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一般2020年09月02日 コロナ禍におけるeスポーツの可能性 執筆者:堀田裕二

 コロナ禍において、プロ野球やJリーグといったプロスポーツは開幕の延期を余儀なくされ、その後も観客数を絞って開催するなどさまざまな制限を受けている。
 このような中、野球やサッカーといった従来からあるトラディショナルスポーツに代替するものとして、またはトラディショナルスポーツを補完するものとして、ゲームを競技として扱うeスポーツの可能性に注目が集まっている。
 日本では、日本プロ野球機構(NPB)がコナミデジタルエンタテインメントとの共催で「eBASEBALLプロリーグ」を開催しており、本年度も3回目の開催が発表されているし、Jリーグにおいても、「ej.LEAGUEグローバルシリーズ」「ej.LEAGUEウイニングイレブン」という2つの大会を開催している 1
 アメリカでも、プロバスケットボールのNBAが「NBA2Kリーグ」というリーグを開催しているほか、コロナ禍での中断期間中には八村累選手らがNBA2Kを使ってイベントなどを開催した。また、NFLのダラスカウボーイズは多くのeスポーツチームを有する企業を買収し、大規模なeスポーツイベントを開催するなどeスポーツに積極的な投資を行っているほか、ヨーロッパにおいては、スペインのサッカーリーグ、ラ・リーガがeスポーツのFIFAリーグを開催しているほか、多くの有名サッカーチームが傘下にeスポーツチームを保有している。
 モータースポーツにおいても、本年度はリアルでの開催が遅れているが、その間に多数のバーチャルでの大会が開催された。大きなものとしては、ル・マン24時間耐久レースという伝統的なレースについて、本来の大会の開催予定日にシミュレーターを使った「バーチャル・ル・マン24時間耐久レース」が行われ、本当のレーサーと、ゲームを中心に活躍するレーサーが一緒になって24時間バーチャルでのレースを行った。この分野は、バーチャルの大会で活躍した選手がリアルの選手に転向するなどリアルとバーチャルの垣根が最も低い分野であると言える。
 その他、トラディショナルスポーツに代替するものでなくても、独自のeスポーツ大会が多数開催され、トラディショナルスポーツのファンを含む多くのファンを獲得し、大会は年を追う毎に大規模化し、賞金も高額化する傾向にある。
 eスポーツ大会は、これまでは予選大会がオンラインで開催され、決勝大会は実際に会場に選手が来て行うオフラインでの開催が一般的であった。実際に会場で大会を行うことにより、来場者を招いてイベントとして開催し、チケット収入やグッズ収入などを得ることを目的とするほか、eスポーツ大会ではオンラインで行われる場合にチート行為などの不正行為がなされる可能性があることから、それを防ぐ目的、また、インターネット回線の遅延や切断による不具合を防ぎ、回線速度の差による不公平性の回避というeスポーツ特有の問題から決勝はオフラインとされることが多かった。しかし、上記の不正防止や回線の問題があるとはいえ、トラディショナルスポーツと異なりeスポーツ大会は全面的にオンラインで開催することも可能である。そこで、コロナ禍においては、トラディショナルスポーツの代替として行われる大会を含め、ほとんどの大会が決勝大会も含めて全てオンラインで行うという方法で行われている。
 このように、eスポーツは、トラディショナルスポーツと異なり、全面的にオンラインで行うことも可能であるということから、今回のコロナ禍のような状況においても大会開催が可能であるという点で、大きなメリットが存する。
 また、eスポーツは独自の特色として、トラディショナルスポーツのように身体的な能力による違いがなくてもプレーしやすいというものがあり、タイトルによっては障がい者や高齢者も健常者と同様にプレーができる。また、オンラインの開催など大会開催も柔軟に行えるし、オフラインの場合でも独自のスタジアムなどがなくても開催が可能であるという点で、地方創生の観点から地方自治体などが積極的にeスポーツに取り組むという特色もある。
 ゲームというと、特に我が国ではネガティブな側面が捉えられることが多かったが、コロナ後のニューノーマルにおいて、スポーツの魅力を伝えるために、従前のトラディショナルスポーツに代替し、または補完するものとして、またeスポーツ独自の新たな魅力や有用性を持つ手段として、これからeスポーツの役割はますます増していくものと思われる。

1 ej.LEAGUEグローバルシリーズは、国際サッカー連盟(FIFA)が行う国際大会の前哨戦としての役割も果たしており、優勝者はFIFAのバロンドール(最優秀選手賞)と同じ場所で表彰がなされる。
(2020年8月執筆)

執筆者

堀田 裕二ほった ゆうじ

弁護士/アスカ法律事務所パートナー

略歴・経歴

【経歴】
平成17年10月 大阪弁護士会登録 アスカ法律事務所入所
平成23年 1月 アスカ法律事務所 パートナー

公益財団法人日本スポーツ仲裁機構 スポーツ仲裁人・調停人候補者
一般社団法人奈良県サッカー協会 常務理事
OCA大阪デザイン&IT専門学校eスポーツ学科 講師
日本スポーツ法学会理事・事務局長
大阪弁護士会スポーツ・エンターテインメント法実務研究会世話役
日本スポーツ協会スポーツ少年団協力弁護士等

【主な取扱い分野】
インターネット、コンピュータに関連する法律問題
スポーツ(eスポーツ含む)・ファッションビジネスに関連する法律問題

【書籍】
「eスポーツの法律問題Q&A」 (共著・eスポーツ問題研究会編)民事法研究会
「スポーツの法律相談」 (共著・菅原哲朗・森川貞夫・浦川道太郎・望月浩一郎 監修)青林書院
「発信者情報開示請求の手引」 (共著・電子商取引問題研究会編)民事法研究会
「スポーツガバナンス実践ガイドブック」 (共著・スポーツにおけるグッドガバナンス研究会編)民事法研究会
「スポーツ界の不思議 20問20問」 (共著・桂充弘編)かもがわ出版
「Q&A スポーツの法律問題(第4版)」 (共著・スポーツ問題研究会編)民事法研究会

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