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企業法務2021年01月06日 eスポーツと風俗営業法 執筆者:堀田裕二

 eスポーツは、従来型のスポーツ(トラディショナルスポーツ)と異なり、さまざまな法律上の規制を受ける。
 代表的なものとしては、eスポーツを行うためには、原則的にゲームタイトルのIPホルダー(著作権権利者)の許可がなければならないという点であり、サッカーをするのに誰かの許可を得なくてもいいという点でのトラディショナルスポーツとの大きな違いである。それゆえ、eスポーツにおいて著作権の問題を避けることはできない。
 それ以外にも、日本では、eスポーツ大会で賞金を出す場合に、ゲームパブリッシャーが主催をすると景品表示法の規制を受けるという問題が大きな問題として存在した。景品表示法の問題については、eスポーツが広がりを見せた2016年に消費者庁の法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)に基づく照会の回答がなされたことをきっかけに議論が活発となり1、2019年に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が新たなノーアクションレターの回答に基づく見解を提示して一定の結論をみた2。そこでは、参加料から賞金を出すことが賭博罪の適用を受けるかという問題に関しても見解が示されている。

 そこで、eスポーツについての法的な議論のうち、残った議論としては、どのような場合にeスポーツないしeスポーツ大会が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の規制を受けるのかという点があり、これについてはeスポーツ関係者の関心も大きい。すなわち、eスポーツを行う場所やeスポーツ大会が風営法の規制を受けると、都道府県公安委員会の許可(同法第3条第1項)を必要とし、また深夜営業の禁止(同法第13条第1項)などさまざまな規制を受けるほか、賞品の提供も原則禁止される(同法第23条第2項)ため、影響が大きいからである。

 風営法第2条では、風俗営業にあたる定義を定め、その5号において「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(中略)を備える店舗(中略)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」がこれにあたるとされている。これは、いわゆるゲームセンター条項と呼ばれているものであり、ゲームセンターが非行少年のたまり場となって問題とされた昭和59年改正によって設けられたものである。
 この点、パソコンやタブレット、スマートフォンなど汎用的な機器を用いたゲームについては、この「テレビゲーム機」にはあたらないと考えられていることから、主にゲーム専用機を使用する場合に風営法の適用が問題となる。
 これについても、2020年9月24日、JeSUが風営法上の「ゲームセンター等営業」に該当しない参加料徴収型大会の範囲を明確化するため「参加料徴収型大会ガイドライン」を作成した3
 このガイドラインによれば、参加料を徴収するゲーム大会においては、大会主催者は、参加料が大会設営費用にのみ充当されるようにするため、最大参加者数を予め設定して実際の参加者がこれを上回らないようにすると共に、参加料の合計額が大会設営費用見込額の合計を上回らないようにする必要があるとされている。
 これは、参加料が大会設営費用を超えるような場合には、ゲームをすることで利益を生むと解されることになり、ゲームを業として行っていると解釈されることによって、ゲームセンター規制を受ける可能性があるということによるものと考えられる。
 JeSUはさらに、このガイドラインの適合性審査やその他の法令に適合しているかも審査する認定(適合認証)制度も設けて、法令に適合した大会運営をサポートしている。
 しかし、風営法の業としての適用を受けるのは、1回限りの大会だけではなく、リーグ戦など継続してeスポーツを行う場合や、eスポーツの練習場やeスポーツバーなどを設ける場合にもあたりうることになるが、この点についての解釈は示されていない。
 今後は、風営法の適用を受けうる他の規制についても解釈が示されることによって、より安全・安心なeスポーツ環境が確保できることになるものと思われる。

【参考文献】
「eスポーツの法律問題Q&A─プレイヤー契約から大会運営・ビジネスまで─」eスポーツ問題研究会編 民事法研究会
「eスポーツ大会開催と法的課題」大橋卓生 日弁連「自由と正義」2020年8月号16頁

1 消費者庁ホームページ「法令適用事前確認手続回答通知書」
 https://www.caa.go.jp/law/nal/pdf/info_nal_160909_0005.pdf
2 日本eスポーツ連合ホームページ「eスポーツに関する法的課題への取組み状況のご報告」
 https://jesu.or.jp/contents/news/news_0912/
3 日本eスポーツ連合ホームページ「参加料徴収型大会ガイドライン」
 https://jesu.or.jp/wp-content/themes/jesu/contents/pdf/terms/participationfee_guidelines.pdf

(2020年12月執筆)

執筆者

堀田 裕二ほった ゆうじ

弁護士/アスカ法律事務所パートナー

略歴・経歴

【経歴】
平成17年10月 大阪弁護士会登録 アスカ法律事務所入所
平成23年 1月 アスカ法律事務所 パートナー

公益財団法人日本スポーツ仲裁機構 スポーツ仲裁人・調停人候補者
一般社団法人奈良県サッカー協会 常務理事
OCA大阪デザイン&IT専門学校eスポーツ学科 講師
日本スポーツ法学会理事・事務局長
大阪弁護士会スポーツ・エンターテインメント法実務研究会世話役
日本スポーツ協会スポーツ少年団協力弁護士等

【主な取扱い分野】
インターネット、コンピュータに関連する法律問題
スポーツ(eスポーツ含む)・ファッションビジネスに関連する法律問題

【書籍】
「eスポーツの法律問題Q&A」 (共著・eスポーツ問題研究会編)民事法研究会
「スポーツの法律相談」 (共著・菅原哲朗・森川貞夫・浦川道太郎・望月浩一郎 監修)青林書院
「発信者情報開示請求の手引」 (共著・電子商取引問題研究会編)民事法研究会
「スポーツガバナンス実践ガイドブック」 (共著・スポーツにおけるグッドガバナンス研究会編)民事法研究会
「スポーツ界の不思議 20問20問」 (共著・桂充弘編)かもがわ出版
「Q&A スポーツの法律問題(第4版)」 (共著・スポーツ問題研究会編)民事法研究会

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