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企業法務2021年03月30日 連載開始にあたり(1) 2030年、人権を実現できるビジネスをめざす ~ビジネスと人権に関する国連指導原則 そしてSDGsを追い風に~ 執筆者:和田勝

 私は愛知県において、保険代理業を営んでおります。
 中小企業家同友会に入会し、金融自由化以降変化する業界の中で、会社経営の方向性を探る一方、中小企業の置かれている経営環境の改善運動を進めてきました。
 今回の連続寄稿の口火を切るにあたり、2回にわたり中小企業家同友会を紹介し、これからの連載につなげたいと思います。
 1.中小企業家同友会(以下「同友会」)とはどういう団体か。
 2.同友会の会活動から生まれた二つの到達点。
 3.なぜ、同友会はビジネスと人権やSDGsに関わったのか。
 4.その関わりを踏まえこれから何を目指していくのか。

1.同友会とはどういう団体か。

 同友会は「中小企業の自主的な努力と団結の力により、中小企業の自覚を高め、中小企業を守り、経済の自主的で平和的な発展を目指そう」という考えのもと、1957年に自発的に設立した団体です。
 同友会の”学び方”は外部講師を招聘して話を聞くのではなく、会員である中小企業家自身が相互に学びあう事が基本です。
 異業種の経営者が集まり、経営の現場で起きている課題や対応の報告を基に議論を通じて学びあう手法を取ります。
 かくあるべき、という視点からの発想ではなく、互いの知恵を出し合い、時代変化を踏まえ、会員それぞれが、企業現場でのたゆまぬ試行錯誤と実践の中から新たな展望を見出してきました。

2.同友会の会活動から生まれた二つの到達点。

 今連載にあたり、関係すると思われる同友会活動の二つの到達点を紹介します。
 一つ目は「人を生かす経営」です。
 多くの会員が自社の労使の対立や相互不信を乗り越える為に悩み続けていました。
 そんな悩みと体験から、どうすれば労使の信頼関係を築けるかを追求しました。
 会内議論の積み重ねは1975年に発表された「人を生かす経営」(中小企業における労使関係の見解)に結実します。
 「人を生かす経営」では、まず経営者自身の姿勢を問い、次に明確な指針を作る事の大切さを指摘しています。そして社員をもっとも信頼できるパートナーと考え、共育(共に育ちあう)というに考えに到達します。さらに経営を安定的に発展させる為に外部環境の改善にも労使が力を合わせよう、としています。
 社員は他の経営資源と異なり、主体的な意思を持った人間であり、労使は相互に独立した人格と権利を持った対等な関係だと考えます。
 だからこそ、経営者は働きがいと働きやすさに注目し、力を大いに発揮してもらえる環境を作る責務があり、将来への目標を共有する事で、それに向けて能力を向上させていく意欲を持ってもらう事ができる。会社の発展は社員の力なしには出来ない。
 という事を確認し合ったものです。
 「人を生かす経営」とは言い換えると「人間尊重の経営」です。

(2021年2月執筆)

執筆者

和田 勝わだ まさる

(株)トータル・サポート取締役相談役

略歴・経歴

1977年 3月  明治大学政経学部卒業
1977年 4月~ 金融業・流通業に勤務
1997年 6月  保険代理店として独立
2000年10月  愛知中小企業家同友会入会
現在 (株)トータル・サポート取締役相談役
愛知中小企業家同友会 理事 政策委員長
中小企業家同友会全国協議会 政策副委員長

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