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倒産2019年12月12日 特別企画:理美容業者の倒産動向調査(2019 年) 出典:帝国データバンク

4 年連続の倒産増加、過去最多の勢い
~ 人手不足がトリガーとなった中小倒産目立つ ~

はじめに
『衛生行政報告例(2018 年度)』(厚生労働省)によると、美容所は約25 万 1140 施設(前年度 比 1.4%増)で過去最多となったうえ、美容師数も増加した。一方で理容所は、約11 万 9053 施設 (同 1.6%減)で理容師数ともに減少しており明暗を分けた。
店舗過剰となっている理美容業界では「人手の確保」が重要課題となる中、ネクシィーズグル ープは 2018 年 11 月に定額制セルフエステ店を開店したほか、ヘアカット専門店「QB ハウス」で は今年 2 月に国内価格の値上げ(通常価格税込 1080 円→1200 円)に踏み切り、人材採用や育成、 待遇改善に生かす動きも見られる。
他方、理美容業において消費マインドの冷え込みも見逃せない要素だ。低調な消費動向に加え、 今秋の消費税率引き上げによって更なる顧客数・客単価の減少、来店頻度の低下も見込まれ、懸 念材料となりうる。
帝国データバンクは、「理容業」と「美容業」における、2009 年~2019 年の倒産(負債 1000 万 円以上の法的整理)について分析した。なお、本調査は 2018 年 2 月に続き 2 回目。

※「理容業」とは理髪店、床屋、理容院、理容所、バーバー、「美容業」は美容院、髪結業、美顔術業、マニキュア業、ペデ
ィキュア業、ビューティサロン、ビューティドック、エステティックサロンをそれぞれ主業として手がけるもの

1.件数・負債総額
4 年連続の前年比増加、過去最多の勢い
2019 年(1-11 月累計)の理美容業の倒産件数は 167 件(前年同期比 12.8%増)となり、2000 年以降で最多 となっている 2018 年(165 件)を上回る勢いを見せて いる。2008 年以降は 100 件超で推移しているうえ、2016 年からは 4 年連続で前年を上回っている。このうち「美 容業」(150 件)が全体の約89.8%を占め、4 年連続し て前年から増加した。「理容業」(17 件)は 3 年連続し て前年比増加となる見込み。167 件の内訳は、「美容室」 が 86 件で最多となり、「エステサロン」が 40 件、「理 容室」が 17 件と続く。
負債総額は 56 億円(前年同期比 40.8%増)となり、負債 10 億円以上の倒産は発生しなかったが、 2 年ぶりに前年比増加となった。このうち「美容業」(約52 億 6900 万円)が約94.1%を占めた。
2.負債規模別
負債「5000 万円未満」の小規模倒産が 9 割を占める
負債規模別に見ると、2019 年(1-11 月累計)は「1000 万円-5000 万円未満」が 147 件で最多と なり、約9 割(構成比 88.0%)を占めた。次いで、「1 億円-5 億円未満」が 11 件(同 6.6%)、 「5000 万円-1 億円未満」が 8 件(同 4.8%)となった。一方、負債「50 億円以上」の大型倒産は 2017 年<(株)グロワール・ブリエ東京、負債約97 億 7200 万円>以来発生していない。
3. 主な倒産企業
(株)ディアコーポレーション(大阪市中央区)は、ヘアサロンやネイルサロンなどの美容関連 事業を手掛け、一部頭髪用化粧品などの企画販売も行っていた。ヘアサロンをはじめメイクアッ プ、ネイルケアなど複数の美容サービスを同一店舗で受けられることを強みに、2014 年には近畿 圏を中心に 20 店舗以上を展開。また、同年に関係会社にてネイルアート専門誌の事業を他社から 譲り受けていたほか、美容スクールを運営するなど事業領域を拡大し、2014 年 7 月期には年収入 高約9 億 7100 万円を計上していた。しかし、その後は顧客の来店周期の長期化単価低下から収 入高は漸減し、さらに急激な拡大路線によって技術者不足が露呈したことで閉店が相次いでいた。 収入減に加え、閉店費用が嵩んだことで 2015 年 7 月期以降は 4 期連続で欠損を計上。リストラ策 等を進めていたものの、収益悪化に歯止めがかからず、再建計画の策定も思うように進まないこ とから事業継続を断念した。負債は約3 億 8800 万円。
(株)アキュートリリー(東京都渋谷区)は、エステサロン経営業者として、「HSbodydesign」 の屋号で一時は東京のほか名古屋や大阪にも店舗を構え、低価格だが質の高い技術に基づく施 術を提供できるとして、通称「白鳥エステ」として好評を得ていた。昨今の人手不足にある経営 環境を補うべく業界平均より高賃金を謳い、従業員の福利厚生面の充実を図っていたものの、 今年夏ごろから従業員に対する給与遅配が表面化、SNS 上でも同様の事態を告発する声が散見 され話題となっていた。その後も事業運営の見直しとして店舗の統廃合を行い、今年中の遅配 解消を目指していたが奏功せず、今後の見通しが立たないことから 9 月 30 日に東京地裁へ自己 破産を申請し、10 月1日に破産手続き開始決定を受けた。負債は債権者約250 名に対し約2 億 円。
まとめ
2019 年(1-11 月累計)の理美容業の倒産件数は 167 件と、4 年連続の前年比増加となり、既に 2018 年(165 件)を上回って過去最多を更新する勢いを見せている。一方、負債総額は負債 10 億 円以上の倒産は発生しなかったが、56 億円(前年同期比 40.8%増)となった。理美容業ともに地 域に根付き小規模運営を行う業者が多いことから、負債規模別では「5000 万円未満」が全体の約 9 割と小規模倒産が大半を占め、1 件あたりの負債額の平均は約3300 万円にとどまった。
総じて労働集約型にある理美容業界にとって、「人手不足への対応」が急務だ。今年 9 月には、 フィットネスクラブ併設型のエステサロンを全国 30 店舗経営していた(株)ビーゲイト(川崎市 麻生区)が事業を停止した。同社は多店舗化に見合う集客を得られず、エステティシャンの確保 も進まなかったことが主な破綻要因となった。主な倒産企業の事例で挙げた(株)アキュートリ リー(東京都渋谷区)においても、人手を確保するための賃金引き上げが資金繰り悪化を招いた 格好となり、人手不足がトリガーとなった中小規模事業者の破綻が目立った。
こうした業界環境の中、エステ大手各社は人材確保や育成等サービス面を拡充して業務効率化 を図る向きがある。これまでの出店拡大の見直しや脱毛エステを中心とした低価格戦略の見直し を進め、この施術単価引き上げ分を、予約・施術面の性能向上のための投資に充当する動きが見 られる。
他方、個人経営の理容業者や美容室では、店舗開設に伴う借入金の返済負担が重荷となる中、同業他 店との競争激化や代表者の病気・体調不良が重なり営業体制を維持できなくなるケースが散見され た。さらに、美容師の独立やフリーランスへの転身で人材確保が困難となる状況が続いているう え、参入障壁が比較的低いため、店舗過剰化を背景に顧客獲得は厳しさを増し、体力に乏しい中 小規模事業者の淘汰は今後更に進んでいくと見られる。

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