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一般2026年07月13日 サッカー代表選手選考 ~FIFAワールドカップ2026北中米大会 執筆者:松本泰介

 2026年6月にサッカーW杯が開催されました。W杯は、オリンピック・パラリンピックとならぶ世界のメガスポーツイベントで、4年に1回開催されるたびに大きな盛り上がりがあるイベントになっています。
 このイベントにおいて4年に1度行われるのが、当たり前ですが、日本代表選手選考です。W杯に向けた日本代表メンバー発表は、以前から大物選手が外れたり、一方で意外な選手の発表に驚きが生まれたり、大きな話題になってきましたので、いろいろ思い出がある読者の方も多いのではないでしょうか。
 そこで、今回は、サッカー代表選手選考をテーマにしたいと思います。筆者は代表選手選考に関する研究を主たる研究テーマとしていることもあり、いろいろな競技の代表選手選考を見てきましたが、実は現代のサッカー代表選手選考はなかなか興味深い事象です。特に、実力のある選手の不選考が話題になっていましたので、その点について解説したいと思います。

 近年、日本人サッカー選手の海外での活躍は目覚ましく、イングランドプレミアリーグ優勝に貢献したリバプールFCの遠藤航選手や、オランダ・エールディヴィジ得点王になったフェイエノールトの上田綺世選手、ヨーロッパチャンピオンズリーグベスト8に進出したポルトガル・スポルティングの守田英正選手など、数多くの選手が世界最高峰のプロリーグで活躍しています。
 このような実力のある選手が増加している中での代表選手選考は、選考者として非常に悩ましい問題になります。現代の代表選手選考では、選考者の主観のみで選考することはもはや法的合理性が認められる時代ではありません。客観的な代表選手選考が求められるものの、様々なデータで個人の能力を計ることはできますが、そもそもサッカーは1人1人が個性のあるプレーをするので、そのプレーをどのように客観的に評価するのかも難しかったりします。またサッカーはチームスポーツで、単純に個人の実力で判断することはできません。しかもポジションが決まっているようで、特にフィールドは区切られておらず、チームプレーの流動性が非常に高い競技ですので、個人の実力を引き出すも殺すも周りの選手の影響が特に強いスポーツになります。このような競技特性を踏まえながら、代表選手選考を行わなければならないところに、サッカーの代表選手選考の難しさがあります。
 実際の代表選手選考においては、様々なデータをベースにして大枠のリスト作成は行えたとしても、そこから限られた枠のメンバーを選考しなければなりません。個々の選手の実力の評価や、チームプレーとしての実力の評価は、やはり試合や練習で様々な組み合わせをしながら、最もチームとして機能する組み合わせを探すことになります。サッカーW杯は4年に1回行われるため、それに向け選ばれた監督や強化スタッフ陣は、4年後のW杯に向けて様々な選手を選考し、強化試合においてその組み合わせを試し続けます。このチームとして機能しているか否かは、試合だけでなく、代表招集合宿中の行動なども踏まえて判断されるので、一般ファンにはなかなかわかりにくいところもあります。
 ですので、個々の選手に実力があることや所属しているクラブで結果を出していることはもちろん素晴らしいことなのですが、W杯の日本代表のメンバー選考においては、個々の選手の実力よりも、周りの選手のプレーを引き出せるのか、チームプレーとしての実力の評価が極めて重要になります。今回の選考でも守田選手など大きな結果を出している選手が選考されないことが議論になっていますが、これまでもそのような選考はありましたし、あくまで現在のチームとしての機能を考えた中で当てはまらなかったという結果だけだったりします。チームスポーツの代表選手選考において、このような観点から代表選手選考を行うこと自体は合理的な方法ですので、実力のある選手が選ばれないことだけをもって、スポーツ仲裁で取り消されるような不合理ということにはならないのです。

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

(2026年6月執筆)

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執筆者

松本 泰介まつもと たいすけ

早稲田大学スポーツ科学学術院教授・博士、弁護士

略歴・経歴

専門分野はスポーツ法、スポーツガバナンスなど。

主な経歴は、日本プロ野球選手会監事、日本プロサッカー選手会執行理事、日本スポーツ仲裁機構理事、早稲田大学スポーツビジネス研究所(RISB)所長など。

主な著作に、「スポーツビジネスロー」(大修館書店)、「代表選手選考とスポーツ仲裁」(大修館書店)、「標準テキスト・スポーツ法学」(エイデル研究所刊。編集委員)、「理事その他役職員のためのガバナンスガイドブック」(日本スポーツ仲裁機構刊。共著)、「トラブルのないスポーツ団体運営のために ガバナンスガイドブック」(日本スポーツ仲裁機構刊。共著)など。

その他経歴、肩書などは、https://wasedasportslaw.amebaownd.com/参照。

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