者の知恵の結晶としてまとめられたものです。
 草案の前文には、「私たち日本国民は、国民一人ひとりを大切にする豊かな国づくりのために、日本の経済・社会・文化及び国民生活における中小企業の役割を高く評価し、ここに中小企業憲章を制定する。」とあります。地域経済の活性化や雇用を支える主要な担い手としての中小企業の存在意義を国民全体のコンセンサスとした一方で、私たち中小企業の役割は、国民一人ひとりを幸せにする事だとも併せて書かれています。
 急速に少子高齢化が進む日本がこれから迎える難局の打開についても、自助努力と創意工夫を重ねる中小企業への期待が書かれています。私はこの草案に接し、こうした社会からの期待に高いレベルで応えられる自社にしなければならないと自省し、心機一転、その後は経営再建に邁進してきました。

・SDGsへの取り組み

 草案では、持続可能な社会を目指す上で、世界との協業・共生の必要性についても触れられています。SDGsの「17.パートナーシップで目標を達成しよう」に通じる項目ですが、この概念が、すでに憲章草案においても取り入れられています。これは、中小企業家同友会の理念である「自主・民主・連帯」にその根源を見出すことができます。
 グローバル金融危機、コロナウイルス、気候変動など、一国だけでは解決できない課題が山積している中で、その解決のために世界中の政府、市民、企業家が協力して取り組まなければならない時代が到来しました。そんな社会の一員として、国民からの期待に応えられる企業であり続けられるように、これからも経営努力を続けてまいります。

(2021年7月執筆)

執筆者

浅井 勇詞あさい ゆうじ

アサイウッドマテリア(株) 代表取締役

略歴・経歴

1995年3月 立教大学経済学部卒業
1995年4月 ㈱浅井合板工場(現アサイウッドマテリア(株))入社
1998年6月 ㈱アーテック設立 代表取締役
2008年8月 ㈱浅井合板工場 代表取締役
2018年11月 中小企業診断士登録

愛知県中小企業家同友会 理事 政策提言担当
名古屋木材組合、名古屋港木材産業協同組合、中日本合板工業組合 理事

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